最終話「新たなる旅立ち」
「やっつけた……のか」
私は力が抜け、その場にへたり込む。
「ミサキさん!ジャンゴさん!大丈夫ですか?」
リーナが慌てて近寄り、私達に回復魔法をかける。
辛かった痛みが取れ、体が楽になっていく。
「ありがとう、リーナ」
「助かったぜ」
激戦が終わり、やっと一息つける。
「今回はお前達に救われた。ありがとう」
するとジークが私達にお礼を言う。
「私の方こそ礼を言う。私の力だけではきっとソロモンの奴を倒せなかっただろう。
本当にありがとう」
それに対してシュヴァルツが深々とお辞儀をし、ジークに礼を言う。
「この礼はいつか必ず返そう。では、さらばだ」
ジークは穏やかに笑うと、バッサバッサと大きな風を巻き起こし、空の向こうに飛んでいった。
「君達も本当に助けられた。君達の力も無かったらソロモンの奴を倒せなかっただろう。
本当にありがとう」
シュヴァルツはジークが帰るのを見送ると、今度は私達にお礼を言ってきた。
「それは私達も同じですよ。助けてくださって本当にありがとうございます」
実際助けられたのはどちらかと言うと私達の方だ。
もしシュヴァルツ騎士団長の助けが遅かったら、私達は助かってなかったかもしれない。
「ふふっ、そうか。ジャンゴ、いい友人を持ったな」
「はい。俺も、この人達と出会ってよかったと思います」
2人して私達の事を褒めるので、なんだか照れてしまう。
「所で、君達に助けてもらった礼をしたい。何でも言ってくれ」
何だか既視感のあるセリフ。
ジューカ森で奴隷戦士と戦った際に、ジャンゴが言った言葉に似ている。
こういう所が親子なんだなぁ、と感じた。
「どうする?リーナ」
「じゃあ、ネクス港に行く馬車を出してもらいませんか?」
「馬車を出して欲しいのか?もちろん構わないぞ」
「じゃあ、それでお願いします」
こうして私達は騎士団の馬車で港に行くことになった。
「付いたぞ。ここがネクス港だ」
私達は騎士団の馬車でネクス港に来ていた。
潮風が吹いていて気持ちがいい。
港にはそれなりに大きな帆船が停泊していた。
「お前達とも、これでお別れだな……」
騎士副団長として一緒に付いてきたジャンゴが、名残惜しそうにつぶやく。
「大丈夫。世界を回ったら、またここに戻って来るよ」
「その時は土産話を聞かせてもらうからな」
「もちろん!」
そう言うと、ジャンゴは手を振りながら、笑顔で馬車で戻っていった。
「さて、そろそろ行こうか」
「はい」
私達は船員に乗船料を支払い、船に乗り込んだ。
そこには無限に広がる大海原があった。
「この海の向こうには何があるんだろうね……」
「私も、この大陸から出た事が無いのでわかりませんね」
「楽しみだね。リーナ」
「はい!」
これから先、どんな国が私達を待っているんだろうか。
どんな冒険をするんだろうか。
きっと楽な旅では無いだろう。
また困難が幾度と襲ってくるかもしれない。
でも、私はこの未知の世界を全力で楽しむつもりだった。
未知なる世界の楽しみ方
おわり
未知なる世界の楽しみ方、完結です
島から出て終わりと言う形にしましたが、実は島の外の話も考えてはいました
しかし人気が伸びなかったので、一旦ここで終了する事にしました
もし機会があれば、島の外の話も書くかもしれません
その時が来たら、またよろしくお願いします
ここまで読んでくれて、本当にありがとうございました