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第8話「雨の日と魔法」

ザーーーーーーー


今日は朝からずっと雨だ。

普段だったらこういう日はスマホでネットサーフィンしたり、

漫画を読んだりしていたけれど、今はどれもできない。

もちろん狩りに行くこともできないので、ミサキ達は退屈な時間を過ごしていた。


「ねぇリーナ」


ミサキはリーナに話しかける。

ちなみに初日以降、ミサキとリーナは同じ部屋に泊まっている。

その方が安心するし、宿泊代金が一人分で済むからだ。


「何でしょうか?」

「私でも魔法って使えるのかな?」


この世界には魔法がある。

それはリーナが何回も使ってるので知っている。

もし使えれば凄く便利だろう。

なによりロマンがある。

私も漫画やアニメで超能力のあるファンタジー作品の必殺技に憧れたことはある。

この世界の人間ではない私に魔法が使えるとは思ってないけど

もしかしたら……と、ダメ元で聞いてみる


「はい、使えますよ」

「え、本当に?」


リーナがあまりにも軽く答えるので驚いた。


「ちょっと待っててくださいね」


リーナはそう言うと、備え付けの紙とペンでゆっくりと丁寧に丸い模様を描き、私に渡した。

これはファンタジーでよく見かける魔法陣って物なのだろうか?


「これを持って、紙に意識を集中させてください」


思ったより遥かに簡単すぎて、本当に魔法が使えるんだろうか逆に心配になる。

半信半疑ながら私は紙を受け取り、意識を集中させる。

どんな魔法が出るのかわからないので、適当に魔法出ろ!魔法出ろ!と念じてみる。

すると紙がほんのり光り始めた。


「す、凄い!」

「こんな風に、魔法陣があれば誰でも魔法が使えるんです。

と言っても、強い魔法になると、その分魔法陣も大きく複雑になって、

使う魔力も多くなってしましますけど」


つまり使えるなら初級魔法ぐらいか。……でも、少し気になる事がある。


「でも、リーナはいつも魔法陣を使わないで魔法を使ってるよね?

もしかして、その杖があると魔法陣が無くても魔法が使えるの?」


わざわざ魔法陣を書いて魔法を使う、なんて手順を踏んでたら

ミサキがホーンラビットから攻撃を受けた時、すかさず回復魔法をかける

なんて事はできないだろう。

その秘密は、そのいかにもファンタジーな杖にあるんじゃないかとミサキは予想した。


「いえ、魔法陣を書かなくても、努力と適正次第で魔法を使う事が出来るんです。

私の適正属性は光なので、光の魔法はイメージするだけで使う事ができるんです

後は、無属性の魔法も誰でもイメージするだけで使う事ができますね」

「なるほど……、私の適正属性……ってわかるかな?」

「それじゃあミサキさんの得意な属性を調べますね」


そんな事までわかるんだ。ミサキはそう驚きつつ、少し待った。

リーナはさっきとは違う魔法陣を描き、ミサキに渡した。


「これは使う人の適正属性によって効果が変わる魔法陣です。

紙が燃えたら火属性。紙が濡れたら水属性。

紙が崩れたら土属性。紙が裂けたら風属性。

紙が光ったら光属性。紙が黒くなったら闇属性です」


ミサキはリーナからその紙を受け取る。

緊張で手が汗ばむ。

一体自分の基本属性はなんだろうか……?

異世界人だから基本属性を持って無い、なんて事もあるんじゃないだろうか?

そんな期待と不安を胸にいだき、先ほどのように、紙に意識を集中させる。

するとがハサミを使ったかのようにスパッと切り目が入った。


「ミサキさんはどうやら風属性の適正があるみたいですね」


風属性かぁ……風属性と言えばかまいたちを起こしたり

風で物を吹き飛ばしたり、色々できる印象がある。

……よかった、私でも魔法が使えるんだ!

そう考えると凄く嬉しくなった。


「ねえリーナ!魔法ってどう練習したらいいの?」

「それはですね……」


こうして私の魔法の練習が始まった。


◇◆◇◆◇


「凄いですミサキさん!やっぱりミサキさんは魔法の才能があるんですよ!」

「ありがとう。リーナの教え方がいいからだよ」

「そ、そんな事ないですよ」


リーナの教え方はとても丁寧で分かりやすく、

始めは手の中で風が吹いた気がするぐらいの感覚しか無かったのが

お昼ごろにはハッキリと手からそよ風を出せるぐらいになっていた。


ぐぅぅぅぅ


「お腹も空いてきたし、そろそろご飯にしようか?」

「はい」


リーナの話によると、魔法を沢山使った時は甘いものを食べるのがいいらしい。

実際今は何か甘いものが食べたい気分だったので、ミルクトーストを頼むことにした。

ミルクトーストはふんわりしていて甘く、とても美味しかった。

糖分が体に染みわたる。練習で減った魔力が体に満ちていく気がする。

リーナも満足そうに食べている。


昼食も食べ終え、部屋に戻ると、また魔法の練習を始めた。

結局今日は他にやる事も無いので1日中魔法の練習を続けていた。

あれから風を吹かせるだけでなく、それを軽く操る事もできるようになっていた。

リーナはミサキの魔法の上達の早さに驚いていた。

魔法の練習も沢山できたし、偶には雨の日もいいものだと思った。

でも何日も狩りを休むわけにもいかない為、明日には雨が止んで欲しい所だった。

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