7日目 転移
7日目
昼過ぎにトオルが帰ってきた。
職業が、自宅警備員からデリバリーヘル男に変わっていた。
相変わらず読めない変化をする。
魔法剣は失敗だった。ということで、トオルに他の魔法のアイディアが無いか聞いてみた。
「スタンダードなもので転移なんてどう?ぐふふ。」とのことだった。
相変わらず、異世界の発想は柔軟で素晴らしい。
ということで、作ってみた。
トオルが脇で「天才か!?」と騒ぎ、五月蠅いのでエメラルドプロージョンを決めておいた。
いくつかのパターンを考えてみたので、順次実験をしてみた。
言い訳をするわけではないが、俺は最強の決戦用魔法を開発してしまったかもしれない。
①魔力でA地点とB地点との間の空間を圧縮・歪ませ、物理的に距離を短くすることで転移を実行してみた。
実験は成功した。
しかし、A地点とB地点との間にあった山が消し飛んでしまった。
魔王の仕業か?などと国中で大騒ぎになっていたので、便乗しておいた。
ふぅ。助かった。
②A地点とB地点にマーカーを打ち込み、A地点のマーカーの周辺1メートル以内の空間を削り取り、B地点に転送することで転移を実行してみた。
実験は成功した。
しかし、原因不明の大爆発と共にキノコ雲が上がっていた。
トオルによると転移先の原子衝突による核融合が原因だということだ。
魔王の仕業か?などと再度国中で大騒ぎになっていたので便乗しておいた。
吹き飛んだのは魔王城なのだが。
ふぅ。助かった。
なお、A地点は真空になってしまうので、近くにいると吸い込まれるという被害が出るようだが、魔王城に比べれば大した被害ではないようだ。
②´A地点とB地点にマーカーを打ち込み、互いのマーカーの周辺1メートル以内の空間を交換することで転移を実行してみた。
実験は成功した。
B地点の1メートルの境目にいた魔王の半身が抉り取られていた。
可哀想に。
A地点のマーカーのあった場所に抉り取られた魔王の半身が突然現れたので、国中が大騒ぎになっていた。
流石は聖剣の使い手!勇者の力に違いない!とだけ言って帰宅。
トオルの発案の魔法が初めて成功したが、これは危険すぎるので封印することにした。
魔王城に間違えてトオルを置き去りにしてしまったが、気にしないことにした。
物理の知識は相当怪しいのでそういうものだとサラッと流しておいてください。