第53話「ドラゴンとの戦闘」
「うおおおおおおっ!!!」
「とりゃああああっ!!!」
私達はジークに向かって突撃する。
しかし、ジークも空を飛び、ブレスを放ち、私達を近づけさせない。
ブレスはなんとか回避ができているが、その度に街に被害が広がってしまう。
シュヴァルツ騎士団長みたいに受け止めるのも無理なので、短期決戦を狙うしかない。
「畜生!全然攻撃が効かねぇ!」
しかし、私達の攻撃は、ことごとく避けられるか、その頑丈な鱗で防がれてしまう
温厚とは言え、流石ドラゴンと言う事だけはある。
「何か弱点とかは無いんですか……!?」
リーナが藁にも縋る思いで聞いてくる。
「ドラゴンに弱点なんて物は存在し無い……!」
ジャンゴは歯を食いしばり、悔しそうに唸る。
しかし、私は希望の光をドラゴンに見つけた。
「……いや、もしかしたら、弱点があるかもしれない」
「……どういうことだ?」
「あれを見て」
私はジークの腕の方を指さす。
そこには大きな頑丈そうな輪がはめ込まれてあった。
「まさか……あれは……」
「奴隷の首輪……!!」
「もし、あれを破壊すれば」
「……ああ、ドラゴンは開放される!」
「行けるかもしれない!」
私達は微かな希望を見つけ、再びドラゴンに戦いを挑む。
しかし問題なのはやはりドラゴンの機動能力だ。
並みの速度ではそもそも攻撃が当たってくれない。
「……ミサキ、リーナ、俺が囮になる。俺が奴の動きを止めるから、
その隙に首輪を破壊してくれ」
「……わかった」
「リーナ、俺にバリアを張ってくれ」
「わかりました。バリアーッ!」
リーナはジャンゴにバリアを張る
「……気を付けてくださいね」
「ああ、任せろ」
そう言うとジャンゴはジークの元に飛び出していった。
ジャンゴは剣に炎を纏わせてジークに切りかかる。
しかし、ドラゴンはそれを避けると、ブレスで反撃する。
ジャンゴも紙一重でその攻撃を跳んでかわすと、再び剣を振り上げて
ジークに向かって攻撃しようとする。
ジークは、向かってくるジャンゴを撃墜しようと、再びブレスを吐き出した。
「う……ぐぐぐぐ……!!!」
ブレスは見事にジャンゴに命中する。
強烈な衝撃が広がるが、ジャンゴはリーナのバリアもあって、かろうじて耐えている状態だ。
「この……程度……で……くたばって……たまるかぁっ!!!」
ジャンゴは魔力を込めて、そのブレスを何とか押し返そうとする。
しかし力の差は歴然だ。いずれジャンゴの魔力が枯渇し、
吹き飛ばされてしまうのは目に見えている。
だが、今だ!、ジークの注意がジャンゴに集中してる今しかない!
私はナイフに魔力を込め、竜巻をナイフに纏わす。
そして慎重に、慎重に、ジークの輪に狙いを定めて、ナイフを思い切りブン投げた!
ナイフは物凄い勢いで飛んでいき、見事に輪に命中した!
輪はピシピシと言う音を立てて、崩れていった。
そして輪が崩れたと同時に、ジークもその場に倒れたのだった。
「や……やった!」
私は疲れと安堵で膝をつく。
「大丈夫ですか?ミサキさん」
「私よりジャンゴの方を見に行ってあげて」
「わ、わかりました!」
リーナは慌ただしくジャンゴの元に近づくと、回復魔法でジャンゴの傷を癒した。
これでなんとか大丈夫だろう。
そう思った瞬間、空からシュヴァルツが勢いよく落ちてきた。




