第48話「エルフの村」
「付いた!エルフの村!フルエーレ!」
フルエーレ村は大きな森の中に木で出来た家が地上はもちろん、木の上にも建てられていて
田舎を通り越して、まるでメルヘンな雰囲気を出していた村だった。
「ミサキ達はこれからどうするんだ?」
「とりあえずこの村を回ったら、近くの山に行ってみようかな?
リーナもそれでいい?」
「はい、大丈夫ですよ」
「そうか。俺はこれからソロモンの事を聞きに行くから、またな!」
そう言うとジャンゴはギルドの中に入っていった。
森はジューカ森の中を飽きるほど歩いていたが、やっぱり人の手が加えられた
物があると、印象がずいぶん変わって見える。
特に木の枝の上に建てられた家と言うのは、元居た世界でも見た事が無くて
新鮮に感じられた。
「リーナ!この上は料理屋だって。今日のお昼はここにしない?」
「いいですけど、どうしたんですか?そんな興奮して」
「だって、木の上にある家って、なんだかロマンを感じない?」
「えっと……ミサキさんが楽しいなら良かったです」
私達は階段を上り、木の上の料理屋に行ってみた。
席に座り、窓の外から景色を眺める。
高い木の上にある店だから景色がいい。
木で作られたお店と言うのもあって、まるで隠れ家に居るかのようだ。
とりあえず折角お店に来たわけだし、何か注文してみることにする。
メニュー自体はほかの所とあまり変わりはない。
ただ、最後の方に、店長オススメとしていくつかのパイが載せてあった。
なので私達はお勧め通り、リーナはアップルパイを、私はシチューパイを注文した。
しばらくすると注文した料理が届いてきた。
パイからはいい匂いがしてくる。
私はスプーンを手に取り、パイ生地を砕き、中のシチューを口に運ぶ。
美味しい!
上手く言えないけれど、他の所のシチューよりも、なんだか味に深みがあると言うか、
美味しい。
砕いたパイ生地もシチューを吸って美味しくなっていた。
「ミサキさん、このアップルパイ美味しいです!」
リーナも満開の笑顔でパイを食べている。
あちらも美味しそうだ。
「ねぇリーナ、ちょっと交換しない?」
「交換ですか?いいですよ。あーん」
私はリーナのアップルパイを一口食べてみる。
うん、確かにこれも美味しい。
中のりんごがまさにとろけるように甘い。
お返しにと私もリーナにシチューパイをあーんする。
「こっちも美味しいです!」
リーナの方もシチューパイを気に入ったみたいだ。
そんな感じで食事をしていると、空に大きな物が飛んでいくのが見えた。
「ねぇリーナ、あれ見て!」
「あれは……もしかして、ドラゴン!?」
そう、あの姿はまさしく巨大なドラゴンだった。
 




