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静かに暮らしたい最強は、どうやら巻き込まれ体質のようです  作者: じゅくすい
第6章

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 まだ残暑が残る中、夏休みが明け、学院にはいつもの活気が戻ってきた。

 しかし、それと同時に決して見過ごすことのできない事実が学院内の話題を占拠している。


 1学年

 序列第6位 ロイ・アーデルハイト

 序列第9位 ライゼル・ヴォルトレイグ


 先の事件の被害者だ。


 事件の詳細こそ明らかにはされていないものの、ロイは死亡、ライゼルは再起不能なため退学。

 2人ともが王族のため夏休みの間に王家でのなにかに巻き込まれたと考える者が多数であったが、さまざまな立場の人間が集まるこの学院では、事情を察している者や既に詳細の情報を知っている者もいる。

 そのため、不安を抱えながら新学期を迎える学生も少なくない中で1年生にとっては初めての、上級生にとって今後に向けてとても大切な大イベントが開催される。



 ◆



「そういえば、選抜戦の組分けってもうされてるん?」


 いつもの講義室では日常を取り戻したナギがシオンに話しかけている。最初こそは入院していた講義室の元気印に対して皆は心配の目を向けていたが、いつもの調子だとわかると安心したように自分たちの世界へ戻っていく。


「なんだそれ?」


「なんか夏休み前にも聞いたような会話です」


「デジャブだな」


 相変わらずのシオンに対して、外部実習の記憶を遡るミナとエルド。この光景も見慣れたものである。


「ほーーーーんまに何も知らんのな。今回は挙手制じゃなくて強制やで」


「そうなのか、ならいつものようにナギ達のグループに入れといてくれ」


 見当違いの発言を繰り返すシオンに、ナギもミナもエルドも呆れて一様にこめかみを押さえる。


「……今回参加するのはシオンくんだけです」


「……は?」


「選抜戦だ。朝、先生が話していただろ」


「……は?」


「学年序列8位までが参加やで。シオンは7位だから強制参加や。気張らんかい」


「……は?は?」


 二度見ならぬ二度聞きを晒すシオン。

 エルドが仕方ないなと言う顔をして補足する。


「冬に開催される『精霊大祭』へ向けた学院の代表選抜戦だ。上級生も参加するから1年生が勝ち残るのは難しいが、それでも各所へアピールできる」


 エルドに続いてミナも会話に混ざる。


「各学年の序列1位から8位までが、選抜戦の参加対象です。シオンくんは例の件で7位まで順位が繰り上がってるから、参加対象という訳ですね」


「……それは辞退できないのか?」


「出来へん」


 ナギがシオンの希望を打ち砕くように否定の言葉を被せる。

 心底面倒臭そうな顔をするシオンは、何か手はないかとあれやこれや3人に助けを求めるが、3人は1つ1つ望みを打ち砕いていく。


「何が不満なんや。自分の力を見せつける絶好の機会なんやで?」


「僕がそんな性格じゃないことをわかって言ってるだろそれ。ただでさえ、最近色々あったばかりなのにこれ以上面倒ごと抱えてたまるか」


 ナギの意地の悪い問いにもマイペースな返事で対応するシオン。言い訳の底も尽きはじめてきた頃に、さらに追い討ちをかける人物が現れる。


「あら、シオンさん。皆さんもお揃いで。お久しぶりです」


「アリアやん。旅行ぶりやな、あん時はほんまに楽しかったで。またよろしく頼むわ」


「楽しんでくれて良かったよ。アタシ達もすごい楽しかったから誘った甲斐があったってもんだ」


 序列1位のアリア・フェンリズと3位のアリス・フェンリズ。

 すなわち、今回シオンのライバルになる2人だ。


「皆さんで何の話をされていたんですか?」


「選抜戦の話だ。シオンのやつが出たくないとうるさくてな。3人で諦めさせていたところだ」


 アリアの問いにエルドが答える。


「あら、そうだったんですね。シオンさんも上位ランカーなのですから、自覚を持っていただかないと」


「でもこいつと当たったらアタシらはまずいんじゃない?」


 アリスの言葉に周りが反応する。

 第3位、しかも王級契約者が第7位に対して恐れを抱いている。その事実が教室中の注目を買った。


「……余計なことを言わないでくれ。僕は7位。お前は3位だ。もっと堂々と、お前なんか片手で捻り潰してやるってくらい言ってくれたほうがいい」


「いやいや、無理があるでしょ。正直、うちら2人は1年生で勝ち上がれるのはシオンが1番だと思ってるよ」


「随分と高く買われたもんだな」


「お世辞なんかではありませんよ。私も勝ち上がるならシオンさんと違うグループでなければならないと思ってますから」


「アリアさんとアリスさんにそこまで言わせるなんて、シオンくん流石ですね」


「正直、俺もシオンが勝ち残れないなら1年生は全員勝ち残れないと思っている。実際、ここ5年間で1年生の勝ち残りは2人だけだしな」


「そしてその2人もイレギュラー……。ですが、シオンさんも十分イレギュラーかと思いますので」


「そんなに持ち上げても、僕の心は変わらないぞ。当日までなんとか抗ってやる」


「それは難しいんじゃねーかなー」


「なんで?」


「1年生のエントリー担当はエリナ先生だ。あの先生、あまり表には出さないけど実力は本物だ。何が何でも参加させられると思うぜ」


 アリスがシオンにトドメを刺す。実力云々の前に、シオンのことを知るエリナが担当とあっては弱みをガッチリと握られているようなものだ。

 となれば、参加は確定。あとはどのように当日をやり過ごすかにシフトしなければならない。


「なるほどな。じゃあアリアかアリスが僕のことをコテンパンにしてくれればいいってわけだ」


「できれば当たりたくないのですが、もしそうなれば本気で戦ってもらわないとエリナ先生に言いつけますからね」


「……僕の味方はいないのか」


「何言ってるんやシオン。少なくともうちとエルドとミナはシオンを応援してるで。負けたら許さへんからな」


「………………」

 


 

 

 

 

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