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アバターメイクします

 突然話し掛けられて咄嗟に返事をしてしまったけど、誰?


 そう思い声のした方をみると、そこには白い石柱と巨大なホワイトボードみたいな物があった。


Free(自由な) Bihavior(振る舞い)の世界へようこそ』


 石柱が喋った!?

 他のゲームでは良く有るシチュエーションだけどフルダイブだとビックリしちゃう。


 画面を通した訳じゃなく実際に見ているのと変わらない状態なんだもの、ビックリしちゃうもんじゃないの?

 もしかして私だけだったりする?

 まぁ良いか。


 それでだよ、成る程!

 bihaviorはビヒービュアーって読むのか、発音がネイティブ過ぎて完全には聞き取れなかったけど、概ね合っているはず。

 よし!

 発音が間違っていたら恥ずかしいから《FB》と略そう。


 更に、それでだよ。

 読めなかったから勿論意味も知らないから辞書を引いたさ。

 だから意味だけは知っていたんだ。

 『振る舞い』とか『行為』『品行』なんて意味があると書いて有ったよ。


『ではユーザー様、アバターの作成を始めますが宜しいでしょうか?』

「は、はい! お願いします! あっ! あのぉー………」

『如何なさいました?』

「私、こうゆうの悩んじゃって凄く時間が掛かると思うんです。それでも大丈夫ですか?」

『勿論大丈夫で御座います。永らくお使い頂くアバターと思われますので納得の行くまで時間をお掛け下さいませ』


 そう言うと石柱の後ろにあるホワイトボードに設定項目げ箇条書きになって表示されたの。


 先ずは名前の設定。

 名前か………本名でも良いんだけど、ここはいつも使っているキャラ名でいこう。


「ア・ニ・ス・ベ・ルっと」


 アニスベル。

 ここ数年お気に入りの名前。

 可愛さと綺麗さを併せ持つ名前だと思って使っている。


 只1つ気に入らない事があるとすれば、ローマ字表記にすると、ア()スベルと読む人が結構な確率で居る事。

 確かにrとnは似てると言われれば似てるかも知れないけど、普通なら普通に間違えないよね?

 そもそも、アリスを英語にしたらAliceとなるんだよ。

 RじゎなくてLなんだからね。


 とまぁ中学生の頃は、そう思っていたんだ。

 でも考えを改めたんだ。

 誰にでも勘違いや間違いは有るものだから、やんわり訂正すれば大概の人は分かってくれるし次からは決して間違えたりはしない。


 でも大概から外れる人には容赦しない。

 大概から外れる人って間違いを正当化しようとする。


 やれ、()()の違いなんざ線が縦か横かの違いだ。


 やれ、アニスよりアリスの方が良い。


 やれ、本名じゃねえんだからどっちだって同じだ。


 果ては、レベル低いんだからキャラ作り治せ。


 等々と苛つく言葉を並べてくれるんだ。

 本当に何様なんだろう?

 図々しいにも程度があると思うんだ。

 親しき仲にも礼儀ありってくらいなのに、知り合ったばかりの人に対する態度じゃない。


 だから私は無視をする。

 そういった厚顔無恥? 傍若無人? 兎に角、失礼な人とは関わりたくないの。


『少々宜しいでしょうか? アニスベル様』

「ん? なんだろう?」

『次に行います種族選択に関わる事で幾つか注釈が御座います』

「そうなんだ、聞かせて下さい」

『では創造神様の御言葉をそのまま御伝え致します』




『ん~………あのさぁ、経験値が溜まってレベルアップって普通に考えて可笑しいよね?


『レベルアップしてステータスアップも可笑しいよね? ついでにレベルアップしてのステータスポイント振り分け? イミフじゃない?


『地道な日々の努力で上昇するのが普通なんだし、その上昇だって微々たるもんなんだから基本ステータスは変動する事はほぼ無いで良くない?


『つか、アバターのレベルアップからして要らないね。


『でもそうすると弱いまんまで無理ゲーになるだけだから、上昇は装備やスキルでする様にするのはどう?


『後さぁ、種族なんだけどね。


『人外は初期選択から外そう。


『取得条件を設定してプレイ中に選択か問答無用で変わる様にしちゃおうよ。


『納得いかなかったら課金で、そのユーザーがなれる種族に変更できる様にすれば問題無いんじゃないかぁ?


『あーそうだ、魔法もさちょっと弄ろう。


『魔法の無い世界からダイブする訳なんだから、知識とか理解が有るのは可笑しいよね。


『だから知系のステータスが魔法に関わるのは無し。


『いや、知系のステータス自体無しで良くない?


『ユーザーに各々(それぞれ)で内容も知識量も知恵も違うんだからさ。


『だから魔法に関しては理解度ってステータスが良くないかな?


『教わったり本を読んだら上がる感じでさ。




『と、おっしゃってりました』


 ん~………結構ハードなゲームみたいだね。

 戦闘でスキルが上がってステータスも上がるだろうけど、装備の方は買うか宝箱か作るか作ってもらうか、か。

 宝箱以外は素材か資金が必要な訳だから、ソロプレイには限界がある?


 先ず資金だけど、ソロでできるクエスト報酬で手に入る金なんて安いと決まってる。

 大概がクエスト中に入手した素材を売って高額になるのがセオリーだからね。


 その素材だって希少な物はソロで退治できる程に弱くはないはず。

 PT組んでやっと倒せるレベルだと思うんだよね。


 って事は戦闘系のフレが何人かは居た方が良いよね。

 でもなぁ……知らない人に声を掛けるのが苦手……と言うか無理。


 考えちゃうんだよ。

 奇異の目を向けられたら嫌だなとか、無視をされちゃったりするかなとか、迷惑になったりしないかなとかさ。

 ヘタレなのは分かってるんだけど、出来ないもんは出来ないんだよ……


 でも長くやっていれば、その内にフレも出来るんじゃないかな?

 安直な考えなのは自分で分かってるけど、戦闘以外にも色々とやってみたいし、のんびり長々と遊んでいれば出来るはずだもの。

 うん、それに期待しよう。


 それで種族か……

 あるのは人間・エルフ・ドワーフ・ホビット・獣人の5種類か。



人間


LP(生命力) 9

MP(精神力) 8

体力      8

筋力      8

俊敏力     8

魔力      8

運       8




エルフ


LP(生命力) 7

MP(精神力) 14

体力      7

筋力      5

俊敏力     8

魔力      14

運       8




ドワーフ


LP(生命力) 13

MP(精神力) 8

体力      12

筋力      14

俊敏力     5

魔力      5

運       8




ホビット


LP(生命力) 8

MP(精神力) 10

体力      7

筋力      6

俊敏力     10

魔力      10

運       12




獣人


LP(生命力) 10

MP(精神力) 5

体力      11

筋力      11

俊敏力     10

魔力      5

運       7


 これを見る限りだと人間が基準になっていると考えて良さそうだね。

 平均値は8か………

 

 エルフとホビットは魔法職向けで、ドワーフと獣人は近接職向けなのかな。


 数値的にドワーフは完全にタンク、壁職だね。

 エルフも固定砲台な感じがするね。


 ホビットは移動砲台? 運が高いからクリティカル狙いとか?

 獣人は近接アタッカー。


 で、人間は器用貧乏。


 あれ?

 ないな、普通のゲームならあるはずなんだけど、ないな。


「あの、器用さはないのかな?」

『ございません』

「んーと……」

『此方も創造神様の御言葉をそのまま御伝え致します』




『器用さって要る?


『器用さって結局は慣れだと思うんだよね。


『それにさ、せっかくのフルダイブなんだから自分でなんとかしろ、と思うんだよね。


『狙った所に攻撃するのとか、クラフトで思い通りに加工するのとかさ。


『まぁ、クラフトは現実と違ってかなり簡略してるけどね。


『だから修正サポートするにしてもスキルの熟練度しだいにしとこうよ。




『と、おっしゃってりました』


 製作者は齟齬の少ないリアルに近い世界観にしたいのかな?

 確かにゲームの世界だからって適当な事をやっていても強くなったり、簡単に物が作れたりするのは面白味に欠けるとは思う。

 でも、なんでもかんでもリアルと違って可笑しいからってユーザーの技量任せにするのはどうなんだろう?


 尖り過ぎていて遊び手を選ぶゲームになっちゃわないかな?

 まぁ、色々とやってみて自分に合った遊び方と自分と似た様な人達と遊ぶようにすれば良いのかな。


 それで、種族か………

 選ぶポイントは私のプレイスタイルだよね。

 私の戦闘スタイルは超長距離からの狙撃か特攻近接アタッカー。

 画面を見ながらのゲームでだから、フルダイブでも其が出来るかは分からない。


 要は虎とか熊に特攻近接アタッカーを仕掛けるのと同じ事になるはず。

 かといってファンタジーの世界で超長距離狙撃なんてのは出来ないよね?

 長距離攻撃が可能な手段は、弓・魔法・有って弩だろうね。

 この製作者さんは銃は間違っても存在させない気がするんだ。


 製作者さんの拘りは、なんとなく別世界の表現を近代的にしないようにしてる感じがする。

 なんでなんだろう?

 

 ………似てるからかな。

 製作者さんと似た事を言っていた友達が居て、その人がファンタジーに銃器は必要無いと力説していたんだ。


『歴史が証明している! 西洋で甲冑と槍、剣と楯が廃れたのは銃が出てきたから! 日本で戦国の世が一気に終息に向かったのも銃が伝来したから! そして現代でも銃器が個人で扱う最強の武器になってるじゃん! んな物がファンタジーに出て来るなら、もうファンタジーじゃない! 現代のパラレルワールドでしかないんだよ!』


 とね。

 他にも。


『レベルアップでステータスが上昇するのもなんで? 器用さも高くないと攻撃が避けられる? なんで? ノロノロと攻撃するから避けられるんでしょう? 筋力が足りなくて上手く扱えてないからでしょう? ほら器用関係無いじゃん』


 等々、色々と愚痴っていたんだよ。

 その度に宥めていたなぁ。

 

 あっ!

 種族選びしないと駄目だった。

 えっと……


 やっぱり特攻近接アタッカーかな。

 でも魔法も使ってみたい。

 クラフトとかもやってみたい。

 とすると……人間かな。


『種族は人間に御座いますね』

「うん」

『ではボーナスポイントの振り分けを御願い致します』


 12ポイントを振り分けるのか。

 うーん……決められないな、困ったね。


 色々とやってみたいから、どれかに全振りとかは馬鹿を見そうだし。

 かと言って均等分けするのも後々後悔しそうなんだよね。


「これって今振り分けないと駄目なのかな? メインで遣りたい事が見付かった時に振り分けたりは出来ないのかな?」

『今直ぐでなくても問題は御座いません。free bihaviorの世界では街中やセーフティーゾーンでしか振り分ける事が出来ませんので御了承下さい』

「はい」

『では次の項目に移ります。次はアバターの細かい設定になります』


 見た目設定に移行すると、ホワイトボードが透明になり等身大の私が3Dで表示された。

 しかも素っ裸、全裸だよ!

 

「ギャーッ! 何故に全裸! 恥ずかしいから服を着せて!」


 何が楽しくて貧相とまでは行かないと思うけど、貧弱ではあるmy bodyを披露しないといけないんだ?

 見せるに価しないのは勿論だけど、見るに価しないと……何だろう? 涙が出そうだよ……


『これは自らが選びました種族の体型を知って頂く為の表示に御座います。人間を選びましたアニスベル様は変化が極僅かだとは思いますが、他種族を選びましたユーザー様には必要な表示で御座います』


 だから人間も裸表示をする、と。

 理屈は分かった、分かったけど大差無いなら表示しなくて良いじゃん!


 いつまでもグジグジと文句を言っていたいところだけど、文句を言っている間ずっと全裸の私が晒されているのは嫌だ。

 さっさと済ませてしまおう。


 しっかし……見れば見る程に私だなぁ。

 あのマットレスでスキャンして此処まで再現しちゃうんだ。

 科学って凄いと感心しちゃう。


 あ!

 髪の色と黒子ほくろは再現できて無いみたいだね。

 私の右の目尻の辺りには2つ並んで黒子が有るんだけど、この表示されている私は無いの。


 他は完璧と言っても良い。

 体型は勿論、肩で切り揃えた髪、顔の造り、腕の長さ、まさしく私だ。

 その私を弄る………髪、伸ばしてみようかな。

 リアルだと濡れた時に乾かすのが面倒だから短めにしてあるけど、長い髪型に興味が無いと言ったら嘘になるからね。


 後は色。

 私は産まれながらに色素が普通とは違うみたいで、リアルの髪の赤黒いの。

 焦げ茶と表現した人もいるけど、個人的には赤味が強いから焦げ茶では無いと思うんだ。

 

 そんな訳で黒髪の私って新鮮だな。

 ……そう言えば青光りする黒髪なんて人が居ると聞いた事がある。

 それも色素の問題なのかな? 黒を突き詰めるとなるのかな? 分かんないけど、もっと黒くしてみよう。


 ・・・

 ・・

 ・

 やってみた結果、青光りはしなかった。

 でも思いもしなかった結果が出て満足かも。


 黒髪を更に黒く 黒く 黒くとやって行くと、最初の内は変化が見れたの。

 だけどすぐに目に見える変化が無くなったんだ。

 それでもしつこく黒くしていたら、驚きの変化をしたんだ。


 アバターの今の髪の色は黒。

 だけど普通の黒じゃなく漆黒よりも黒い。

 髪の艶は有るんだけど、光を反射してエンジェルリングが出来ないの。

 まるで光を吸収してしまっているみたいだよ。

 その黒髪をジッと見ていると吸い込まれそうな感覚に襲われる程の黒。


 黒って突き詰めると此処までの黒になるのか、と感心したけども。

 多分違うと思い直した。


 見た事は勿論、聞いた事すら無い黒だもの。

 バグではないにしても、このアバター作成のみで見る事が出来る黒なんだと思う。


 めっけもんして得した気分だね♪


 さて他は……瞳の色を変えてみよう。

 何色にしようかな?

 やっぱり黒髪にえる色が良いよね。

 とすると反対色のしろ……はないな。

 目が全部白になっちゃう。

 きっと不気味な印象を与えちゃうし、何より私が嫌だ。

 

 それなら赤?

 赤かぁ……赤目は沢山いそうだよね?

 それに赤目ってちょっと怖いから無し。


 後候補に挙げるなら、薄い青とか緑、黄色とかかな。

 うーん……黄色が良いかな。

 黄色も『金目だ』とか言って、している人が多い気もするけど、この黒髪に合うのは黄色が最適な気がするから黄色にしよう。


 頭部に関してはこんなもんで良いかな。

 手足胴はどうするかな……手足はまんまで良いや、胴は……盛るか盛らないか其処が問題だ……慎ましやかな私のおっぱい……一応は重力に従って重さが発生する位のサイズはある。


 でもお世辞にも大きいとは言えない。

 もうちょっとだけ自己主張をするサイズになって欲しい……やっぱり盛ろう!


 盛るけども、ババーンとバインバインと盛る事はしない。

 リアルに戻った時、現実を直視して凹みそうだからさ。


 だから1センチ、いや2センチだけ盛ろう。

 あっ!

 そうだよ!

 なにもトップだけを盛る必要は無いんだよ。

 アンダーを減らす事でも自己主張はするんだよ。


 だったら……トップ2センチアップ、アンダー1センチダウンにしよう!


 ………おおおぉぉぉ!

 凄い!

 合計たった3センチだけで目立つ、自己主張完璧だよ。


 よーし、私もまだ16歳。

 もう少しは成長するはずだから、これを目標に頑張ろう!


 

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