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unknown  作者: Peru
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意識

 水たまりに覆われた当初は息苦しかった。


 それはそうだろう呼吸が出来ないのだから。


 しかし苦しかったのは途中までで、次第に楽になっていく。


(ああ。………これは死んだのかな。)


 自分の身体は見えないが周りの景色はよく見える。


 次第に視界は浮上していく。


 香奈はこちらを見て驚いたような顔をしているが、香奈の後ろからも先ほどと同じように水たまりが膨れ上がり香奈の方へと倒れてきているところだった。


 香奈が水たまりに取り込まれるところを見ていたが、それすらも他人事のようにしか見ることが出来なかった。


 視界の端に生徒会長が走って逃げていくのが見えたが、やっと行ったか…くらいの気持ちしか残っていなかった。


 そこで意識は途切れていく…。






 気が付くと、最後に水たまりに包まれてしまった時と同じように仰向けになって倒れていた。


 身体を起こし自分の身体の状態を確認してみる。


 体はいつもと同じように動いた。


 そのままの姿勢で首だけを動かし、周囲の状況を確認してみると、すぐ近くに香奈が倒れているのが見える。


 香奈に近づき状態を確認する。


 胸が上下しているところを見るに生きてはいるようだ。


 身体を軽く揺さぶり声を掛けてみる。


「おい。…香奈起きろ。」


 しかし揺さぶっても起きる気配はなかった。


 仕方がないので抱え上げて背中に乗せていくことにする。


 香奈を初めて持ち上げたがとても軽く、まるで子供を抱き上げているような感覚だった。


 そのまま家へと歩く。


 帰る途中は恐ろしく静かだった。


 というのも、落ちた隕石が爆発したかのように辺り一面を吹き飛ばしていたのである。


 これをまともに受けてしまっては生き残るのは無理だろう。


 もし生き残っていたとしても息も絶え絶えの状態に違いない。


 そう思うと逆に学校の方に居た方が生存率は高かったのではないだろうか。


 人の居ない荒れ地を通り家へと向かう。


 被害が少ない家などを目印に大体の間隔で家の方へと進む。


 地面の亀裂から水が噴き出している場所を見た時には少し警戒してしまったが、それは杞憂に終わり特に何事もなく家へと辿り着くことが出来た。


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