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27話 統括天使アリストルの顕現

 白装束を破り捨て、純白の翼が露わになる。

 天使。ラフィア以外に天使がもう一人。

 地上に降りてきていたとは梅雨知らず、颯馬はこの天使が解放したプレッシャーに身体が硬直するのを感じていた。


(ラフィアと同じ。いや、それ以上の存在感……。ただの天使でもなさそうだな)


「一直線に向かってこない所を察するに、傷が深いのか? 或いは私の圧に屈しているのかはわかりませんが、正しい判断です。

 褒めてあげてもいい」


 颯馬はこの天使がラフィアに一体何をしたのか。そして肺にダメージを与えられ、自然回復までの時間を稼がねばならないと考えを切り替える。


 口の中に溜まった血を吐き捨て、気取られないように精一杯の余裕の笑みを見せてから、言葉を投げつける。


「お前。ラフィアに何しやがった」


「そうですねぇ。それは中々に説明が面倒ですが教えてあげましょう。

 その方があなたが更に熟されるでしょうから」


「どういう意味だ」


「意味は、これから話す真実を聞けば自ずとわかるでしょう。


 ですがその前に自己紹介を。

 私は天界の天使達を統括している大天使。

 アリストル。覚悟はいいですか?

 これからが地獄の始まりですよ」


 喉奥が焼けるような焦りによる体温の上昇を颯馬は自覚する。

 傷が深いためだ。

 これはこれから聞かされることに対する不安ではないと必死に感情を抑えたが、大天使アリストルから聞かされた内容に心臓の鼓動がうるさくなる。


「まずは宗教団体についてお話ししましょうか。

 あなたはそこで気を失っている、ラフィアの千年間の積み重ねで出来たものだと考えているでしょうけど、それは全く事実とは違います」


「何言ってやがる。そんなことは」


 焦ってすぐに言い返したが、被せ気味にアリストルが話を続ける。


「あるのですよ。天使には人の心を操ることが出来るのは知っていますか?


 私はね、颯馬君。ラフィアの頑張りなんて正直どうでもいいのですよ。

 だけど頑張れば頑張るほど、彼女の心がすり減り、疲弊していく。私には好都合でした。


 宗教団体は、私が作った。


 宗教団体を私の魔力を乗せた声で操り、何代にも渡って操り続けてきた。

 全ては私という天使の存在をひた隠しにするため。なぜ隠れていたのか、わかりますか?」


「知るかよ。てめぇの都合なんざ」


「おや、ギブアップですか。

 ですがこれは残念ながらラフィアに深く関係している。かつて天界で氷で出来た硝子のように冷たい心を持っていると言われていたラフィア本人のね!」


「……!! ラフィアの天界時代を知っているのか」


「それはもちろん。答えは今、そこで血の涙を流して無惨にも倒れているラフィアを作り出すこと。本当に事がうまく運んでよかった。


 天界への門が、扉がラフィアによって封印されてから約千年間。彼女の力の可能性は計り知れない。何せ私ですら突破は出来なかったのですから! 


 ですが、ようやく私の悲願が叶う。

 たった千年間、されど重い千年間でしたよ」


 もう聞きたくないと思いながらも、颯馬は流れ落ちる冷や汗を感じつつ真実を尋ねずにはいられなかった。


「お前の願いとはなんだ」


「ふふふ。私の願いはね、颯馬君。

 ラフィアが閉ざした天界の門をこじ開け、そこで一体の悪魔ゾルダートを生み出すことですよ」


「ははっ! ここに来てまだ悪魔ゾルダートかよ! 何体出ようが変異体だろうが、もう俺達の敵じゃねぇぞ」


「面白い人間だよ君は。悪魔ゾルダートが大した敵ではない! ふふふ、ははははは!!」


 本当に颯馬が言っていることが愉快なのだろう。お腹を抑えて前屈みになってアリストルが笑っている。


「何笑ってやがる」


「いやだって君、悪魔ゾルダートがどうやって発生しているのか知らないだろう?」

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