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unknown  作者: Peru
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接触

 校門を抜けようとしたときに大きな水たまりが出来ているのを見つけた。


 その水たまりになぜか違和感を感じて立ち止まってしまう。


「どうかしたの?」


「いえ………。なにか変な感じがして………。」


「変な感じ?」


 生徒会長も香奈も真を不思議そうに見てから、真の視線の先を見てみる。


「水たまり………があるわね。」


「………昨日雨降った?」


 香奈の一言で違和感の正体に気が付く。


「そういえば雨は降ってない………。それに色がおかしい。」


 昨日は雨が降ったわけでもなく、学校に登校する際にもここに水たまりがあったような記憶が無い。


 それに加えてその水たまりの色は真っ黒だったのである。


「とりあえず避けて通っていきましょう。」


 いくつもある水たまりを避けて通っていると、急に水たまりの1つが膨れ上がり柱になったかと思うとこちらへと倒れてきたのである。


 柱になるのを呆然と見ていたが、こちらに倒れてくるのを見て真下に居た生徒会長を突き飛ばす。


「あぶない!」


 突き飛ばすまでは良かったが、真自身は避けることが出来ず、その柱が足に当たったかと思うとそこを起点にどんどん残りの水たまりの部分が集まってくる。


 足から離そうとするが粘着物質のようにそれは離れず次第に足全体を覆い始める。


「ひっ!」


 生徒会長はその光景を見て後ずさりする。


 香奈は水たまりの一部を踏みつけていたが、効果が無い上に逆に粘着部分に靴が捕られてしまい靴下だけの状態となって手が出せないでいるようだ。


「もう手を出すな!……俺の事はいいから。」


 まだ何かをしそうな香奈に言い真はそのまま仰向けに寝る。


(まあ最後にしては呆気ないけどこれはこれでありかもしれないな。)


 未だに足に絡みつく水には本能的な嫌悪感があるが、真にはそこまで必死に生へとしがみつくほどの気力は残っていなかった。


 元に戻ったように見えたのは表面だけで未だ心の傷は癒えておらず、ただ漫然と毎日を過ごしていただけだったのだ。


 水たまりは次第に真の下半身を覆いつくし、その後は一気に上半身まで覆い尽くした。


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