状況確認
隕石の連続落下から夜が明けた。
壊れた窓から朝日が入ってきている。
真は先ほど寝たばかりの二人をそのままに、外に出るべく戸を開けようとしたがなかなか開かなかった。
どうやら衝撃で建物が歪んでしまったせいで、建て付けが悪くなり動かす事が出来なくなってしまったようだ。
引っかかっていそうなものを全て取り除き、力いっぱい引っ張ってようやく開けたそこには、倒壊しかけの体育館が目の前に広がっていた。
少し呆然と佇んでいると残りの二人も目が覚めたようでこちらへと寄ってくる。
「外の様子はどう?」
眠そうにしながらも不安そうに生徒会長が尋ねてくる。
「自分の目で見た方がいいと思いますよ。」
戸の隙間から外に出て後ろの二人にも外が見えるようにする。
体育館は建物の半分が倒壊しており、もう半分が辛うじて残っているような感じだった。
「とりあえず、いつ崩れてきてもおかしくないので移動しませんか?」
さっさと危険地帯から移動するべく提案する。
このままここにいるといずれ体育館の下敷きになるか、倉庫に戻って出られなくなるかしてしまいそうだ。
「そうね。まずはここを出ましょう。」
そのまま三人は体育館を出た。
そこには隕石による影響なのか煙が出ており、地面にはところどころクレーターが出来ている。
「さて、家に帰るか。………あ。会長は携帯持ってます?」
「ここでは使えないからとりあえず校舎の方へ行きましょう。」
会長は一応携帯電話を確認しつつ校舎の方へ向けて歩き出す。
(そういえば体育館は電波が届いていなかったな。)
真は携帯を持っていなかったのであまり気にしてはいなかったが、この学校で電波が届いているのは校舎の中でも2階以上の教室となる。
会長について校舎の中へと入っていく。
校舎についてはガラスや戸などが吹き飛んでいるが、壁などには亀裂が入っているだけで外観としてはほぼそのままだった。
運よく隕石は衝突しなかったようだ。
会長は2階に到着してしばらく携帯を見ながらウロウロとしていたが携帯をポケットに仕舞いこちらを振り向く。
「どうやら電波が届かないみたいね。もしかしたら近くの電波塔かアンテナが隕石で壊れたのかもしれないわ。」
「そうですか…。」
現在がどういう状況であるのかを確認したかったが、どうやらここでは何もできそうにはなかった。
「家に帰らない?」
それまで静かだった香奈が提案してきた。
確かにこのままここにいても仕方がないので家に帰ることにする。
「わざわざ確認ありがとうございます。俺たちは家に戻ります。」
「私も家に帰るから途中まで一緒に行きましょう。」
「わかりました。」
三人は校舎を後にして校門へと向かった。