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第38話「幽霊屋敷の魔術師」

「もう大丈夫。この部屋には結界が張ってあるから、奴らはこの中には入ってこないわ」


私達は彼女の誘導である部屋に逃げ込んでいた。

その部屋はボロボロではあったが、埃やクモの巣と言ったものは無く

廃墟にしては比較的綺麗な部屋だった。


「ありがとう、助かりました」


確かに彼女の言う通り、あの黒いモヤはこの部屋には入ってこないようで

これで一息つけそうだ。


「無事でよかったわ。私はマリアン。貴方達は?」

「私はミサキ。彼女はリーナ」

「あのマリアンさん……さっきのあれは一体何なんですか……?お化けですか……?」


リーナが怯えながら彼女に尋ねる。


「さっきのはレイスと言うモンスターよ。まあ、怨念や悪霊みたいな存在だから

お化けと言うのは間違ってないわね」

「通りで攻撃が全然通用しないと思った……」


幽霊みたいな存在ならナイフみたいな攻撃が効かないのも納得できる。


「レイスには物理的な攻撃はほとんど効かないわ。

倒すなら魔法で攻撃しないと」

「風属性の魔法でも効きますか?」

「ええ、魔力が籠っていればどの属性でも効くわ」

「なるほど……それなら私達でも戦えそうだね」


とりあえず、自分達でもあのレイスと言うお化けに対処できそうで少しほっとする。

魔法で対処できるのなら、幽霊と言えど怖くはない。


「でも、どうやってこの屋敷から出るんですか?扉も開かなくなっちゃいましたし」


リーナが心配そうに話す。

確かにレイスをどうにか出来たとしても、扉が開かなければ脱出できない。


「開かないのなら仕方ない、ブッ壊すしか」

「それは難しいわね」


マリアンさんが険しい顔で話に割り込んでくる。


「この屋敷は闇の魔法によって強化されているから、並みの事じゃ傷つきもしないわ」

「闇の魔法って……一体誰がそんな事を」

「この屋敷の持ち主で、レイス達の親玉でもある、闇の魔導士グレイヴの仕業よ

彼はこの屋敷に入ってくる人を逃がさず殺すために

この屋敷に魔法をかけ、レイス達を従えるようになったわ」


闇の魔導士……なんか聞くからにヤバそうな雰囲気だ


「それじゃあどうやってここから出れば……」

「私がグレイヴの怒りを鎮めてくるわ。そうすれば扉から出られるようになる」

「そんな事出来るんですか……!?」


館全体に魔法を張ったり、レイス達を操ったりと、グレイヴは並みの魔導士じゃないだろう。

そんな人の怒りを鎮める事ができるなんて、彼女は一体何者なんだろう。


「ええ、私に任せて頂戴」

「私達も一緒に行きましょうか?」

「ううん、彼はこの屋敷に人が入って来た事に激怒しているわ。

そんな所に貴方達が現れたら余計に彼を怒らせてしまうかもしれない。

大丈夫よ。彼の怒りを鎮める事は何度もやってるから」

「……わかりました、お願いします」

「それじゃあ行ってくるわね」


そう言うと彼女は扉を開けて出て行った。






「マリアンさん大丈夫でしょうか……?」


あれから1時間は経っただろうか?

未だに彼女は戻ってこない。


「ちょっと心配だね……なんだか嫌な予感がする」


いくら彼女が大丈夫だと言っても、万が一と言う事がある。

だが、グレイヴの怒りの原因が私達だと言う事を考えると、迂闊に助けには行けず

大人しくこの部屋で待ってるしか無かった。


しかし


ドゴォォォォォォッ!!!


「何!?今の音!!」


どこからかすさまじい轟音が聞こえ、部屋の中が揺れる。

振動で天井から塵がパラパラと落ちてきた。


「リーナ、やっぱりマリアンさんの事が心配だから行こう!」

「はい!」


居てもたっても居られなくなって、私達は外に飛び出した。

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