表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

満足と感動

当サロンにお任せください。

2013年3月5日、ピクシブ公開。

「今日は足を丹念に洗わせていただきます」

 サロン・ドゥムン!



 「あっ、お願いします」

 鈴木正直は、ドゥムンに来ると、基本的にオーナーのされるがままに、癒される。

 (反対する理由は特にないし)

 今日はどんな快楽を味わえるのか、これ贖うというのは、野暮というものだ。

 「失礼いたします」

 そういって、何故か、腕をまくられた。

 「足じゃないの?」

 「先に、ブラシの硬さを確認してもらおうと思いまして」

 「あっ、たまに固いのあるもんね」

 垢すりとか。

 「はい、こちらではブラシは色んな硬さを用意しているのですが、鈴木様は気持ちがいいということを優先したいので、このぐらいの硬さかなとは思ってはいますが、やはり確認しませんと」

 こういう所が、このサロンの好感が持てるところである。

 「では…」

 シュ

 まず手のひらにブラシがかかるが。

 「ちょっと物足りないかな」

 「ではこちらは?」

 シュ

 同じブラシで、手首にかけると。

 「あれ、これ以上強いと、痛いかな…?」

 「手の皮は厚いので、ここで気持ちがいい堅さだと、手首など腕の皮膚では痛いんですよ」

 「そうなんだ」

 ブラシの硬さはアルデンテといったところだろうか。柔らかいんだけど、一本腰が通っているという感じ。

 両脚は、もうお湯に使っている、ここのサロンは奥に足湯があるのだけど、今回はフットバスを利用していた。

 「温泉の臭いがするね」

 「温泉を汲んで使っております」

 入浴剤ではないらしい。

 「この辺り、そうですね、車で十分も行くと、温泉があるので、そこからですね」

 「へぇ、そうなんだ」

 「温泉といっても、畑を掘ったら出てしまったというものなのですよ、排水しないと、作物が枯れますから、その排水されている温泉というのが、とてもいい泉質なんです」

 「もったいないですね、それ排水するなんて」

 「そうですね、でも、設備を考えちゃうと、温泉を始めるというわけにもいかないのかなと」

 「お金かかるとね、そうだよね」

 「この温泉は毎日汲んで来ているのですが、十分も足湯しますと、汗が吹き出ます」

 「凄いね、それ」

 臭いはやはり独特ではあるが、臭いというわけではない。

 「あっ、話している間にちょっと汗かいてきたかも」

 「ちなみにこの温泉は、目に入ったら、凄く痛いですよ」

 あまりにも気持ちがよく、湯船でうつらうつらすると、温泉水が目に入り、驚くほど痛い。

 「でもすっきりはします、不思議と」

 「俺は遠慮します」

 「では足を洗います」

 足を人に洗われるというのはとても気持ちいいものだ、あまり洗われたことはなかったが、足の指の間に、毛足の長いブラシが当たる感覚は、ゾクゾクする。

 ブラシはもう湯の中に浸かり、スタンバイしてある、こうすることでさらに肌への接触が良くなる。

 チュー

 足を洗うためのソープも、オーナーこだわりのものである。

 洗浄力は良いが、肌に優しいというのはなかなかないらしい。

 「いいと思っても、廃業してしまったりするんですよね」

 オーナーとしては、フランスやイタリアにはいいものがあるらしい。

 「この間、ここでつけてもらったクリームあったじゃないですか、あれ、凄く高いんですね」

 同じクリームをたまたま店頭で見つけたら、小さい入れ物で二千円ぐらいした。

 「う~ん、その考えは色々とあると想うんですよ、お客様によって、高い、安いはあるとは思いますが、私としては高い安いでは見てはいないので…」

 つけた時のノビはとてもよく、さらさらなのに、潤っている凄いクリームでした。

 「やはりこのお店に組る方は、満足とか、感動を求めていると思うんですよね」

 「あぁ、それはあるな」

 「お客様の満足と感動のためには、私の労力は惜しみませんよ」

 これがサロン・ドゥムンの魅力であろう。

 もったりとした大きな泡をブラシが作り、それが鈴木の足に乗せられて、そこからブラシが足の裏に触り。

 ゴシゴシ

 「あっ…」

 浮腫むがちな足に、マッサージのご馳走である。くるくるとブラシが回り、曲線でザザァ!と老廃物が流される。

 施術を始める前には、必ず水を一杯飲んでいる、それがマッサージをして一時間もすると、汗として現れていく。

 「トイレに行きたくなるより、汗をかくという方が大事です」

 日頃使っていない汗腺は足を洗うという心地の良い刺激で、目覚め、負担がかかっていた内臓も動き出す。


 

 この後、お酒を飲むと、とんでもなく美味しい上に、次の日残りません、ありがとう、サロン・ドゥムン!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ