表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/43

夢魔の女は妖しく笑う




この人の香りを嗅いでいると、頭がクラクラする。

花のような、強く甘い香りで酔ってしまいそうな……ああ、ダメだ。自分をしっかり持たないと。流されていいことなんかない。

しかし誘惑は強く、全て身に任せたい気持ちになっていくが、そこは気をしっかり持って自分を制す。


きっ、と睨み返すと……おや、とウェーブがかった桃色の髪を揺らしながら首を傾げる女性。



「ワタクシの、サキュバスの魅了に打ち勝つなんて……うふふ」



魅了?


……………………サキュバスっ!!?



「改めて自己紹介しますわっ!

ワタクシ、サキュバスのレヴィって言うんですっうふっ」

「ちょっと待てっ」

「ああ、魅了使った事はごめんなさい。御主人様を試すような真似をして…………」



ショボンと肩を落としたかと思えば……



「でも!御主人様に気持ちよくなってもらおうと!サキュバス流の挨拶で仲良くなりたかったのっ!」

「いや、だからちょっと……」

「あ、御主人様!悪魔の中でも下位のサキュバスだからってがっかりしたのね!

でも安心して下さい!ワタクシはサキュバスの中でも上位でしてっ、よくサキュバスって戦闘力がないとか雑魚とか誤解されやすいんですけど、それは下位の話で、格が高いサキュバスは過去に魔王にもなった事があるほど最強な種なんですよっ」

「おい!だからっ俺の話を……」

「そうそう、御主人様が敬語からいつの間にか素で話してくれたのは嬉しい限りですっ!うふふ」



話を訊いてくれない。一方的に話されている。マシンガントークってやつだ。

それにしても、俺もいつの間にか素で話しちまった。クソ。

予想外な事で思わず、女の子(イル)とは思えない汚い言葉を……恥ずかしい。

今までだって、予想外な事は起きてきたが他人に素で話した事なんてなかった。

ましてや、人外なんて…………

俺も、性的な攻撃なんてされた事がなかったから(いつも未然に防いできた)、こんなにも弱いなんて知らなかった。拒絶できなかった。

悔しい………………っ

いくら魅了されてからって…………魅了?

そういえばコイツ、サキュバスって言っていたな。

悪魔とも。


あの本に書いてあった悪魔についてはまだ読んでなかった。

ただ、話の展開的に悪魔と魔物は違う生き物だと言うのは予測できる。

しかし、具体的どういう生き物なのか。

魔物が危険な生物とは分かった。果たして悪魔はどうか。

同じく危険な生物なのだろう……。

魔物は知性がないから対話ができない、対して悪魔は現に対話できてる。見た目もほぼ人間と同じ。角と尻尾と翼を除けば。

それは俺も同じかもしれないが、今は置いておこう。

サキュバスは教科書や神話などの本によれば有名な話、男を性的に誘惑して精を絞り尽くす悪魔だ。

それはその通りなのだろう、先ほどの状況をみれば。

だが、同性である女も襲うのか?今の俺は前世のように男の身体ではない。現にコイツだって女だって分かって来たはずだ。

悪魔だから貞操観念が低そうだ。特にサキュバスは。同性でも襲うのかもしれない。

強さはどうなのだ?一般的には戦闘能力がないからベッドで最強なのだという認識だ。

しかし、魔王という単語が出た。

この世界に魔王がいるのか?

ゲームであるこの世界はやはり魔王が人間を滅ぼそうと企んでいるのか?

ストーリーに魔王が絡むのか?最後はイルでなく、魔王を倒して終わるのだろうか?

もしくは今の魔王は男でそいつは攻略キャラなのだろうか?わからない。


上位ともなれば、サキュバスは強いのか?それともただのハッタリか?

悪魔自体、サキュバスはどれくらい強いんだ?下位とも出会った事はないし戦ったこともない。果たして勝てるのか。


目的はなんだ?

今のところ危害加えようともしない。性的な事はされそうになったが、魅了とやらを除けば無理矢理してこようとはしない。

隙だらけの俺は殺そうと思えば殺せたはず。

殺しが目的ではないのか。


そして何故俺を御主人様と呼ぶのか。


契約…………契約とは?

悪魔との契約…………嫌な予感がする。



「あのですね………一つ質問しても宜しいでしょうか?」

「うふふ。なんですか?ああ、それとできれば素で話してくれませんか?そちらの御主人様の方が好きです」



隠すのも今更か。



「ああ、はい、いやわかったよ」



初めて人に(人じゃないけど)、素で話すのは初めてで……むずかゆい。

カリカリと頬を掻く。


……あの時、頭がはち切れるほど痛くなった。胸が苦しくて熱くて死ぬかと思った。

しかし、この悪魔が触れた途端、ふっとそれがなくなった。

何をしたのかよくはわからない。

敵か味方なのか、わからない。

色々訊きたい事はあるが…………



「そういえば、御主人様」

「え?」

「御主人様の名前教えて下さいな!」



ぐいっと、明るいその笑顔とテンションに押されながらも……



「た、小鳥遊……イル。イルだ」

「イル様ですね!うふふ、可愛らしい……やっぱり性的に食べちゃいたいですぅ。ダメですか?」

「ダメに決まってるだろっ」



人と、といっても悪魔だが……

イルとして、普通に交わせる会話が嬉しく思った……

玲ちゃんとの事があった直後だから尚更。


わかっている、味方とは確定はしてないし。もし、違ったら更なる絶望が待ってるし、気を緩めるわけにはいかない。

それでも……期待してしまうのはなんでだろうか。



「イル様!ワタクシはイル様の味方ですよ!もうっ……何言ってるんですかっ」

「は?」

「あ、言い忘れました。サキュバスであるワタクシは他者に触れている間、相手の思考が少しだけ読み取れるのです!あくまで曖昧ですけど、ここがイイとかツボとかわかりませんと相手を気持ち良くさせられませんしぃ…うふっ!」



ていう事は今まで多少なりとも思考が読まれてたのか?クソッ!

どこまで知られたのかはわからないが、こいつが触れている間はあまり考えない方が……



「気持ちいいところと、敵か味方かの警戒しか読み取れていませんから安心して下さいな!うふふ」

「安心できるかっ」

「それにしても……可笑しいですわね。この能力はあくまで異性限定なんですけど。イル様はどこまでも不思議な方なんですねぇ……流石ワタクシの御主人様!」



爆弾を落とされても平常心を装い、こいつが触れている間は頑なに心を隠す事を決めた。

レヴィ「童貞キラーことサキュバスのレヴィちゃんですっうふっ!」


サキュバスのレヴィが襲ってきた!

→たたかう

にげ…………られるとは思わないでね

どうぐ(夜のグッズしかない)

にげるしか………にげっ……うっ


目の前が真っ白になった(意味深)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ