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14.ゴッドハンドやめますか、それとも人間やめますか
誰にも顧みられることなく、時の流れと共に埋もれていった作品群の中から、自分の経験とカンを頼りに、これぞと思う名作を発掘しようとする人のことを、「スコッパー」と言います。
モウルも執筆作業からの現実逃避を繰り返している内に、いつの間にかスコッパーになっていました。
今日も自分の作品の更新をあきらめたモウルは、住居を抜け出して、あっちの廃墟、こっちの廃墟と、ナーロ街でも人気の少ない場所を選んでさまよい歩きます。
一般に、スコッパーが自分の好みに合った作品と出会う確率は、別々の場所で発見された二つの石器の断面がぴたりとくっつく確率に等しい、とまで言われています。
その労多くして功少ない作業に耐えきれず、スコッパーの多くは道半ばで廃人になるとか。
モウル君が心配です。