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unknown  作者: Peru
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帰宅

 帰宅途中にて気が付いた香奈を下してしばらく行くと家の壁が見えてきた。


 壁には無数に亀裂が入り、ところどころ壁の上に在る瓦などが吹き飛んでいる。


 そのまま壁沿いに歩き入口である門前に辿り着いた。


 そこから中を見た時、目の前にあった屋敷は一部を残して全壊していた。


 ゆっくりと門を潜り敷地内へと入っていく。


 唯一無事そうに見えるのが離れ…真が住居にしていたところだろう。


 香奈の両親は屋敷の方に住めばいいと言っていたが、真があまりにも何も言わなかったため、しばらく一人にしてあげようということになり離れへと住まわせたのだった。


 そこは親戚ということもあり、小さなころからこの屋敷にはちょくちょくと遊びに来ており、その頃は自分の部屋というものに憧れがあったため、よくこの離れにて寝泊まりしていたのである。


 その時には香奈とも小学生までは一緒に遊んでおり、その頃はかなり明るい子のイメージがあったが、両親が死んでこちらへ来た時には真と同じようにほとんど話すこともなく、まるで笑おうともしない子になっていた。


 その時の真は、両親のことでいっぱいいっぱいだったため、香奈へと意識が行くはずもなく毎日ただ生きた屍のごとく食べる、学校に行く、寝るを繰り返すだけだったのである。


 そんな真と自分たちの娘を心配して香奈の両親は、せめて一緒に登下校することを勧めた。


 そのため、登下校を一緒にしていたことから似た者夫婦といわれていた時期もあったが、周りがそう言っているだけで二人は全くと言っていいほど気にしていなかったが…。


「とりあえず離れはある程度無事っぽいし、寝る場所はいいとしてこれからの生活をどうするかだな。」


 離れの周囲を確認し、壁に少し亀裂が入っているだけなのを確認してそう呟く。


「それよりも食事。」


「確かにな。…とりあえずその辺に転がってる物を集めるか。」


 香奈が頷いたのを確認して敷地内に散らばっている物や、屋敷の下敷きになっている場所から色々と集めていく。


 しばらく集めていき野菜が落ちているのを見て真の腹の虫がなる。


(昨日の夜から何も食べてないしな。)


 野菜の中でもまだ無事そうなきゅうりを見繕い服で拭いてから齧りつく。


 多少砂が混じっていたが、すきっ腹には十分な食事だった。


 そのきゅうりを齧りながら集めたものを離れの方へと運び、戻ってきた香奈に拾ってきた野菜を渡す。


「たぶん裏で冷やしてたのが飛ばされたんだと思う。少し砂が付いているけど我慢すれば食べれないほどじゃない。」


 そういうと香奈はきゅうりを取りそのまま食べ始める。


 簡単な食事を終えてからとりあえず集めたもので何が出来るか確認してみる。


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