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第40話「魂の浄化」

「……まさかお前に倒される事になるなんてな」

「……よかった、やっと正気に戻ってくれて」


グレイヴはマリアンさんの強烈な光の魔法の1撃を食らい、焼け焦げた床の上に倒れていた。

そのショックでか、どうやら正気を取り戻したらしい。


「まさか冒険者に助けられるだなんてな……複雑な気分だよ」


彼は嬉しいような悔しいような、そんな複雑な顔をしていた。


「……どうしてそこまで冒険者を嫌ってるんですか?」


この屋敷に入った時も、戦ってる時も、彼の発言はとにかく

冒険者に恨みと怒りを抱いていたものだった。


「……俺はかつて、マリアンと共にこの屋敷に住んでいた事がある。

そんなある日、どこからか冒険者がこの屋敷に迷い込んで来たんだ。

流石にこの森で迷った人を無碍にするわけにもいかないと言う事で

俺達は1晩だけその冒険者をこの屋敷に泊めることにしたんだ。

……だが、奴は俺達の寝込みを襲い、俺達を殺しやがったんだ……!」


彼が最後の言葉を言う時、声が怒りで震える。

今まで被っていたローブは炎で焼け、素顔が見えるようになったが

本当に怒りと憎しみの詰まった表情をしていた。

それにしても、2人はもう殺されたと言う事は、もしかして今いる2人は……


「その後については私が話すわ。冒険者に殺されたグレイヴは

冒険者への怒りと憎しみで蘇り、その冒険者を闇に葬った。

しかし、それだけでは怒りが収まらず、その怒りと憎しみがレイスを引き寄せるようになった。

このままでは屋敷の外にまでグレイヴの怨念が広がる可能性があった。

だから私もこの世界に留まり、今までずっとグレイヴの怒りを鎮めていたわ」


淡々と話すが、こんな所に閉じ込められて、ずっとあんな彼の怒りを

鎮めるなんて、非常に大変だったに違いない。


「……ずっと迷惑をかけたな。マリアン」


その事に気が付いたのか、今までに聞いたことが無いぐらい優しい声で彼女に謝罪する。


「いいのよ。正気に戻ってくれて、本当に良かった。

これでやっと2人で旅立つ事ができるわね」

「……ああ、そうだな」


マリアンもグレイヴも、優しい顔で、穏やかな雰囲気になっていた。

すると、2人が小さな光の粒子に包まれていく。


「ありがとう2人共。おかげでまたマリアンと一緒になる事ができた」

「ありがとう。ミサキさん、リーナさん。おかげでグレイヴを正気に戻す事ができました」

「それじゃあ、行こうか」

「……はい!」


彼女達は悔いがもう残ってないかのような穏やかな表情をしながら光に包まれて

天高く消えていった。


「……マリアンさん達も幽霊だったんですね」

「ああ、でも、これで無事成仏できるだろう」

「マリアンさん、グレイヴさん、安らかに眠ってください……」


私達は2人に対して祈りを捧げ、この屋敷を出たのだった。

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