第一話 再会
適当に書いてます。
よかったら読んでください。
俺が異世界を生きるならどうしたいのかな?
何もしないで今までみたいに普通の生活をするだろうか
異世界で恋人をつくって結婚して…なんてことできるだろうか
冒険者になれるだろうか
なんて考えながら生きている。
人生が嫌になったのか?
いいや、そんなこたぁございません。
ただ俺の中ではもう少し現実を楽しく生きていきたいと思うだけだ。
ただ愚直に生きるだけじゃなくてもうワンポイント。魔法とか超能力じゃなくていいから、何かが欲しい。
生きてるだけで幸せじゃないかと誰かに問われたら、確かにそうだとしか言えない人生じゃつまらない。
そう思う訳ですよ。
場面はなんてことない学校生活
時間は昼休みが終わり満腹の状態で挑む四限目
そこに全身黒ずくめの男が鬼の形相で我らの教室に乗り込んでくる
推定身長190センチ。右手には刃渡り20センチの柳刃包丁。鋭い切先をこちらに向けてこう叫ぶ、
「誰でもいい。俺と勝負しようぜ。負けた方が死な。」
と。
こんな状況現実で起こり得るはずがない。
でも想像してしまう。どうやってあいつに勝とう?この状況を変えられるのは俺だ。と。
ここまでがいつも通学中に俺の脳内で繰り広げられる妄想だ。
役に立つわけありません。誰かに話せるわけないです。
今日も学校かぁ、嫌いじゃないけど家に居ていいならそっちの方が好き。
誰でもそうか。
俺はいつも通り歩いて学校に向かう。
電車に乗る必要もない。自転車も必要ない。歩いて十五分もすれば学校に着いてしまう。
ただ朝は通勤の方々と時間が重なるからどうも歩きづらい。
ポンポン。俺の肩を誰かが叩いた。
「きみ、結城君?」
不意に一人の女性が話しかけて来た。身長は155センチほど、肩までかかった艶のある綺麗な髪。綺麗に整った顔。モデルと言われても信じてしまう。
「そうですけど、どちら様で?」
俺の名前は結城夏飛。
ってことで名前は合っているんだけど、俺は今までの人生でこんな綺麗な人見たことないし、知り合いにもいない。
どこぞの誰かと間違えてる。にしては顔が大真面目だし、向こうが一方的に認知しているほど俺は大層な人間じゃない。
俺が応えると女性の表情が明るくなる。
口角が明らかに上がっている。
「ひっさしぶりだね!覚えてないかな?!私、楓!宮島楓!」
楓と名乗る女性。
確かに楓という名に覚えはある。昔、家が近くてよく二人で遊んだもんだ。
しかし、俺が小学三年生の時引っ越して以来会っていない。
当時、携帯電話なんて持ってなかったし連絡先も知らなかった。
二人して泣きながらお別れをした。今思えばちょっと恥ずかしい。
というのが七年前。
当時の楓は天真爛漫、運動第一。
さながらアスリートの如く毎日鬼ごっこに明け暮れる日々。
挟み撃ちにされても、一瞬の隙をつき進行方向とは逆ににターンを決め、それに驚き行動が少し遅れた鬼にフェイントかけて回避した姿は、あのピンチの時に限って覚醒する。
かの有名な黒い戦士と同じものを感じた。
「かえで、楓ね、うん。楓は俺の幼馴染だけど…」
俺がまだ話し終える前にものすごい勢いで迫られてハグされた。
そのまま、ぐいっと胸の方に俺の顔を持っていく。
…え、なに?
「覚えてくれたんだね!ゆーちゃんの幼馴染の楓だよー!!」
!!、、ゆーちゃん。俺をそんな風に呼ぶのは楓しかいない。
じゃあなんなんだ、この違和感。
それより、く、…くるしい。俺は目の前にいる彼女が幼馴染の宮島楓であるのを確信する。その彼女によって俺はこの世とバイバイするのか。
思えば短い人生だった。
俺は何にも成し遂げてない。もうちょっとかっこよく死にたかった。
…って!そんなことがあってたまるかぁ!!
俺は俺の中にあるわずかな力を振り絞って声を出す。
「か、し、、、ぅ。もぅ、はなし、、、さ、い、」
声にはなった。か細くまるで男子高校生とは思えないような声ではあったがなんとか。
すると楓の腕にさらに力が入る。
「うん。もうはなさないよ!」
違う!聞き間違えだ!もうはなしてくださいだ!もうはなさないなんて言ってない!
ほんとに!頼むからマジで!
俺の心を読んだようにようやく楓が離してくれた。
「あぁ!いけない!私久しぶりに会えたのが嬉しくてつい、大丈夫?」
ようやく俺は執行人楓による公開処刑から逃れた。
一応ここ、大通りだからね。人が大勢いるんだよ?朝だよ?通勤ラッシュだよ?
そんなことより、さっき覚えた違和感。
運動第一の彼女が見違えるほど美しくなっている。容姿端麗。才色兼備。
変わった。確かに俺が知っているのは小学生の楓。それも低学年とまだまだ小さい子供の時のもの。はいはい、なるほど。そりゃイモムシが急に蝶になったら誰だお前ってなりますよ。←彼女のことを馬鹿にしてる訳じゃない
「楓か!久しぶりだな!どうしてこんなとこにいるんだよ?!」
「それがねぇ、なんと!私、この度、東京進出します!」
「へぇ、そうなんだ」
楓が東京に上京して来たみたいだ。進出て、まるで芸能人みたいだな。
「ちょっと!反応悪くない?!」
「え?あぁ、久しぶりすぎて反応が追いついてないだけだ」
「もう!こっちに来たら一番にゆーちゃんを驚かそうと思ってたのに!何が、へぇ、そうなんだ、よ!」
楓がプリプリ怒っている。
…危ねぇ、昔ならドロップキックされるところだった。
どうやら心も成長したようだな。感情に任せて攻撃を仕掛けてこられたら俺は抵抗できないからな。
非力とかじゃなくて、世間的に。
…ほんとだよ?さっき絞め殺されそうになったけど、あれは不意打ちだったから…ほんとだから!
「こっちに来たってことは学校もこっちのとこに通うのか?」
俺が気になったことを問う。
「そうだよ!私、モデルになったんだよね!そしたらお母さんとお父さんが、仕事するなら東京の方がいいよな。って言ってくれて、今ここにいるってわけ。それとお父さんから聞いたんだけど、ゆーちゃんと学校同じなんだって!びっくりした?!」
楓がものすごい勢いで教えてくれた。
親父と楓のお父さんって仲良かったのか。
そういや引っ越しの日、固い握手をして別れていたような気がする。
モデルって…確かにこりゃスカウトしない方がアホですわ。
……ん?今、同じ学校って言った?
「同じ学校って言った?」
俺が気になる発言について尋ねる。
「ん?そうだよ、同じ学校だよ。同じクラスだといいね!」
楓は今から楽しみといった表情あたりを見回している。
「あぁ、そう…同じ学校ねぇ」
俺はぼそりと呟いた。
「あぁそうだ!私、学校説明があるから早く行かなきゃいけないんだった!じゃあ、ゆーちゃんまた後でね!」
そう言い残して楓は颯爽と消えていった。
足、はえ〜。
【学校】
「ということで、このクラスに新しい仲間が増えることになります。入っていいぞ!」
担任の山野さんがそう言う。
ということはそういうことだよね。
クラスメイトの男どもは女の子こい!女の子こい!願わくば美女と。
女子の方はというと。イケメンこい!イケメンこい!と。
まぁ俺も同じ状況だったら同じこと考えるけどね。
ガラガラガラと扉を開ける音が聞こえる。
中に入って来たのは今朝あったばかりの幼馴染。
「じゃあこっちに来てもらって。自己紹介よろしく。」
山野さんがそう促す。
「はじめまして。私、宮島楓と言います。よろしくお願いします」
すると皆は歓声の声をあげる。
男どもは美人きたー!と。よかったね。
女子たちもかっわいいー!と。どちらにせよ楓の第一印象はよし、といったところか。
よかったよかった。
「静まれーい!おっほん。ということで宮島さん、あそこに空いている席があるからそこに座りなさい。これで今日のホームルームを終わる!何か連絡のあるものは?いないな。それでは解散!」
これにてホームルームが終了する。
楓が指定された席に着くと早くも皆に囲まれた。
「ねぇねぇどこからきたの?」
「彼氏いる?ちな俺は彼女募集中!」
「ちょっとあんたら、そんなに聞いたら困っちゃうでしょ!まったく。ねぇ!肌が信じられない位、綺麗なんだけどどんなケアしてるの?!」
「お前も質問してんじゃねぇかよ!」
「まぁまぁ、みんな落ち着いて。質問のある方はこちらの列へお並びください。」
「「「「お前はだれだよ!!」」」」
なんとまぁ賑やかなこと。
逆に言えば受け入れられているってことか。
「えっと、私は長野から来ました。彼氏はいないかな?スキンケアはみんなとおんなじ感じだと思うけど、強いて言えば保湿だけは人よりしっかりやってるかな?私乾燥しやすいんだよね。」
楓は先程の質問に答える。まだ少し緊張しているようだ。
だってさ、朝あんなにフランクだったのに今はというと、借りて来た猫みたいだもん。
ちょくちょくこっちに視線を送ってくるけど、すまんな。俺はそこに飛び込めるほどの勇気はない。
【放課後】
「それじゃ、楓ちゃんまた明日〜」
「女王様。本日よりあなたの騎士となった西園寺太郎。これにて失礼します。女王様におかれましては、お気をつけてご帰宅下さい。」
「みーちゃんぐっばい!」
「みんな気をつけてね!」
わいわいがやがや。楓の周りは賑やかだ。
それにしてもこの一日でクラスのほとんどの人と仲良くなったみたいだな。朝は拙い会話だったが、今はだいぶ楓のペースで話せているみたいだ。
暫くし、周りが落ち着いて来たのを見計らって楓も席を立つ。
そして鬼気迫る顔でこちらに近づいてくる。
や、やばい。
俺の第六感がそう告げる。額に冷や汗が流れる。俺はそっと立ち上がり帰路につこうとした。が、どうやら手遅れみたいだ。
「ちょっとぉ〜、なつのひく〜ん。どうして朝私のこと無視したのかなぁ〜?聞かせてくれる〜?」
楓に肩を掴まれた。しかもめちゃくちゃ力強く。一人の女子高生が持つ力じゃない。
「そのーあれですよ。…女王様にみんなと仲良くなってほしくて、あれはそういう意図でして」
俺は口が裂けてもあの空間に行くのが怖かったとは言えない。
なぜだか分からないが俺の第六感があそこに行くなと警告していた。
第六感さんのいうことはね、信用しないと…いけないじゃん。
俺は多少のことは覚悟していた。しかし俺の考えとは裏腹に楓の表情は緩んだ。
悪戯っぽく微笑んで
「っふふ!何をそんなにビビってるの?!ちょっとからかっただけだよ!さっ!帰りましょ!」
こう言った。
ふぅ。たすかった!
「いいけど、楓、どこに住んでんの?」
俺は疑問を呈する。
「ゆーちゃんの家の近くにマンションあるでしょ。そこに住んでるよ。
こっちで困ったら真っ先にゆーちゃんのところに行けるようにね!なんちゃって⭐︎」
楓はそう答える。
あんまり男を惑わすようなこと言うなよな。
楓の顔を見て思った。