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亀に転生しました  作者: よっけ
30/50

第30話 とばっちり

「「どういう訳なんですか!?」」


 きれいにレイとメリーの声が被った。


「あぁ、そうか。そういえばお前たちには聞こえていなかったんだったな。つい普通に話していた気でいたぜ」


 バーバラは脳内で会話するなど未知の体験をしたものだから思わず話していた内容が伝わった体で話を進めてしまっていた。

 少しだけ回復した魔力を振り絞ってまで"ニヤけ面"はバーバラへと話しかけたというのに当のバーバラは「2人にも繋いどいてくれれば楽だったのになぁ」と無体なことを思う。当然、会話する人数が増えれば使用する魔力も多くなるのでバーバラ一人と繋ぐだけで精一杯だった状態の"ニヤけ面"には酷な話だ。


 バーバラは改めて、"ニヤけ面"と話した内容を2人に伝えた。レイとメリーは噂でしか聞いたことのなかった話ができる魔物が"ニヤけ面"だと言われ、疑いの目を向けたがバーバラがそんなに真に迫った様子で嘘をつけるとも思えなかったので頭から信じられないとは言わず、実際に確認してみてから信用してみようと思った。


「話してみた感じ、結構良い奴そうだったよ。少しねちっこいとこはあったけど、攻撃されるまでは攻撃し返さないってタイプだな」

「裏切ったりはしないんでしょうか?」

「まあ裏切るのは人間も一緒、って言うか人間の方が多いぐらいだけどね。下手をしないでもそこらへんの人より信用できる可能性はある。でも"ニヤけ面"は僕たちのことを恨んでいて寝首を掻きにくるかもしれない」


 メリーは夜な夜な自分が寝静まった頃に枕元に忍び寄ってくる影を想像してしまい、背筋がゾワッとした。寝ている隙に命を狙われるなど恐怖でしかない。


「まあこれはアタシの勘なんだがな。こいつはなんか大丈夫な気がしたんだ」


 全く大丈夫な根拠が説明されなかったがバーバラが言うと不思議とそのような感じがしてくる。普段から頼りがいのあるバーバラだからこそ、そう感じるのだろう。


「バーバラさん、"ニヤけ面"を連れて行こうと思ったのって本当にお金稼ぎをするための戦力になるからって理由なんですか?」


 レイがニヤニヤとしながらバーバラに尋ねる。バーバラが"ニヤけ面"を納得させるために使った理由は絶対にメインではないと確信しているような顔だった。


「まあ金が無くなったってのと、こいつが仲間になれば心強いって思ったのは別に間違ってないさ。ただ、1番の理由は……勝ち逃げされたくないからだな。いやぁアタシは運が良い。まさかリベンジをさせてくれる機会がもらえるとは」


 今は"ニヤけ面"の手心により生殺与奪の権利を握る優位な立場にいるが、それがなければバーバラは確実に死んでいた。命をかけた戦いをして負けたなら普通はリベンジする機会など回ってこない。バーバラは意思疎通ができると分かった瞬間、これしかないと思った。話が通じ、性格も破綻している様子がない。ならば仲間として連れて行くことになんの問題もない。仲間にする以上、もう生き死にに関わる戦いをすることはできないが、遊び相手には事欠かなくなるだろう。

 バーバラが浮かべた好戦的な笑みにレイはやっぱりと言っているような表情をメリーはそんな理由だったのかと苦笑いの表情を浮かべた。



+ + +



 一方その頃、上空を一体の灰色の龍が飛んでいた。上機嫌そうに鼻唄を歌い、立派な翼を大きく羽ばたかせている。


「フンフフーン。良い天気だ。獲物を狩るのも楽しいけどこんな日はあったかい太陽の光を浴びながら冷たい風を感じるに限るね!」


 全身に生えた艶のある灰色の鱗に太陽の光が降り注ぎ、キラキラと光る。鱗で太陽の光や風を感じるのは気持ちがいいらしく、とてもご満悦の様子だ。


「あーでも小腹が空いたなー。あっ、あそこの森なんていいじゃん! ちょっと寄ろーっと」


 少しばかり空腹を感じていたところ、生き物や食べられそうな植物が豊富な森を見つけた。摘み食いをするのに丁度いいと思い旋回しようとしたときだった。


「うわっ、危ない!」


 慌てて翼を動かし、上昇する。すると刃の形をした魔力の塊が灰龍の居た場所を通り抜けて行った。驚くべきはその刃が秘めていたパワーだ。いくら丈夫な身体を誇る龍とはいえ、今のをもらっていれば流石にただでは済まなかっただろう。


「誰!?」


 攻撃を仕掛けられたのだと思い、辺りを見渡すも自分以外、この空には誰もいない。それもそのはず、龍に喧嘩を売れるような存在など近くに居ればすぐ分かる。自分が気持ち良く空を飛べていたということは感知できる範囲内にそのような存在が居なかったということを意味する。目に見える範囲に危険な存在が居るはずもなかった。


「があああぁぁぁ!」


 しかし、気持ちよく飛んでいたのを邪魔された灰龍は怒りの矛先である何者かを探して暴れ狂った。口からは激しい炎のブレスを吐き出し、多少の空腹のことなどもう頭にない。

 結局この龍が我に帰るまでは数日間かかり、自分に攻撃を仕掛けてきた者はとうとう見つからなかった。

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