表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/29

Free bihaviorへ初ダイブします。

『アバターの作成は以上になります。早速free bihaviorへ移動して頂きたいのですが、幾つか補足が御座います』


 私も早速行きたい所ではあるけども。

 補足を聞かないで泣きを見るのは私だから、運営の提示する情報はしっかり聞いておこう。


『先ずスキルについてに御座います。アニスベル様は現在【短刃】のスキルのみを習得なさって居ります』


 石柱が言うとホワイトボード全面に【短刃】の文字が浮かんだ。

 【短刃】?

 ……短い刃物って事は短刀や短剣って事かな。

 纏めちゃったんだ。


『此れ以外のスキルは御自身の行動や教えを乞うたり本を読んだりする事で身に付きます。そしてそのスキルには等級が御座います。一等~四等、そして特等の5種類になります』


 等級なんだ。

 単語で区別するよりは分かりやすいのかもね。


『四等のスキルも使い続けますと等級が上がる物、四等から上げるしかない特等等も存在します。各種武器スキルがそれに相当致します』


 武器術四等が名無しになるそうだ。

 三等には『真』が付いて、二等には『極』、一等には『覇』、特等には『皇』が付くそうだ。

 

 成る程ね、遣り込要素にもなっているんだね。

 これはきっとクラフトスキルにも有りそうだよね。


『次に家屋に関してに御座います。街中まちなかに居を構える場合は、free bihaviorの通貨で借用したり購入したり可能で御座いますが、街の外に構える場合はユーザー様方の世界の通貨が必要となります』

「え?……現金?」

『どの様に申し上げるかは存じませんが、創造神様から購入する形となります』


 課金なのか……セーフティエリア以外を管理しているのがゲーム内の統治者じゃなくて運営が管理している設定なんだろうね。

  

 まぁ、魔物や何かを出現させてるのは運営だし基本料金以外に課金らしい課金が無いゲームだから不動産で収入を得るのもありなのかもね。


 現状ハウス作りは考えて無いから関係ないかな。


『次に、とある種族のみになりますが、種族変化を致しますと一定期間変更の手段が無い種族が御座います』

「え? なにそれ! 変更効かないって駄目じゃん!」

『創造神様曰くペナルティだそうです。ユーザー様方の世界で嫌われる様なbihaviorをした方々が果て至る種族だと申して居りました』


 ……要するにゲーム内だからと言って、なにをしても許される訳じゃないと釘を刺している訳か。

 これもどうでも良くは無いけど関係ないかな。


 フレが増えて来たら諍いも起こるかも知れないけど、意図してトラブルを起こす気は全く無いから。


『最後になります。各街にはユーザー様方のみが見る事の出来ます掲示板が存在します。その掲示板には序列や創造神様の暇潰し等が掲示されます』


 暇潰しって……詳しく聞いてみたらイベントの事だったよ。 

 定期的なもの、突発的なもの、偶発的なもの、様々あるみたいな事を言っている。

 

 イベントが多いとフレが出来る確率が上がるからうれしいね。

 でも……突発と偶発って何が違うんだろう?

 良く分かんないや。


 それから、序列。

 これは団体・集団・個人のランキングが掲示されるらしい。

 その内容は、魔物討伐数・ステータス値・武器スキル・クラフトスキル等が常時、ランダムで様々なランキングが、予想だと死亡回数とか所持金とか何かしらのワースト系とか。


 良い!

 私はこうゆうの良いと思う。

 話のネタになるし目標にもなる。

 あっ!

 私がネタになるのは勘弁願いたいけどね。


『補足も全て伝えましたのでfree bihaviorの世界へと御送り致します』

「はーい」

『尚、開始地点は最初の復活地点から半径20キロ以内でランダムとなります』

「え?」

『では行ってらっしゃいませ』

「ちょ、ま……


 開始地点について詳しく聞き出そうとしたけども、遅かった。

 石柱が話終わると直ぐに床が光だし石柱とホワイトボードが急速に見えなくなり、私も光にのまれて自分の体が見えなくなっていった。


 そして完全に見えなくなると落下感が襲って来て目を瞑ってしまった、しかし落下感も長くは続かかなかった。

 ほんの一瞬の事だったのかも知れないが、不意に襲った落下感は恐怖以外の何物でも無かった為に足裏に何かを踏む感触をえたら、その場にへたり込んでしまった。


 ・・・

 ・・

 ・

 あー、ビックリした。

 いきなり床が無くなるとか止めて欲しい。

 実際無くなった訳じゃなくても落下感は無い、怖いって。


 あれからどれくらいの時間が経ったのかは分からないけど、どこかに着地して得た安堵感が満ちるまでの間だから長時間が経過している事はないと思う。

 それで此処は?


 瞑っていた目を開き辺りを見回してみると、彼方此方と木漏れ日の射す森……にしては樹木の植わっている間隔が広く、誰かが間引きをしているのではないかと思いたくなる程に遠くまで見える。


 手入れのされていない森なんてのは人が入り込む事は不可能なんだよ。

 大小様々な木々が乱立し、倒木や下生えの草木が邪魔をする。


 鉈……だと少し短いかな、山仕事で使う鉈、山刀で打ち払わないと森に入り込む事なんて普通は出来ないんだよ。


 まぁ、其処までリアリティーを追及したらゲームにならないだろうし、こんなものなんだろうね。


 それにしても、凄いなこれは。

 土や草花の感触に匂い。

 木の質感なんかもリアルだよ。

 本物と見紛う仕上がり。

 プログラムで出来るとは思えないレベルだよ。


 おっとそうだ、感心してる場合じゃなかったんだ。

 現在地を調べて街へ向かわないと確実に戦闘になる。

 初期装備、どう見てもただの服とズボンと短剣、まともに戦闘なんて出来ない、だから死ぬ。

 ログインして直ぐに死ぬのは流石に嫌だからね。


 それでだよ……メニューとかステータスってどうやって見るんだろうか?


 見たいと意識する?

 ・・・

 ・・

 ・

 見えない。


 あっ!

 動作?

 某VR小説は画面をスライドさせる動作で見れる様に……?

 何だろう?

 この指輪は。


 知らぬ間に右手人差し指に嵌まっていた指輪は、単体のリングで宝石等があしらわれておらずシンプルなデザインをしていた。

 装飾と言って良いのかは疑問だけれども『ユーザー・リング』と彫り込まれていた。


「ユーザー・リング?」


 そう呟きながら、何の気なしに文字を指でなぞると『・』の部分がにわかに光だし、私の目の前に半透明の画面を映し出した。

 その画面はメニュー一覧だった。


「これ……説明ないと気が付かないって!」


 覚えの無い指輪を見付けて、彫られている字を読み、指でなぞるなんてのは正しく偶然。 

 そんな偶然をする人の割合なんてどれだけ居るんだろう?

 それこそ、このゲームの当選倍率と同等。

 いや、以下だと思う。


 あっ、ユーザーリングって言わないとメニューは開けないのかな?

 一旦閉じて試してみるかな。


 ……どうやら字をなぞるだけでメニュー開けるみたいだ。

 一々言わなくて良いのは楽だね。


 メニューの方は上から、ステータス、装備、所持品、ショートカット、フレンド、ログアウト、ヘルプか。

 取り敢えずはヘルプだね。


 わぁ………ヘルプ少な。

 ステータスとショートカットのヘルプしかないよ。

 まぁいいか。

 ショートカットを見てみよう。


 ……おい!

 二行かい!


『ショートカット欄に書いてある事をキーワードを言うと実行できる』


 しかもまんまだったよ……これはステータスのヘルプも適当そうだね、見なくていいや。


 んでマップを見たいんだけど、買わないと見れないとか?

 それは街から遠くが開始地点だったプレイヤーは彷徨えと?

 そして死んで街に行けと?

 ……尖り過ぎだよ……プレイヤー離れちゃうって……はぁ、取り敢えずショートカットを見てみようか。


 あっ!

 マップ表示有った!

 なんだ有るんじゃん、無いかと思って凹んで損したね。

 それでは早速登録、キーワードは『マップ』か。


 ん~……変更しよう。

 『マップ』だと会話で出てくる可能性が高い。

 その度に出てくるんじゃ邪魔だから、『周辺図』にしよう。


 ではでは。


「『周辺図』」


 ふむふむ、画面が地図に変わったのは良いけど……これは世界地図?

 使えるかっ! こんなのアバウト過ぎる! 街の表示がされてない!

 っと、縮尺切り替えが有った。

 てへへ、良く見ないと駄目だね。


 段階で表示されるみたいだね。

 一段下げてみると、今現在いる地方の全体図だとおもわれる表示に変わった。

 でも、グレーで覆われている部分が殆んどを占めている。

 これはきっと未踏破だから表示されていないんだと思う。


 私の居る場所は赤点で表示されているのがそうなんだと思うけども……これだとどっちに向かえば良いのかが分からない。

 直ぐ近くがグレーゾーンだから街から一番遠い辺りからの開始になってしまったんじゃないかと言うのは分かった。

 だからもう一段クローズアップ。


 このマップは周辺の地図かな?

 どうやら私は森のど真ん中からのスタートらしい。

 街には川を越えないと到達しないみたいだけど、南側には街道かな?

 緩くグネグネした線が東西に走ってる。

 線の東側はグレーゾーンに繋がっているから何が有るかは分からない、でも西側は街と思われる所に繋がっている。


 何で思われるなのかは、地図に名前が表示されているから。

 『輝白竜の街』とね。


 輝白竜の街……街中にドラゴンが居るのかな?

 行ってみれば分かるよね。

 で、どっちに行けば川が有るんだろう?

 

 ん?

 これは何だろう?

 ロックと書いてあるけど……目的地表示かな?

 でも、このままロックしてもマップを消しちゃったら意味ないよね。


 あっ!

 そうか!

 もう一段下のマップが有るから、其処で表示されてロックした方向が分かるとかかも知れない。


 よっし、街をロックして下げてみよう。


 おーっ!

 矢印表示がされた!

 多分矢印に向かって行けば『輝白竜の街』とやらに辿り着くはず。

 私が向いている方向も矢印表示になったから迷う事は無いはず。


 よし!

 これで向かう方向は分かった。

 先ずは川沿いに出よう。

 森の中を警戒して歩くよりも、多少でも障害物が少なく見渡しが良い所の方が移動するにスムーズなはず。


 でもデメリットも有る。

 先ず水中から攻撃された ら反撃が出来ない。

 そして見渡しが良いと言う事は、森の中からは丸見えって事になる。

 遠距離攻撃をされたら一溜まりも無い。


 だとしても森の中を歩くよりは警戒すべき方向が限定されるから、ましだと思うんだ。

 森の中だと四方だけじゃなく上方も気にしないと危ない、それだけじゃなく木の側を通る時すら危ない。

 格好の遮蔽物だもの。


 だから開けた所へ行くのは正解だと思うんだ。

 

 そうと決めたからにはレッツゴーだ!


 ・・・ 

 ・・

 ・

 発現地点から歩く事20分、そろそろ川沿いに到着です。


 このミニマップ使い勝手が良いんだよ。

 ミニマップは、最大縮尺の地図で常時表示ができる設定を行う事で視界の左上に小さく表示されるようになるの。

 普段は気にならず視界の妨げにもならないんだけど、ミニマップを意識するとサイズが大きくなって視線を動かす事なくマップの確認が出来る優れ物なんだ。


 おっと、そうこうしている内に川が見えて来た。

 やっほぉー♪

 木だけじゃない違う景色だー、楽しみだね。


 おもわず駆け出してしまった私だけど、本物としか思えないVR世界の川。

 今までのゲームじゃ表現するのが難しい五指に入る水の表現がどんなだか興味が有ってしかるべき。

 駆け出さない方が可笑しいはず。


 木々が閑散とし始め、陽光の射し込む地面が増え、とうとう森を抜け出した。

 川面までは、まだ50メートル程は有るけども、やっぱり森の中とは違う。

 空が広い、陽の光が強い、風の運んで来る匂いが違う、圧迫感を感じない。

 

 と、森を抜けた事を喜んでいるだけじゃ駄目だ。

 周辺の警戒を……


 ドゴォォォ


 しようと思ったら右側から破壊音が聞こえた。

 咄嗟に何事かと音のした方を見てしまうのは、さがってもんだよ。

 

 見た瞬間、そのさがを後悔した。


 私の直ぐ右側には赤と黄色のグラデーションから成る自分より大きい燃え盛る球体が地面に着弾しようとしていた。

 不味いと思い伏せようとしたけど、時既に遅く爆風に巻き込まれ吹き飛んでいた。


 距離にしたら恐らく4~5メートル。

 たいした距離じゃないと思うけど、爆風はおろか風に吹き飛ばされた事すらなかったから、何が起こったのかが理解できなかった。

 それに拍車をかけていたのが、着弾地点から昇る火柱だ。


「ナニコレ・・・」


 こんな火柱……と言うより火柱自体を見るのが初めて……普通に普通の一般市民をやっていれば火柱なんて御目に掛かる事なんてない。

 見た事が有るのはキャンプファイヤーくらい。

 あれだって此れに比べたら大きい焚き火だと断言できる。


 この火柱は全ての火勢が真上に向かっているから赤色の柱にしか見えない。


 私は産まれて初めて見る文字通りの火柱に目を奪われてしまった。

 火球が着弾し燃え上がる火柱が危険な物で、いつまた火球がやって来るのか分からない危険地帯に身を置いているのも頭の片隅で理解していて、すぐにでもこの場を離れた方が良いと警鐘が鳴っているにもかかわらず、火柱に目を奪われている私は動く事ができなかった。


 火柱が発生してからどれくらいの時間が経った?

 数分?

 数十秒?

 それとも10秒に満たない?

 経過時間は分からないけど、火柱は次第に細くなり火勢を弱め最後には立ち消えた。


 火柱が消えた後も私は余韻に浸っていて動く事が出来ずに居た。

 そんな私を完全に引き戻したのは、陽光を遮断する影に覆われた事だった。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ