確認
一応携帯についても落ちてはいたが、圏外で全く役に立たなかった。
少しでも情報を得るために、無事だった真の部屋の中にあったラジオにて放送を聞いた。
その放送にて知ったのだが、あれでも一応迎撃した結果大きな隕石については小さな破片へと変えることで少しでも落下の影響を少なくしたらしい。
その分被害が拡大したような気がしないでもないが…。
被害はかなりのものに上り、結局アジアを中心と言っておきながら、隕石は北半球に主に降り注ぎ、推定では全人類の半数の死傷者が出たとのことだった。
それと注意事項として隕石と共に謎の生命体…スライムが一緒に落ちてきておりそれは人などの生物を溶かしてしまうとのことだった。
今更ながらだが、その放送を聞いたときには、なぜ自分たちは溶けずに生きているのか不思議だったが、考えてもしかたないと割り切る。
「こんな時でもきちんと放送する人はいるんだな。」
「真面目。」
「これからどうするかな…。」
「…避難所には行かないの?」
「さっき聞こえたけどここから遠いしな…。」
真は少し面倒くさそうにそう答える。
指定された場所は現在いる離れからは約30キロほど離れており、今から歩いても今日中に着けるか不明な所だった。
「でもいつかは食べ物も尽きる。」
そうなのだった。
あの後もしばらく探してみたのだが、食料に関しては未だに全壊した家の中であり取り出すことも可能かもしれないがとてつもなく時間がかかるのは分かり切っていた。
近くの家を回るという手もあるが、来る途中に見た限りではほとんどが半壊もしくは全壊していた。
しかも田舎なので土地は広いが家はそこまで多いわけでは無い。
食料という点では期待は出来ないだろう。
「そうだな。リヤカーなり台車なりを探して必要そうな物を持っていくか。」
「リヤカーなら裏の蔵にあったけど、もしかしたら壊れてる。」
「他を探しに行くよりはいいだろ。それでいくとしよう。」
屋敷の裏へと回るとそこには横転したリヤカーがあった。
横転状態を元に戻して壊れている場所を確認する。
「持ち手の部分と角が少し凹んでるくらいか…。十分使えるな。」
リヤカーを引いて離れへと移動する。
そこでは香奈が集めた物のところでこちらに背を向けて何やら作業をしていた。
「何か持っていきたいものとかあったか?」
香奈の手元を見てみると、どこから持ってきたのか自分の服を鞄へと詰めていた。
「確かに着る物は大事だよな。」
そういって真はリヤカーの持ち手の部分の修理をするべく離れの中へと道具を取りに入った。