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第10話「ゴブリンと成長」

ぐぅぅぅぅぅ


景色を眺めていると、お腹が鳴る音が聞こえる。


「あっ……ごめんなさい」

「もうお昼過ぎてるからね、ご飯にしよっか」


私はリュックから紙に包まれたサンドイッチを出す。

今朝ギルドの食堂でテイクアウトしてきたものだ。

具はレタス、トマト、オニオン、ベーコンと言ったオーソドックスなサンドイッチだ。

少し湿気ってしんなりしているけれど、素材がいいからか、

それとも外で食べてるからか、十分美味しかった。


「ご馳走様」

「お腹いっぱいです」

「さて、今度こそゴブリンを見つけないと」


食事を終え、山を下りようとしたその時、近くから聞こえたガサガサと言う

草木を掻き分ける音が聞こえて来た。


まさかゴブリンか!?


私はすぐさまナイフを構え、リーナを庇うように前に立つ。


案の定、そこから出て来たのはゴブリンだった。


ふと脳裏にあの死闘が蘇る。

ミサキが初めて異世界に来た日の夜に出合ったゴブリンは

ミサキの中で強烈な記憶として残っている。

正直言うと結構怖い。

でも、この世界を回るなら、この程度の相手に臆してなんていられない!


「ギエェェェェェェッ!」


ゴブリンは私達を見つけるとニヤリと笑い、唸り声をあげて突っ込んでくる。

ホーンラビットよりも早い動き。しかし今のミサキなら十分に見切れる早さだった。

ゴブリンは力を込め、手に持ったこん棒を振り下ろす。

ミサキはそれを素早く横にかわすと、すかさずゴブリンめがけてナイフを突き刺す。


ザシュッツ!


ナイフはゴブリンの腹を貫いた。

ゴブリンはふらふらとした足取りで後ずさり、腹に刺さったナイフを引き抜き投げ捨てた。


「ギエェェェェェェッ!」


ゴブリンは再び唸り声をあげてこちらに殴りかかってくる。

今のミサキに武器は無い。

はたから見たら絶体絶命のように見える

しかしミサキはそんな状況にも臆さず、右手を横に構える。

そして右手に意識を集中させて、一陣の風が吹く様子をイメージする。

そうしてる間にもゴブリンはミサキの目の前に来て、手のこん棒を振り下ろす。

ミサキはゴブリンの攻撃を左腕で防御する。

片手で防御した為、痛みも衝撃も大きく、ミサキは顔をしかめるが、なんとか踏みとどまる。


「ウィンドカッター!」


ミサキはゴブリンに向かって右手を突き出し叫ぶ。

すると右手から一陣の鋭い風が放たれた。

風はゴブリンに当たると、ゴブリンを切り裂き吹き飛ばした。

ミサキはリーナから魔法を教わって以来、毎朝魔法の練習をしていたのだった。

実戦で使うのは今回が初めてだったが、無事成功したようだ。


「痛っ……!流石に片腕はちょっと無理があったか」

「大丈夫ですか?ヒール!」


流石に片腕での防御は衝撃が大きく痛みも強かったが、

リーナの回復魔法のおかげでその怪我もすぐに治った。


「そうだ、ゴブリンは?」


ゴブリンの方を見てみると、傷口から血を流し、ピクリとも動かなくなっていた。


「やった……!やったよリーナ!」

「流石ですミサキさん!」


ミサキはリーナと一緒に喜んだ。

かつてあれだけ苦労したゴブリン相手に勝つことができた。

恐怖を克服する事が出来た。

この世界で確かに成長できている。それを実感できてミサキは嬉しくなった。

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