もう全てが遅い
初投稿です〜
感想とか↓ここで教えて〜
Twitterアカウント @Shiro_I_Hito_
[憧れのあの子と話をしてみたかった]
[庇わなければよかった]
[諦めなければよかった]
[あの子と仲直りをしたかった]
[冒険をしてみたかった]
―――ラブコメが、したかった
「2027年7月の今日、地球に巨大隕石が衝突します。」
ニュースが告げる。その事を知らない人はいないし、自分だって死ぬ覚悟はできている。
その事が初めて公表されたのは、2年前。星を観察するという内容のテレビ番組中、少しずつ大きくなる星を見つけたのが発端だった。その星は国のお偉いさんの管轄まで上がり、地球に隕石が向かっていることが発覚し、その日のニュースは隕石の話題で持ちきりとなっていた。
そして今日、その隕石が北半球を大きく削り取る様に衝突する……らしい。
これから死ぬとわかっている人間の様相は様々である。
泣き喚く者。
叫び狂う者。
諦め、悟りを開く者。
気にせずにいつも通りな者。
いずれも、絶望している者。
自分も同じ。迫り来る終焉の時。それに絶望をするなと言うのが無理な話だ。この世界はファンタジーではないし、科学が支配する世界だ。魔法なんてない。それと同時に、目の前の隕石を破壊する科学技術なんて無いし、吹き飛ばすような装置も無い。
まさに詰み。ジ・エンドってね!
アハハ……
いつもは地球を照らす太陽だが、今日は見えない。その代わり、そこには大きく、黒く、ゴツゴツとした視界いっぱいに存在する石の塊。太陽は1億5千万キロメートルも離れているというのに、太陽の光すらもう当たらない。その事が、地球と隕石の距離の近さを物語っていた。
そんな絶望の前に自分は、17年という短い人生の思い出に耽っていた。
思えば、いろんなことがあった。
時には、人助けをし
時には、殺そうとしてくるほど嫌われ
時には、アニメの真似事をしたり
時には、疑似ラッキースケベをした
やはり……足りない。俺の人生には確実に足りていないものがある。それは……
『ラブコメ』である。
幼稚園3年、小学校6年、中学校3年、高校2年と3ヶ月。これまでに、色恋沙汰とか恋愛関係の出来事はほとんど無かった。……勘違いさせないように言っておく。男が好きとかそういうのじゃないと…思う…よ?
恋愛相談されることはあれど、自分が恋愛をすることはなかった。――いや、自分の心に嘘をつくのは止めておこうか。あるよ。記憶の奥底に眠らせたままの記憶が一つ。
一目惚れだった。
……だが、その『一目惚れ』から始まった恋愛はすぐに潰えた。酷く、凄惨に。
通学路。自分は道路の向こう側にいたその子を一目見て、心臓が大きく律動したのを感じた。これまでに感じたことのない息苦しさ。目が離せなかった。
瞬きをし、一瞬。自分はその状況を夢か幻想だと思いたかった。その子の腹部に深々と突き刺さるナイフ、それを見た。通り魔だった。
その後の光景は、淡々と記憶に焼き付いていった。
まさに、写真のように。複数の通行人に取り押さえられる男、止血を試みようとする女、4台のパトカーと1台の救急車。自分は、どの光景でもそこに呆然と立ち尽くすだけだった――
そんなことがあって心にトラウマでもできたのだろう。自分は、恋愛というものを憎みはしないものの、遠ざけていた……そんなある日、自分は妹にある一冊の本を借りた。
それは、ラブ&コメディ……つまりは『ラブコメ』だった。
読んでくれてありがとう!
感想待ってます!勉強とモチベ維持のためによろしくお願いします。