満足と感動
当サロンにお任せください。
2013年3月5日、ピクシブ公開。
「今日は足を丹念に洗わせていただきます」
サロン・ドゥムン!
「あっ、お願いします」
鈴木正直は、ドゥムンに来ると、基本的にオーナーのされるがままに、癒される。
(反対する理由は特にないし)
今日はどんな快楽を味わえるのか、これ贖うというのは、野暮というものだ。
「失礼いたします」
そういって、何故か、腕をまくられた。
「足じゃないの?」
「先に、ブラシの硬さを確認してもらおうと思いまして」
「あっ、たまに固いのあるもんね」
垢すりとか。
「はい、こちらではブラシは色んな硬さを用意しているのですが、鈴木様は気持ちがいいということを優先したいので、このぐらいの硬さかなとは思ってはいますが、やはり確認しませんと」
こういう所が、このサロンの好感が持てるところである。
「では…」
シュ
まず手のひらにブラシがかかるが。
「ちょっと物足りないかな」
「ではこちらは?」
シュ
同じブラシで、手首にかけると。
「あれ、これ以上強いと、痛いかな…?」
「手の皮は厚いので、ここで気持ちがいい堅さだと、手首など腕の皮膚では痛いんですよ」
「そうなんだ」
ブラシの硬さはアルデンテといったところだろうか。柔らかいんだけど、一本腰が通っているという感じ。
両脚は、もうお湯に使っている、ここのサロンは奥に足湯があるのだけど、今回はフットバスを利用していた。
「温泉の臭いがするね」
「温泉を汲んで使っております」
入浴剤ではないらしい。
「この辺り、そうですね、車で十分も行くと、温泉があるので、そこからですね」
「へぇ、そうなんだ」
「温泉といっても、畑を掘ったら出てしまったというものなのですよ、排水しないと、作物が枯れますから、その排水されている温泉というのが、とてもいい泉質なんです」
「もったいないですね、それ排水するなんて」
「そうですね、でも、設備を考えちゃうと、温泉を始めるというわけにもいかないのかなと」
「お金かかるとね、そうだよね」
「この温泉は毎日汲んで来ているのですが、十分も足湯しますと、汗が吹き出ます」
「凄いね、それ」
臭いはやはり独特ではあるが、臭いというわけではない。
「あっ、話している間にちょっと汗かいてきたかも」
「ちなみにこの温泉は、目に入ったら、凄く痛いですよ」
あまりにも気持ちがよく、湯船でうつらうつらすると、温泉水が目に入り、驚くほど痛い。
「でもすっきりはします、不思議と」
「俺は遠慮します」
「では足を洗います」
足を人に洗われるというのはとても気持ちいいものだ、あまり洗われたことはなかったが、足の指の間に、毛足の長いブラシが当たる感覚は、ゾクゾクする。
ブラシはもう湯の中に浸かり、スタンバイしてある、こうすることでさらに肌への接触が良くなる。
チュー
足を洗うためのソープも、オーナーこだわりのものである。
洗浄力は良いが、肌に優しいというのはなかなかないらしい。
「いいと思っても、廃業してしまったりするんですよね」
オーナーとしては、フランスやイタリアにはいいものがあるらしい。
「この間、ここでつけてもらったクリームあったじゃないですか、あれ、凄く高いんですね」
同じクリームをたまたま店頭で見つけたら、小さい入れ物で二千円ぐらいした。
「う~ん、その考えは色々とあると想うんですよ、お客様によって、高い、安いはあるとは思いますが、私としては高い安いでは見てはいないので…」
つけた時のノビはとてもよく、さらさらなのに、潤っている凄いクリームでした。
「やはりこのお店に組る方は、満足とか、感動を求めていると思うんですよね」
「あぁ、それはあるな」
「お客様の満足と感動のためには、私の労力は惜しみませんよ」
これがサロン・ドゥムンの魅力であろう。
もったりとした大きな泡をブラシが作り、それが鈴木の足に乗せられて、そこからブラシが足の裏に触り。
ゴシゴシ
「あっ…」
浮腫むがちな足に、マッサージのご馳走である。くるくるとブラシが回り、曲線でザザァ!と老廃物が流される。
施術を始める前には、必ず水を一杯飲んでいる、それがマッサージをして一時間もすると、汗として現れていく。
「トイレに行きたくなるより、汗をかくという方が大事です」
日頃使っていない汗腺は足を洗うという心地の良い刺激で、目覚め、負担がかかっていた内臓も動き出す。
この後、お酒を飲むと、とんでもなく美味しい上に、次の日残りません、ありがとう、サロン・ドゥムン!