第42話「囚われた冒険者」
しばらく進んでいくと、広い空間に出た。
そこには大きな鉄の檻があり、その前には1人の兵士が立っていた。
どうやらここは牢獄の様だ。
「侵入者……排除する」
兵士は私達に気が付くと、手に持った槍で攻撃してきた。
「ま、待ってください!私達はここが牢屋だなんて知らなくて……」
「排除する!」
兵士は攻撃を緩める気配が無い。まさに問答無用だ。
仕方がない。
私は手を握り、力を籠め、兵士の腹に強めの1撃を叩き込んだ。
「ぐっ……」
兵士は槍を落とし、その場に崩れた。
「大丈夫ですか?その人」
「大丈夫。気絶させただけ。それよりもこの人……」
私はその兵士の首元を見る。
そこには大きな頑丈そうな首輪が嵌められていた。
この首輪には見覚えがある。
「これは、奴隷の首輪……ですね」
そう、セントラル王都で見た奴隷が付けていた首輪と同じだ。
「この人も奴隷なのか。それにしてもどうしてこんな所で……」
「一体誰がこんな所に捕まってるんでしょうか……?」
一体どんな人が捕まってるんだろうかと中を覗いてみる。
すると、奥から何人かの男女か出てきた。
「い、一体何事だ……?」
「貴方達は一体誰ですか……?あの人達の仲間ですか……?」
「門番が倒れている。もしかして俺達を助けに来てくれたのか!?」
彼らは口々に言葉を喋る。
「待って、落ち着いて、とりあえず貴方達は何でこんな所で捕まってるの?」
一旦彼らを制止させて、疑問だった事を聞いてみる。
正直言って、彼らがこんな所に幽閉されるほどの危険人物だとは思えない。
「……俺達はこのジューカ森でモンスター狩りをしていた時に
突然謎の戦士達に襲われて、気が付いたらこれだ……」
「私達はカムイ山で、同じく謎の戦士達に襲われて……」
「俺はソツチ森で……」
どうやら話を聞く限り、彼らはただの冒険者で、罪は全く犯していないらしい。
そして、冒険している所に突如謎の戦士達に襲われて
ここに捉えられたとの事だ。
「お願いだ!俺達をここから出してくれ!!」
冒険者の1人が檻を掴んで私達に必死に懇願する。
「ミサキさん、この人達を助けましょう。
こんな所に閉じ込めたり、奴隷に門番させたり、やっぱりおかしいですよ」
「うん、私も同じ事を思ってた。でも助けるって言ってもどうしよう。
この檻の鍵なんて何処にあるかわからないし、頑丈そうで壊すのも無理そうだし……」
「セントラル騎士団に相談してみましょう。きっと彼らならなんとかしてくれますよ!」
「わかった。待っててください。今助けを呼んできますから!」
私はそう彼らに伝えると、走って洞窟の外に出た。
しかし、洞窟の外には何人かの戦士が入り口を囲むように立っていた。




