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出会いは必要悪




なんで俺の名前を知ってるんだと思いながら、まじまじと彼女らを見る。

ハニーブラウンの肩まであるふんわりとした髪に透き通るかのような薄い色彩の瞳がこちらを見透かすように俺を見ている。覗き込む瞳が淡く輝いて俺の心を掴んで離さない。ユールフィア学園特有の大きなリボンが特徴の二次元みたいな可愛い制服がとてもマッチしていて、愛らしい彼女の雰囲気にぴったりだ。玲ちゃんとはまた違った可愛いさがある。

くるんとした睫毛に縁取られた大きな瞳はこちらを伺うかのように少し戸惑いの色も見せていて、少し小ぶりな、柔らかそうで形のいい胸は制服の上から慎ましくも手をさり気なく添える事でシワができ、谷間が…乳が、強調されている。細い首筋と白雪のような肌はか弱くも儚げな印象で、可憐な彼女の線の細さがわかる。守ってあげたい女の子のようなあざとさを感じながらもこれぐらいが男心を擽る事をよくわかっている。細すぎないむっちりと肉の乗った太もももなかなかいい。太すぎす、それでいて触ったら触り心地が良さそうな曲線美、淫靡さを感じる。短いスカートから惜しげなく太ももが晒されているが濃い色のタイツ……デニール?だっただろうか。それがとても高く、ガードはしっかりしていると言うような清純さが垣間見える。柔らかなラインがしっかりとしているというのに……エロい。いや、レヴィとかもっと分かりやすく露出度の高い服を身に付けている女の子より、ちらりと見えそうで見えない揺れるスカートがエッチに思ってしまう。いや、レヴィはエロいっちゃエロいんだが、直接的なエロと妄想を掻き立てるエロの違いというか……何考えてんだ俺は。

程よく隙があって近付きやすく、一緒にいたら癒されるような印象の優しい笑みが特徴的な女の子。

美少女2人組だが、この子だけは頭ひとつ抜き出ている。目が離せない。

一つ笑みを転ばせるとドキリと胸が高鳴る。

笑みがたえない彼女を見ているとこちらの警戒が解かれるようなそんな危険に満ちた無邪気な笑顔。


思わずマニアックで変態な妄想をつらつらと頭の中で浮かべる性癖に自分でも驚いた。恥ずかしい。


自分で自分にドン引きしていると影に引きこもっていたレヴィも顔真っ赤にしてなんだかそわそわしている。ヤバい。感情共有しているんだった…

初対面の子に欲情してるって思われてる。


いや、女に飢えすぎていてこんな事で欲情してしまったのは恥ずかしい。

普段あまり女性をまじまじ見ることはないし、街中ですれ違っても何も思わなかった。

女性なんてレヴィか玲ちゃんとしか声をかけられた事がなかったし、耐性がなかった。ちなみに家にいるメイド達はカウントしない。



「小鳥遊エル…さん?藍ちゃん、小鳥遊さんって言うんの?もしかして知り合い?あっ、初めまして!私は1年の桜川琴葉と言います」



声が、可愛い。小鳥のさえずりのよう。

小さくも少し厚みのある柔らかそうで綺麗なピンク色の唇がふるふると震えて、音が放たれると先程までの失礼な妄想をかき消し、高鳴る心臓を抑えつける。緊張する。

なんなんだ、この感情は。この子を見ていると目が離せない。この子を視界に入れると身体も、言葉さえなかなか生み出せない。

わからない。声が震えそうになる。



「えっ、いやそういうわけじゃないけど…有名というか」

「そうなの?私は聞いたことなかった〜あははっ藍ちゃんは詳しいんだねぇ!」

「こ、琴葉は噂とか気にしないからじゃない?」



なんだと。学校内じゃ俺は有名なのか。

それもそうか、生徒会入りしたのに滅多に顔を見せない幽霊部員だもんな。学園のトップ達に連なる者がどんな顔しているのかとか、どんな人物か普通に気になるだろうし、登下校に姿を見られているかもしれない。

仮にも小鳥遊家だし。いくら家や保健室に引きこもりだったとはいえ知名度は抜群か。



「知っているように私が小鳥遊エルです。それじゃあ」



考え事をしたら平常心が戻って来た。後は退散するのみ。

レヴィに魔法をかけてもらってるのに無視して話しかけてくるということはどちらかがヒロインである可能性が高い。

心の準備など出来ているわけがなく、今すぐに体制を立て直してヒロイン対策を考えないと不味い。ヒロインと出会ったりイベントが起きたら起きたらでできるだけ情報を引き出せればいいって思っていたけど、今の自分は何か¨可笑しい¨

こんな状態でマトモに相手をして勝ち目なんてあるわけがない。


くるりと身を翻した瞬間、腕をがっしりと捕まれる。



「待って!あたしは琴葉と一緒のクラスの皆口藍っていいます!」



黒髪のロングヘア。アーモンド型の黒の瞳。

隣の子よりは一見目立たないような見栄えだが、よくよく見ると美少女である事がわかる。スレンダーな感じのスラリとした印象。綺麗に整った顔と体型がマッチしていて、スリムな身体は可愛くも美人な感じを醸し出している。甘い二次元制服を上手く大人びさせている。背伸びした感が少しあるが。制服の胸元が軽く開いていて、角度によってはブラが見える。またスカートも短くてこれまた見えそうで見えない。

こっちも誘惑が強そうな見た目をしているのに何故かこの子よりも桜川琴葉と名乗った子の方が劣情を感じる。決して体型が問題じゃない。

アレがついていたら直ぐにでも襲ってしまいたくなるような…そう、穢して犯して踏み躙るように蹂躙して……


壊したくなる。めちゃめちゃに。



「その……良かったら今から」

「すみません。具合が悪いのでそろそろ帰らせて貰えませんか」



声が聞こえるがそれを無視して人混みに紛れるように立ち去る。

ハァハァと息がしずらい。苦しい。湧き上がる熱が、乱れた思考が熱く煮え滾るかのようにぐるぐると巡る。



『イル様』

「レヴィ…?」

『イル様は強い催淫にかかっています』



催淫……だと?



『あのっクソ女!よくもイル様にっ』

「レヴィ……なんかダメみたいだ」

『イル様!』



桜川琴葉、忘れられない名前になった。













「はぁ〜近くで見ても綺麗な人だったねぇ!藍ちゃん!」

「…琴葉」

「この後一緒にお茶でもしに行きたかったね!でも忙しそうだし悪い事しちゃったかなぁ〜」

「アンタ、本当邪魔」

「藍ちゃん?」



強い言葉が降り掛かる。その言葉を振り下ろしてはダメだと分かっていたが感情のコントロールが転生前から苦手だった彼女には無理な話だった。

特に怒りは理性を見失わせ、本能を剥き出しやすい。

いくら密偵としての訓練を受けてようが、前世色の強い彼女は最後まで精神的に成長はしなかった。本当は密偵失格として学園という牢獄に放り込まれた。

父は言った、お前ごときが後継者なんてなれると思うな。

母は言った、玲に才能があればお前なんて育てようて思わなかった。



「私は、」



ダメだって分かっていた



「琴葉が」



桜川 琴葉。ゲーム目線でまだ見てる、AIを相手にする気持ちのまま接してはいるが、分かっている。ここは現実、この子は¨生きている¨



「いなくなればいいと思ってる」

「えっ、藍ちゃん…急にどうしたの?」



その絶望した顔が心地好くて、もっと歪ませたくて



「アンタは邪魔なのよ。アンタがいるせいであたしはあたしは…幸せになれない!アンタがいるせいでっ」

「ごめんなさい…何かはわからないけど藍ちゃんを傷付けちゃったんだよね?それがわからなくてごめんなさ」

「生きているだけで邪魔なのよ!アンタがいるだけであたしの未来はさいあっくに不幸になる!」

「藍ちゃん…」

「あたしの名前を呼ぶな!この悪魔が!疫病神!」



感情に任せて放たれた魔法。

無属性の武器生成で作られた黒光りしたナイフが琴葉を引き裂くように振り翳す。



「……アンタなんて生まれてこなきゃ良かったんだ」



実の親にも言われた(悪魔の言葉)が自然と口から出た。



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