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レイリア1

お待たせしました。過去編をアップしていきます。

胸糞描写、グロありです。




私は辺境の街で産まれました。その街には似つかわしくない美しすぎる女の同胞から双子が産まれました。

姉の名はレイリア。妹の名はリオリア。

この世のものとは思えぬほど綺麗で美しい母に愛されて育ちました。

お母さんは優しい人でよく頭を撫でてくれ、困った顔で子供の我儘も聞いてくれました。しかし普段穏やかなお母さんもちゃんと悪い事や危ない事した時は叱ってくれました。

いつも笑っていて、甘酸っぱい木苺のパイをつくるのが得意でした。

サクサクして甘くて酸味のきいた果肉の木苺が口いっぱいに広がる味は母の味でした。パイはたまにブルーベリーやフランボワーズなどその時摘んだ物によって変わりました。


森で木苺を集めて持って帰るといつもバターの香りが鼻につきました。

焼き立てのパイに間に合うように朝早くに摘んでくる事が私の仕事です。

出来上がったパイを街の人達に配るのが妹の仕事です。

お互いの仕事を交換したり一緒に協力してやる時もありました。

でも人見知りの妹には人見知りをなおす為に村の人達に配るのをなるべくやらせてました。

スーザンおばさんがリオの為に揚げたてのドーナツを用意してくれます。気の良いマッシュおじさんがブランコなどの遊具を自製したりして遊び相手になってくれます。元庭師で老後は庭いじりが趣味なヤンおじいちゃんはリオがじっと見つめていた花をリオの為にあげました。

そしたら妹も慣れて来たのか街の人達とも会話をよくするようになり、友達もできたようです。

好きな子までできて私に紹介してきたりしました。ませています。


ニコニコ笑顔で溢れてました。

村の人達はお菓子をよくくれたし、幼い私達の遊び相手にもなってくれました。

いつも誰かの目があるので仕事で忙しいお母さんも安心していました。


「レイ、リオの事は任せたわよ。レイはお姉ちゃんだからね」


そう言って微笑み、優しく抱擁してくれます。

私は嬉しくて柔らかなお母さんの胸に埋もれます。

お母さんは太陽みたいにぽかぽかで月のような静けさを持った思慮深い人でした。


妹は言います。


「お姉ちゃんばかりズルい」


そう言うのお母さんはにこりと笑って弟も一緒に抱きしめてくれます。

暖かくて擽ったいようなそんな家族。

いつまでもこんな木漏れ日のような温かい日々が続くと思ってました。




「リオのお父さんっていないの?」


妹がお母さんに言います。

お母さんはその言葉を聞いて徐々に元気がなくなっていきます。


「お父さんはね、遠いところに行ったのよ」

「なんで?」

「いつか大人になった時にわかるわ。でも覚えておいて。お父さんは立派な人だったのよ。優しくて強くて誰よりもかっこよかった」


そう言ってお母さんは静かに泣きました。

私はなんとなくもうお父さんに会えないのだろうと悟りました。

妹は訳が分からなくて拗ねています。


「お母さんが困ったらいつでも助けてくれるヒーローだった。貴方達にもとても会いたがっていて自慢できる娘だと言ってたわ。もう少し貴方達が大きくなったら会いに行きましょうね…」

「わかった!楽しみにしてるね」

「もう遅いから早く寝ましょうね」


お母さんは妹を寝かしつけると私も寝るように言ってきます。


「お母さん、無理しないでね」

「ふふっ、お母さんは大丈夫だからレイの方が無理しないようにもう寝なさい。貴方は少し周りよりも賢くて大人だからなんでもわかってしまうかもしれないけど……忘れないで。困った時は自分だけが頑張らずに周りを、お母さんを頼るのよ」

「ありがとう。お母さん」


お母さんの暖かい手で眠りに誘われます。

私は知りました。父は死んだのです。後日、本を見て勉強をしました。家に帰らないお父さんの事を。事情があって遠くで住んでいるか、死んでいるかのどちらかしかありません。言葉通りを信じるなら遠くにいるでしょう。ただ本当に遠くにいるだけなのならお母さんは泣いてあんな顔をするのか違和感があります。お母さんはお父さんの事が大好きです。だけど、その目はどこか遠い目をします。永遠に会えないようなそんな目を。

だから死について調べます。調べていく内に自分の中でストンと落ちて納得してしまいました。

死とは怖いです。あまり調べたくありません。

静かに本を閉じました。



ある日、お母さんがいない時に家に一人の男が来ます。

父だと名乗ったその人は物珍しい玩具を取り出し、妹の心を掴んでいました。筒状のそれは中を見て綺麗だと妹ははしゃいでいます。

もしかして死んだと思ったのは早とちりだったのではと思いましたが直ぐにその考えを打ち消しました。

だってお母さんが話していた人にはどう見てもそうだとは思えません。

ピカピカと装飾品で着飾った高そうな服を見に纏い、とても自信に満ち溢れた顔をしています。お父さんはを優しい目をしていると言ってましたが、この男の人の目は暗く澱んでいます。口調は優しいですが何処か胡散臭いような何か隠しています。慈愛に満ちていたお父さんが嘘つきの目をするのでしょうか。


一緒に遊んでいた街の大人にも大丈夫だと説明されて、いつもならそれで安心なのですが手には紙の束を持っていました。妹はその事に気が付きません。

紙の束を何に使うかはわかりません。だけどいつも違って嫌な感じがします。村の人達もどこかよそよそしいです。

警戒する私の前にはお菓子を出して誘惑してきます。私はそれを振り払いました。

男の人はニコニコと気味の悪い仮面を取り払います。一瞬、醜い顔になると私の頬を打ちます。


「お姉ちゃんに何するの!」

「ごめんね。レイリアの手が痛かったからさ。ついぶっちゃったけど、これでおあいこだよね?」

「そうなの?」

「そうだよ。リオリアはお姉ちゃん思いないい子だねぇ。ほぉら、よしよし」

「えへへ」


男はまた仮面をつけます。


「ほらレイリア、仲直りしよう」

「いや!」


私は妹の手を掴んで走り出します。

お母さんの元へ、逃げるように人の間を抜けて行きます。

ですがお母さんが働いているところを知りません。

闇雲に探しました。街の人達も声をかけてきますが信用できません。もしかしたらあの男がいる家に連れ戻されるかもしれません。


「レイにリオじゃないか!こんな所でどうしたんだい?」


ミアおばあちゃんです。ミア婆と呼んでます。いつも温かい心を持っています。

他の村の人達よりも大好きです。お母さんみたいに色々な事を教えてくれます。足が悪くて心配でしたがまた元気になって畑仕事をしていたようです。


「とりあえず中に入りなさい」


グランダラおじいちゃんです。グラ爺です。ミア婆よりシワシワな手で頭を撫でてくれます。少し無口で強面で勘違いされやすいですが優しい人です。グラ爺は薪割りをしていたようです。手を止めて、私達を家の中に入れてくれます。

仕事はいいのか、と聞くと休もうと思ったところさ、と言ってくれます。


中に入って、温かいミルクを飲んだら少し落ち着きました。妹はまだあの男から貰った玩具で遊んでいます。

ミア婆とグラ爺に事情を説明すると、お母さんが帰って来るまでここにいなさいと言ってくれました。どうやらグラ爺がお母さんの元へ伝えに行ってくれるようです。その後、事情を聞きに家に行ってあの男に会ってくるらしいです。大丈夫でしょうか。心配しているとミア婆は大丈夫さ、と言ってくれます。グラ爺はとても頼りになる自慢の夫だとミア婆は言います。だから私も感謝しながら信じて待ちます。


「ミア婆はお母さんがなんの仕事をしているか知ってる?」

「お母さんはね、薬を隣町まで売りに行っているんだよ。調合ってわかるかい?お母さんは薬を作る事が出来るんだ。ただ子供の前で薬は危ないからね、多分お前さんらが寝た後にでも作ってたと思うよ。知らなかっただろう?」


知りませんでした。母が薬売りなんて。


「ばぁばの言ってることよくわからなーい」

「お前さんが病気になった時ににがーい粉をお母さんは飲ましてくれるだろ?あれを作っては売ってるんだ」

「リオ!あれ嫌い!」


ペッペッと吐き出す仕草をする妹はやっと玩具に興味を失ったのかテーブルに置いています。

ミルクを飲んでクッキーを頬張りニコニコと笑っているリオを見るとなんだかささくれた心も和らいでいきます。


ミア婆が夕食の用意をすると言っています。

私達もお手伝いします。妹は不器用ですがミア婆は妹にもできるような仕事を任せていきます。

しかし妹は飽きてしまい、また玩具で遊んでると言ってキッチンから出て行ってしまいます。遠目でミア婆が用意した玩具箱を取り出すのが見えます。どうやら先程の筒状の物で遊ぶようではないのでホッとしました。


「レイにリオは双子なのに本当に似てないねぇ」

「リオの方が年相応で可愛いよね」

「確かにリオも可愛いがレイも偉いさ。まだ幼いというのに難しい言葉を知っていたり妙に落ち着いていたり大人な一面がある。人より優れているところは誇れることさ」

「ミア婆…」

「逆にリオは誰よりも無邪気でニコニコと笑って周囲を和ませる。人それぞれ得意な事は違う。卑下する事はないよ」

「ありがとう」


大人はどこか一歩引いて同年代の子供達には気持ち悪いと言われてきた。

いつも愛されてたのはリオだけ。理解はできる、リオは愛嬌がいいから人に愛されやすい。私は子供らしくないから周囲に馴染めずにいる。リオが嫌いなんじゃない、むしろ好きだからこそ私が可笑しいのだと思ってしまう。異物だと、不純物のような存在だと。

でもそんな私でもリオは慕ってくれるし、お母さんやミア婆とグラ爺もリオと同じように接してくれる。


嬉しくて涙が出てくる。


「あらあら。タマネギが染みたかしらね」



優しいその言葉に私は幸せを噛み締めました。


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