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レイリア3



穴から引き摺り出され、眩しい光が目を焼く。今まで暗闇に慣らされていた瞳が突然大勢の松明で明るくなった光で眩しくて目眩がする。


「お姉ちゃん!どうしたの?」

「私の事は構わず行って!早く!」

「んん?リオリアもいるのかい?パパが助けに来たよ。すぐに迎えに行くからいい子にして待っていてなぁ」

「リオ、ダメ!騙されないで!こんな奴パパじゃない!グラ爺とミア婆はどうしたの!?」

「あの老いぼれ共か?今頃瓦礫に埋もれて死んでるさ。娘達に会うのを邪魔するからいけないんだよぉ」

「聞いたでしょ!コイツはグラ爺とミア婆を殺したんだ…っ死ぬって言うのはもう二度と会えなくしたってこと。逃げなければ私達もそうされる!」

「嫌だ!お姉ちゃんも一緒に!」

「リオ!お願いだから言う事を聞いて」


大の大人に取り押さえられ、殴られる。

口の中が切れて、血の味でいっぱいだ。それでもお腹を蹴られ、髪の毛を引っ張られる。ミシミシとなるお腹。ブチブチと抜ける髪の毛。ポロポロと流れる涙。

ゲホゲホと口から色々なものが流れてしまう。

焼けるように熱くなる喉とお腹から響き渡る激痛は私を苦しめる。


「レイリアは本当に悪い子だねぇ。気に食わないなぁ」


悲鳴を上げたらリオが心配してここで立ち止まってしまう。歯を食い張って耐える。


「ほぉ〜ら、お姉ちゃんが死んじゃうよぉ?早く戻っておいでぇ」

「だ…め」

「お姉ちゃん!お父さんならお姉ちゃんに酷いことしないで!」

「なぁ〜ら、こっちにおいでぇ」

「ダメ!早く行って!お願いだからお姉ちゃんの言う事聞いて…」


リオは賢い子だ、本当に。

こんな男の口車にも乗らずに自分にできることを冷静に見極められる子だ。自慢の妹だ。

だからそのまま逃げて欲しい。私の事なんて忘れてこの男の手の届かない範囲へ、お母さんと一緒に。

遠ざかっていく足音、それと共に醜く顔が歪む男。


「余計な事言いやがって」


蹴っては蹴って殴られる。

服をビリビリに破られて抵抗するとニタニタと笑う男達。益々喜んで、髪を引っ張りながら私を立たせる。

男の腰にぶら下げていた大層に豪華な剣を松明に当てると赤く轟々と焼ける音がした。それを私の前にチラつかせて反応を楽しんでいる。


「どこにしようかなぁ」


肉が焼ける音は背中から鳴って、私は予想だにしない衝撃で目がチカチカする。悲鳴がいっぱいに口から流れ出て、ガタガタと身体をめいいっぱいに暴れさせる。


「おいおい。早すぎんだろうがぁ」

「すみません。合図があればいつでもできるようにスタンバイしているんで」

「ハハッ出来すぎた部下だなぁ」


後ろにいた兵士達が皆赤く焼けた剣を持っていて、私に振り翳している。

私はそれに逃れようと必死だ。絶望に滲ませた顔でただ奏でるだけの楽器でしかない。

男達の笑い声よりも高い私の悲鳴。恐くて怖くて涙が枯れそうになるくらい汁という汁を出す。恐怖と激痛はこれでもかって私を追い詰めて逃がさない。


「お…ねが……っやめ」

「わかんねーよクソガキ。よくも手こずらせてくれたな」


私達が何をしたんだろう。なんでこんな目に合っているのだろう。

謂れのない暴力が無情にも私を襲って、助けを乞うて必死に神に祈りを捧げる。


「…ヒッ…神さまぁ…お助けてください……ァ゛ッ」

「助けるわけがないでしょう?親不孝な悪い子達を」


皮膚が焼けていく。

熱い刃が私の肌に触れ融けるようなそんな感覚。抉られていく心。裏切られたかのような気持ち。

背中から胸や殴られたお腹までもが火傷で酷くなっていく。あの男は太ももに熱を帯びた剣を宛がって焼いていく。


「あ゛、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ」

「神様はレイリアの事は救いませーん。私達、敬虔な信者の味方なのです」

「ヒッ…いたいよぉ…たすけて…」

「レイリアは本当にお母さんにそっくりだなぁ。虐めたくなる」


ぐじゅぐじゅになった傷口にナイフを取り出してつついてくる。


「レイリア、パパって言ってよぉ。そしたらやめてあげるよ」

「や…」

「素直になれない子はしょうがないなぁ。パパもママがいればレイリアはいらないんだよね」

「アンタが本当にパパなわけがない…」

「そうだよ?本当のパパは憎き兄様なんだぁ…私の大好きなロベルタを奪ってこんな遠い地まで逃がしやがって」


ロベルタは母の名だ。やはりコイツは父じゃなかった。

化け物の皮を被った恐ろしい人間なんだ。


「謝罪しろよ?しゃ、ざ、いっ!ここまで手間かけさせてさぁ…」


傷口を刃で引っ掻き回される。


「こんな小汚い小娘やっぱり私のファミリーに相応しくない。ロベルタさえいれば新しく私達の神に愛された子を作ればいい。兄様の血なんていらないんだよぉっ」


ナイフを引き抜くとベロリと舐めてニヤリと笑っている。傷口にナメクジが這うように男の舌が蹂躙を始める。

おぞましくて震える。怖くて恐ろしくて心が冷える。この男がお父さんの弟だと信じたくない。叔父さんはお母さんを狙っていて私を殺そうとする。悪魔だ。


「レィリァ……ッ」


歪んで見える悪魔は私を見て笑っている。後ろにいる悪魔達もニタニタと笑みを浮かべてまだかまだかと待ち構えている。


神様、いるなら私達をお救い下さい。

どうか神様。私の声をお聞き下さい。神様。


「いやっ!いやああああああああ」



私はいらない子ですか?



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