食事
離れの中にて持ち手によさそうな物を探す。
現状では持ち手の半分が折れてどこかに吹き飛んでいる状況なので、それを補う長さの物があればそれをつなぐだけである。
(これよさそうだな。)
真が見つけたのは室内用の小さめの物干しざおだった。
掛かっていた服を下して長さを確かめる。
(まあまあいい長さだな。)
長さは一番長く伸ばして1.8メートル程度であり短く使えば90センチと丁度良かった。
物干し竿を持ち外に出ると香奈がリヤカーに荷物を積み込んでいた。
「仕分けとかはいいのか?」
さすがに全部を持っていくと重量的にきついものを感じたので聞いてみた。
「電化製品や重いものは置いてく。」
集めた物の中には電化製品…扇風機などもあったが、確かに今の状況では電気製品は使える可能性が低いだろう。
載せるものについては一応考えているようだったので、それ以上は何も言わずにリヤカーの修理を行った。
荷の積み込みやら持っていく物の仕分けなどで、いつのまにか夕方になってしまっていた。
「そろそろ飯でもたべるか。」
香奈は頷くとガスコンロを出してきてフライパンを置き、その横に椅子を置くとそこで野菜などを斬り始める。
そして何事もなかったかのように肉なども取り出して調理を始めた。
「えーっと………。香奈?その道具や食材はどこから持ってきたんだ?」
「家から。」
香奈はこちらを見もせずにそういい、調理を行う。
真は不思議に思い、家の方を窺うがそれほど変わっているようなところは見えない。
薄暗いからだろうか、来た時にはなかったような少し大きめの空間が見えている。
(あそこから入って取りに行ったのか?)
その空間は確かに人が屈んでいけば入っていけそうなほどの空間だった。
しかし、ここに来た当初はそのような空間が開いているようには見えなかったため、更に疑問に思うが自分の見逃しだろうと思い直して香奈の料理が終わるのを待つことにした。
出来た料理は野菜炒めだった。
フライパンから皿へと分けられ、箸と共に手渡される。
「かなりうまいな。」
まともなものを食べていないせいか、出来た野菜炒めはかなりのおいしさに感じてしまう。
食事を終えてとりあえず食器などを離れの中へと仕舞い込む。
野菜の切れ端などについてはその場に埋めることにした。
「今日は早いけどそろそろ寝るか。」
簡単に着替えを行い布団を敷く。
「布団が一組しかないし香奈はそこで寝なよ。」
「私は別にどこでもいい。」
「こっちもどこでもいいんだけど…。」
結局畳の上で雑魚寝することになった。
譲り合った結果どちらも使用しようとしなかったので、邪魔になり枕代わりである。