第4話「昼、移動要塞ガッテム」
ようこそ
蒼き閃光のソードフィッシュとサクラがダンジョンに潜りに行った後、
俺は玄関の看板を買い物中につき不在と書き換える。
玄関の鍵を閉めると建物内に人がいないことを確認し、
俺はいつもの作業を始める。
「移動要塞ガッテム《管理者モード》へ移行」
一瞬で室内は武器、魔石、様々な薬剤やアイテムが並ぶ部屋へと変貌する。
爺さんが亡くなった後、
俺は以前に聞いていた通り、
とある遺跡に遺体を埋葬した。
すると遺跡全体が光り出し、
この移動要塞ガッテムへと変貌した。
室内に残されていた遺言はこう書かれていた。
お前がこれを読んでいるということは
わしはこの世におらんのじゃろう、
大した遺産も残せなかったが、
こいつをお前に託そう。
世界を支配するも
滅ぼすも好きに使え。
俺は説明書を読み、
あいつらに復讐しようかとも考えていた。
だが、
やればやったで爺さんの時みたいに
怯えるように街から街へ放浪する羽目になる。
だったら、
様々なダンジョンのアイテムや魔石を片っ端から移動要塞ガッテムに追加装備させ、
最大火力で国ごと葬ればバレやしないだろう。
そう考えた俺はこうして朝、夜は宿屋。
昼はEクラスの冒険者 キーン・リンガーとして活動している。
少ない時間だけ活動しているのは、
隠蔽性と労働時間の割合だ。
ガラの悪い冒険者が客だったら、
ダンジョン内で叩きのめす。
場合によっては警備兵に渡す(アイテムと金は迷惑賃としてもらっておく)
そうするうちに良い顧客が集まりそうな外装と内装に
行きつき、今では女性か子供連れの善良そうな客しか泊まらない。
客も最初は亭主がおっさんということで不審がるが、
次の日には有り金の大半を前払いで泊まれるだけお願いと置いていく。
実際、一組目の客蒼き閃光のソードフィッシュ(体力+30%、攻撃力+40%etc発動中)は
袋ごと置いてこういった。
「ご主人様、私達にお渡しできる献上金です。これでどうかしばらくの間
泊めてください!」
俺はどこぞの外道かと一瞬考えたが、
2週間分の銀貨を取り、残りの足りない分は返した。
サクラは金貨袋ごと置いて毎回こう言う。
「足りない分は言ってほしい、すぐに稼いでくる」
(毎回、その街に滞在している日数以上に置いてくるので言ったことはない)
「ダンジョンゲートオープン」
唱えると攻略済みの階層と門が現れる。
俺はこのイナッワカダンジョン攻略して、
夕食のメニューと今日のお風呂の入浴剤(バフ入り)のことを考えた。
また会える日を楽しみにしております