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28話 悪魔の秘密

悪魔ゾルダートの秘密。こいつは今、その誕生の方法について知っていると仄めかしたのか!?)


「その反応を見るに、どうやら君は知らないようだね。無理もない。


 ラフィアも封印の影響で記憶の一部が抜けているだろうから仕方ないか。

 いいだろう。どうせ死ぬんだ。その前に教えてあげよう」


 颯馬はラフィアを起こそうと身体を少しだけゆすったが、まだラフィアの意識は帰ってこない。


 三人の人間が天使の話を聞くが、スケールが大きすぎて頭に入って来なかった。

 呆然としていると、統括天使アリストルが反応の薄さに気づく。


「というのが天使と悪魔ゾルダートの関係だが、どうやら理解が追い付いていないらしい。


 もう少し嚙み砕いて言おうか。

 悪魔ゾルダートは天使の後悔の念によって生まれる。

 湧いて出てくるように悪魔ゾルダートが現れるのは、それだけ天使の念が大きいからさ」


 ようやく理解が追い付き始めた颯馬は、ラフィアがこの千年で初めて見たと前に言っていた変異体の謎について問いただす。


 この天使なら何か変異体以外の情報も吸い上げられるかもしれない。


「ならラフィアが知らなかった変異体についてどう説明する?

 悪魔ゾルダートが本当に天使の後悔の念で生まれたのなら、変異体だって何か秘密があるはずだ」


「それは簡単ですよ。悪魔ゾルダートの変異は人間の生存戦略の結果です。

 悪魔ゾルダートは常に飢餓状態です。

 人間を見つけ次第、新鮮な魂を求めて捕食を行う。


 だけども人間たちはこの千年間で地下に籠り、この千年間を生き延びた。


 だから悪魔ゾルダートは人間を食べられず、一際強い自我を宿した悪魔ゾルダートが同族を捕食し始めた。

 巨大な魔力と知性を獲得しているのは、そのためですよ」


 統括天使アリストルが片手で顔を覆いながら、盛大にため息をつきながら赤い瞳をギョロっと覗かせる。

 すぐに歪んだ笑みに変わりクツクツと声を我慢しながら相反する言葉を投げかけた。


「ああ、ここまで教えなくとも構わないというのに、私はなんて慈悲深いのでしょうか」


「何が慈悲深いだ。ラフィアにこんなことしやがって」


「おや? おやおやぁ?

 あなたもしかして、天使相手に特別な感情を抱いているのではありませんよね?」


 颯馬は何も言わない。

 言いたくなかった。ただ鋭い目つきで統括天使アリストルを睨みつける。


「図星とは面白い! ここまで不遜で不敬が続けば逆に尊敬の念すら抱くほどだよ!

 颯馬君!


 こんな千年間何の成果も得られずに、ただ自分の出自と使命のみで動き続けた、世界の歯車の哀れな天使に対して! 

 ふふふははははは!!!」


 ここで颯馬は閉ざした口をゆっくりと開き、そして人間の身でありながら統括天使の名乗る男を力強く指差した。


「てめぇ今、ラフィアを侮辱したな?」


 ドスの効いた低く殺意の乗った声を聞いて、アリストルは高笑いを中断する。


「それが何だというのか。たかが人間如きが今私に対して何か命令するように聞こえたが」


「そうだ、その気色のわりぃ笑い声を止めろと言ったのさ! 耳が腐っちまうからな!」


「ふふふ、これが……。ふふ。我慢出来るものか。人間が天使に指図?? 

 ふふはははは!!!


 殺す。もとより君は殺す予定だ。

 煽り立ててくれて感謝するよ」


 颯馬も同じく戦闘体制に入る。

 肺の自然治癒も終わった。前よりも治る速度が早いのは、恐らく自分が悪魔ゾルダートに近づいているから。


 それでも甲斐田の時と同じく内側の悪魔を呼ぼうとするが、呼びかけるよりも早く悪魔が囁いてくる。


『さぁ、ぐちゃぐちゃに壊せ。壊せ!

 破壊の限りを尽くせ。そのための力を求めればまた契約してやってもいいぞ』


 前よりも明瞭に聞こえてくる悪魔の声。

 間違いなく意識がはっきり強くなっている。


 もう一度呼びかけに応じれば、颯馬の自我が食い潰されるかもしれない。

 普段はひょうひょうとしていた颯馬だったが、この時は自我が自分のものでは無くなるかもしれないという恐怖を感じた。

 無自覚に足が震える。


 目の色が青色に変わらない颯馬を見て、アリストルは高めた魔力を霧散させて一言。


「もっと頭が悪いと思ってたけれど。

 つまらないね、君」


 手に青白く輝く魔力弾を撃ち込もうと、改めて魔力を手に集中させる。


「天界の封印をこじ開けるために、悪魔の力を宿した人間の力が必要だったが、君はここで本当に死んでくれて構わないよ。


 君への楽しみは、もう無くなってしまったからね。さらばだ、颯馬君」


 発射された魔力弾が颯馬へ迫る。

 目を見開いてから、心の中でラフィアへ謝罪し、未だに気を失ってるラフィアの赤く輝く髪をそっと撫でる。


(わりぃ……ラフィア)

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