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言葉と魔物


梅雨入り前の平日。


あいにく天気は曇りで、休校になって欲しかったと思う今日この頃。


俺、翔は、憂鬱だった…

その理由は…苦手な昔の同級生と再会してしまったからだ。


つい最近の事、

俺は母にお使いを頼まれて、洗剤やらティッシュやらと日用品を買いに出かけた日である。



翔「あれ…これ二箱も買うのか?

流石に二つと袋両手は大変だけど…

仕方ないな。」


母に買い物をお願いされることは昨日今日の話では無い。

俺は手伝いは積極的にする方だが、

母の妹に似て「断れない」性格のようだ。


そこまで強要してるわけでもなく、

手が離せない、や、忙しそうな姿を見ていると何か助けになれないかと身体が勝手に動いてしまうからだった。


というわけで、買うものが多い際は

自転車で行く事にしている。


翔「よし、これで全部か。

帰ろう…早く帰って続きを読みたい」


俺は現在、読書に興味を持ちはじめ

知り合いに勧められた本を読んでから

本屋に通うほど読書家になった。

続きを早く読むべく、急いで帰ろうとすると、声をかけられた。



?「あれ?お前海鷺か?」



誰だ?この人見たことある気がするけど

今急いでるせいで脳が働かない…


?「俺の事覚えてない?小学生の時同じクラスだった八木だよ!」


八木?…ってあの…


翔「そうだった?…っけ。ごめん今家の用事で急いでて…」


八「あ、そうだったのか。声かけて悪かったな、家の手伝い偉いな!んじゃまた」


また…って、どこかで会うつもりか?

連絡先とか知らないからいいけど…さ


まさか八木に会うなんて…


八木は、小学生の時に俺をからかったり

いじめをしてきたやつだ…。


翔は、内心ドキドキしながらあの時のトラウマが蘇った。

最悪のタイミングであってしまった…


固まっていたが、ふと我にかえり、

お使い中だった事を思い出して

深呼吸をすると急いで家に帰った。



ということがあったため、ここ数日は

ずっとモヤモヤしながら過ごしていた。


健にテスト終わりだし息抜きしようと

遊びに行こうと誘われていて、

翔は本当は外に出るのが怖かった。

また再会するんじゃ無いか?って。


健は優しいから、俺のことを心配して

声をかけてくれる。

いつも助けられてるし、お世話になってるのに断るのが申し訳なく思うようになって…とりあえず健といれば大丈夫だと思い、

遊びに行く事を決意した。


そこまで、重大な決断じゃないのに…

こんなに重くて憂鬱なのはいつぶりだろうか…


平日のこと



健「なぁ、知ってるか?

校長が悩んでるらしいぜ」


クラスb「聞いた聞いた!廊下で壁見つめながらため息ついてたらしい!」


クラスA「それb組のやつが言ってたよな?」


クラスb「そう!同じクラスに見たやつが数人いてよ!」


健「校長の悩みってなんだろうな?」


クラスA「俺たちのサボりすぎな件について悩んでたりしてな!」


クラスb「まさっか〜!

だって、サボってんの俺たちだけじゃないぜ?」


クラスA「だよな〜?

海鷺はどう思う?」


翔「え?…俺は…校長だから大人の悩みとか?わかんないけど…」


クラスb「だよな?大人の話なら俺たちに関係ねーし。わかんねーよな」


健「まっ、俺たちは俺たちなりに遊んで青春しよーぜ?」


クラスA「言えてる!w学生なんて一度きりだからな!」


クラスb「それ、人生だろ?w」


くだらない話で笑って、ゲーセン行ったり、時間を潰して遊び歩いた。


翔(なぜ、俺はサボれるのか。

親は何も言わないのか…。

それには理由がある。

小学生の頃にいじめられてから不登校になって、一番支えてくれたのが家族だ。

もちろん、健も学校に行こうと毎日声をかけ続けてくれたし、一緒に行動して俺を守ってくれた。

だからこそ、親は俺が不良でも強くなりたいと話した時に優しくうなづいて、

「やりたいことはやった方がいい。楽しんだもんがちだ!」とのこと。

高校は義務教育じゃないし、勉強はもちろんちゃんとやってるし、それも家族は知ってるから、サボっても普通なのだ。)



健「うわ!あれうまそー!

買ってかねー?限定発売だってよ!

から?…かも?…なんと読むんだあれ?」


翔「あれは、蒲焼味って読むんだよ。」


クラスA「おー!さすが海鷺!

うまそーだけど…俺金欠だからな〜」


コンビニに、本日から限定発売している

蒲焼味の唐揚げがあるらしい。


健「1個150円だってよ?

俺買ってくる!」


健とついて行った翔は、それぞれ1個ずつ買い、コンビニを出る。


クラスb「あれ?海鷺も買ったのか?

いいな〜」


翔「良かったらみんなで食べよう (^^)」


クラスA「マジ!サンキュー!

金欠だから助かるぜー!」


クラスb「サンキュー!海鷺!」


嬉しかった。こうして誰かと笑いあって

食べ物を食べる事が。それも学校をサボって食べることが(^^)

青春してるって実感する。


健「ぅんま!蒲焼味意外とうま!」


クラスb「だな!」



夕方になり、それぞれ解散し

またな~とわかれ帰宅した。


健「いや〜美味かったな!」


翔「そうだね。楽しかった…」


健「そっか!楽しかったか!(⌒▽⌒)

良かったな!」



青春の思い出が作れた気がして、

翔は何気ない日常に楽しい物があると、知って良かったと、心のなかでつぶやいた。



平日サボり二日目。


クラスb「めんどくせ〜」


クラスA「それな〜…だる」


勉強とか授業とかどうでもいいと語る

隣のクラス同士の同学年。


一方、翔たちはというと…


翔「はぁ…疲れる(. .)」


屋上で一人空を眺めながら、

ぼーっと憂鬱な気分に振り回されている


フェンスに背を預けながらボーっとしていると、他クラスの人が誰か屋上に入ってきた。



クラスC「わかる〜あいつな!おかしいんじゃねーかって思ったわ」


クラスC2「おい、誰かいるぞ。」


めんどくさいが、翔は静かで一人になれる場所が他にないためスルーした。


クラスC「なぁ、俺等さここいつもの休憩場所だからさ、どっか行ってくんね?」


クラスC2「ぉい、こいつ3年じゃねーの?

やばくね」


クラスC「ちげーよ、こいつ2年だぜ。

俺等と同じ色のバッジだからな」


めんどくさいことに絡まれた…

タメなら尚更別に縄張り争い的な事しなくていいと思うのだが…


クラスC「聞こえね〜の?

ここ俺等使うからどっか行ってくんね?」


クラスC2「あ!こいつ思いだした!

健とつるんでる海鷺ってやつ。

確か、サボってるくせに裏で真面目に勉強してやんの!不良なのに真面目なやつ!」


クラスC「あぁ〜こいつが。

お前、健と仲いいんだってな?

じゃあ、優しいあいつの顔に泥塗りたくね〜よな?優しく言ってるうちだぞ?

どけてくれるよな?」


これ以上だと殴られるか、何されるか分からない…C組は、柄が悪いで有名だが、

こうも目の前で目の当たりにするとマジでめんどくさい…。


翔「・・・。」


俺は何も言わずにそこから離れ、

C組の二人組は「やっとどいてくれたな〜!話せばわかるやつじゃん。

いじりがいがある」などと話していた。


俺は聞こえてしまっても、その場から静かに逃げるように立ち去った。


健「おー!翔ー!」


と翔を見つけると手を振って名前を呼んでくる。


俺は…今憂鬱さが増し増しで、ストレスが渦巻いているせいか、健の声さえも苛立ちを覚えてしまった。


このままじゃ、俺も誰かを傷つける…

そう思い、小さく「ごめん」とつぶやき

走り去ってしまった…。


翔(なんなんだよ…俺はただ一人で居たいだけなのに…どけ?お前らがどけよ。

先にいたのは俺だよ!

健ごめん…俺、今のままだとおかしくなって誰構わず殴ってしまいそうだ…怖いんだ…向けてはいけない言葉すらも言ってしまいそうで…)


翔「俺に潜む闇は魔物だ…(泣)

俺は…だめなやつだ。」


翔の中で渦巻く黒い影と感情は、消化できずに彼を取り込んでいく。


健の声でさえも、受け止める余裕をなくし、いつもより無口になった日。

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