めんどくさい
海鷺翔は繊細な心の青年で、
たくさんの不良が通う、ここ花咲高等学校
で気配を消しながら周りに合わせて過ごしている。
その中で海鷺の中で渦巻く黒いものがある事を、彼自身は知っていた。
自分がめんどくさい人間だという事を…
頭の中を覗いてみると、言葉が飛び交い
同じような単語が多く存在している。
「一人になりたい」けど「寂しい時もある」「ネガティヴなことばっか言って」
「俺はめんどくさい」「迷惑かけすぎだ」
「また同じ日々の繰り返しだ…」
「しにたい」「きえたい」「そんな勇気ない」
頭が痛くなりそうなくらい、あふれる言葉
整理整頓ができないほど散らかって
溜め込んでしまうのだ。
翔「俺って、なんでこんなめんどくさいんだろう…。繊細だって周りには言えないし、自分でそれ言う?って思われたくないし…」
みんな思うだろう…こんな俺のそばにいてつまらないって…うざいって…めんどくさって…
…みんな?…誰のこと言ってんだろう俺
これじゃ被害妄想だ…
スマホのバイブ音
(ブー…ブー…)
翔「ん?…誰だ
健? はい、もしもし?
え?課題…?終わったけど。
教えてくれって…今から?明日ならいいけど、って言うか自分で頑張れよ。
はぁ…仕方ないな。わかった、じゃ明日」
(落ち込んでる時に大抵、健の巻き込みが生じる。イベントかよ…
授業もサボり気味で、たまにだが一緒に
サボってる俺に勉強を聞いてくる…
俺だってそこまで頭がいいわけじゃないし
勉強がすごいできるわけではない。
赤点は免れるくらいの成績ではある。
これは自慢ではなく、自分でも不思議に思っていること)
結局、健に勉強を教える羽目になった…
落ち込んでる時は大抵余裕が無い。
のにもかかわらずだ、あいつは空気を読んでるのか偶然が重なってるのか、
昔からそうだった。
休日の事
約束通り、勉強を教えに健の家ですることになった。親は仕事でいないらしく、
翔が来ることは伝えていたため、おやつと飲み物を用意して行った。
翔「本当おばさんはいつも優しいね。」
健「お前んとこも優しいだろ?
まあ、うちは世話焼きっつーかさ
ずっとあんな感じだからな〜
仲はいい方だから!」
翔「そうだな^_^
あ、ここの範囲はマーカーで印付けしとくぞ。この問題はひっかけだから」
健「なるほどな〜!」
1時間半ほど勉強し、わかってきたところで休憩にした。
健の母の用意して行ったおやつと飲み物を二人で頂く事に。
健「いや〜ほんと助かったわー
今月サボりすぎて担任に呼び出しくらってよ、次テストの点が赤点ばっかだったら
退学だ!って言われて」
翔「まぁ、週4はゲーセン行ったり
ぼーっとしてるからな。」
健「そーいやこの前、C組の菅野が、なんで海鷺は、俺たちとサボってんのに勉強できるんだ?って言ってたな〜」
そうだ、隠れて勉強してるなんて
不良なのに真面目だってバカにされるのが怖かった。いつのまにか自分の事を否定されるんじゃないかって怖がるようになってたんだ。
被害妄想だってわかってる。
自意識過剰だってわかってる。
それでも、昔、何気ない言葉で傷ついてから考えることが増えた。
裏があるんじゃ無いかって。
俺の受けたり方が悪いから…否定されるって決めつけて…
健「俺はさ、お前が努力してんの知ってるからさ、たまにしかサボってないからみんなが知らないところでちゃんと勉強してると思うぜ?って言ってやった。
あいつ真面目だからなって色々言うやつはいたけど、不良が真面目だっていいじゃん!それが翔のいいところだろ?
俺は真面目じゃねーし、勉強もできねーけど、俺を見てくれてる家族や周りの親戚に優しいって言われたんだよな。
元気で行きすぎたやんちゃで強いけど
それもお前の個性でありいいところなんだって。」
翔「・・・。」
健「あぁ!わりーいっぺんに色々喋りすぎたな…俺はお前の友人として誇りに思ってるぞ!って」
翔「うん。^_^ありがとう
俺も健が友達で誇りに思う。
そうだな、落ち込んでてもループするだけだもんな…」
健「ん?落ち込む?
もしかして前みたいにまた…自己嫌悪になってたの⁈あ〜…その…
俺そんな時に勉強教えてくれって頼んで…あ!わりー!じゃなくて、ごめんなさい!」
翔「ぷっ、ははは!そんな謝んなよ!
俺が勝手に悩んでただけだし…。
本当、健はいつも健らしいな。
なんか、ちょっとだけ元気でた。
ありがとう健!」
健「おー!…?なんかよくわかんねーけどそうか!それはよかったぜ!
よし!残りもがんばるぜい!」
翔のモヤが少し晴れたその後も、
健の勉強に付き合い、なんとか終えることができた。
健「今日はありがとうな!
次のテストは突破できそうな気がするぜ!」
翔「こちらこそありがとう。なんか俺の方が何かもらった気がするよ。
俺、めんどくさいし…また今日みたいに
落ち込んで自己嫌悪になって、自意識過剰で…ループするかもしれないけど、
それでも、お前は俺と友達でいてくれ…
ぃや…疲れないか?」
健「はぁ…今更何言ってんだよ?
お前がめんどくさいのとか自意識過剰?はしらねーけど、落ち込むことだってあるだろ?生きてんだから。
まっ、落ち込んだらまた俺に言えよ!
何回だって聞いてやる!
友達?あたりまえだろ!あんま自分を追い込むなよ?辛くなったら俺ん家来い!」
翔 「健…。(・ω・`)ありがとう」
翔は言葉に詰まるほど感謝で溢れて
"ありがとう,,その一言に想いを込めて
健に送った。