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第7話「移動式農場 コルホース」

ようこそ

 チスド帝国の兵士達が汗水たらしながら

 満面の笑みで畑を耕していた。


 今の俺にとってチスド帝国は滅ぼすべき敵ではない。

 ただの狩場だ。


 中将の紋章を下げた男が小走りでこちらにやってくる。


 しっかりとした敬礼。

 さすがチスド帝国、教育が行き届いている。

「こちらが本日収穫を終えた分の野菜になります」

 

 ニンジン99個

 ジャガイモ120個

 玉ねぎ60個

 さやいんげん80個

 キャベツ60個

 赤りんご67個

 青りんご87個

 etc


(まあまあの収穫量だな……)


「よくやった。

 いつも通り、酒、肉、女をくれてやる」


「はっ!ありがたき幸せ」

  

 少将は喜ぶ。

 

 当然だろう、軍に所属してたときより待遇がいい。

 酒飲み放題、肉食べ放題、女抱き放題となれば

 こちらの方が楽だ。

 はじめのうちは忠誠、家族だなんだと抵抗するが

 一週間たつと忠義は俺に、女たちと農場で働いている兵士達が家族になる。


 俺は少将に聞き取れぬようにインキュバス達を召喚した。


 このコルホース農場は現実の世界と幻獣の住む世界の狭間にある。


 時間の概念はなく、無限がここにある。

 よく言えば不老不死、悪く言えば永遠の牢獄。


 はじめは悪党もぶち込んでいたが、

 まあ、使い物にならない。

 その点、軍人は体力、知力、不撓不屈の精神力と全てが揃っていた。

 抵抗する者は全員、上級悪魔への玩具へと捧げた。

 抵抗する者達が絶望の悲鳴をあげる様を

 焼き肉パーティー中の兵士達ににみせ、

 兵士達は忠心溢れる男たちに変わった。

 

 時折、肉を食えなくなる者もいたが

 そういった者はサキュバス達に慰めさせ、

 肉を食えるようにした。

 

 兵士達に伝えていないこと

 彼らが女と思っているのは全員サキュバスであり、

 肉はダンジョン攻略で余ったオーク等の下級モンスターや今回の炭と化した肉塊。

 そういったくず肉に精力増強剤(+120%)体力回復剤(+120%)をぶち込んでいる。

 

 結果として知能は農場生産に、

 体力は野菜生産に、

 精力はサキュバス達への供物。

 まさに三方よし。

 近江商人なら涙を流して喜ぶだろう。

 

 一部のサキュバス達が夫婦の契り(契約)を結ぶのを了承するようになって

 2年。(成果を上げた兵士のみ許可)

 

 サキュバスの妻達に声援を受けながら、

 兵士達は無限の時を過ごしている。

 朝昼夜の概念はない。

 俺が来たときが休憩で食事で欲望を満たす時間。

 肉を食らい、酒を飲み、女を抱く。

 

 俺は野菜をアイテムBOXを入れ、

 サキュバス達を呼び出す。

 

 サキュバスの首領、リリスが

 深々と俺にお辞儀をする。

 

 俺も深々とお辞儀を返し、

 酒池肉林の宴は幕を開けた。


 中将の妻を呼ぶ声が聞えたが、

 俺は無視する。

 

 夫の価値を認め、

 常に文句も言わず支えてくれる。

 昼は良き妻、夜は娼婦。

 

 老いもなく、

 筋肉と男の剣は常に固く強く

 そして光り輝いている。


 その妻達は俺にしか

 呼び出すことが出来ない。

 

 呼び出す手段はただ一つ。

 良い野菜を生産し続けること。

 必要な土地や飼料はこちらで用意する。

 必要なのは大量の忠実な男達。



 インキュバスの首領リリスは

 俺の提案に即座に乗っかった。

 尽きることのない精力と圧倒的回復力。

 現実の世界なら追われる立場の

 サキュバスはここでは恋人として扱われる。

 

 もし、仮にここが帝国の連中にバレても

 サキュバス達にこう囁けばいい。

 

「お前たちの餌が外の奴らに奪われるぞ」


 その時は大戦争。


 家族を守るために戦う者には

 必要な武器を俺が用意する。

 

 隣で微笑む妻のために

 兵士達は全力で戦うだろう。


 老いも死もない世界で

 永遠に愛されるがいい。


 俺は振り返ることなく命じた。


「管理者モード、農場コルホースから宿屋へ機能チェンジ」


 景色は宿屋へと戻り、

 また、兵士をさらおうと誓った。


またあいましょう

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