お嬢様 『第二ステージの開始』
東扇島の夜景がきらめくアルテミスビル3F。明日の三島の試練セカンドステージに向け、整列したマシーンのエンジン音が低く響く。
アルテミスのKIDA-RE400Rロータリー改、ルナゴス
ペルのZX-4RR改Ⅱ、そしてルナヴァイオレットのサポートチームも、各自の持ち場で最終チェックに余念がなかった。
雅はマシーンの前で隊列確認表を広げる。
「明日の区間Bはブラインドが多い。ここで連携を崩さないことが勝利の鍵よ」
梓もデータ端末を指さしながら補足する。
「ライン間隔、加減速タイミング、トラクション管理。ここを守ればポイントのロスは最小限です」
一方、ルナゴスペルの美奈子はZX-4RR改Ⅱのそばで仲間に指示を出す。
「明日は俺たちはウチたちの勝負だ。アルテミスは姉妹チームだけど、負けるわけにはいかない」
」 千秋や涼子もマシーンの最終調整を行い、ライバルとしての集中力を高めていた。
その一角に、ルナヴァイオレットの5人が揃っていた。
いずみが軽やかに歩きながら声をかける。
「アルテミスもルナゴスペルも、焦らずね。ラインが乱れそうになったら、私たちが視覚的にも心理的にもガイドするわ♡」
しおんは風向きや路面状態を確認し、両チームの隊列維持に関わる情報を瞬時に伝える。
「上層区間は横風が強いです。アルテミスは少し間隔を詰めて、ルナゴスペルは少し広めにとると安定します」
みちるはブレーキ・スロットルの微調整を両チームに示し、スムーズな加減速を実現させる方法を助言。
「ここでスロットルの入りを変えると、次のS字での隊列崩れを防げます」
あやめはマシーンの安定性を視覚的に確認させ、ライン取りやカーブ進入時のバランスを指示。
ひまりは心理面でのアドバイスを担当。各ライダーの集中力を高め、緊張で誤操作しないよう声をかける。
「ルナゴスペルもアルテミスも、焦らず、自分のペースを保つことが重要よ」
アルテミスのメンバーは静かに頷き、ルナヴァイオレットのアドバイスを吸収する。
ルナゴスペルの美奈子も、最初は少し照れくさそうにしながらも、いずみたちの指示を受け入れ、隊列維持の感覚を磨く。
いずみは満足げに両チームを見渡す。
「明日はライバル同士でも、私たちがしっかりサポートするから安心してね♡」
東扇島の特設サーキットには、夜の光と人工照明が輝きを増していた。
アルテミス、ルナゴスペル、不如帰、ヴァルキリーズ、クロムファング5チームのマシーンが一堂に会し、前夜の最終ウォームアップを行う。
アルテミスは隊列を意識した整列走行、ルナゴスペルは美奈子を中心に加速・減速のタイミングを確認。
不如帰の蓮はFZR-1000の特性を活かしつつ、ライバルの挙動を分析。
ヴァルキリーズはV100の車体特性を確認しながらスラロームやヒルスプリントの練習。
クロムファングはBuellの強力なブレーキとトルクを使い、低速テクニカル区間での安定性を磨く。
互いにライバル意識を持ちつつも、明日のレース成功のために安全距離を保ち、タイミングを計る心理戦が繰り広げられる。
隊列の維持やS字進入の微調整、ブラインド区間での視界確保など、各チームが互いの動きを観察しながらウォームアップを行う。
一方で、ルナヴァイオレットの5人は別行動。
いずみ、しおん、みちる、あやめ、ひまりはアルテミスとルナゴスペルをサポートする役割に徹していた。
あやめはマシーンの車体バランスを確認し、ひまりが心理的な集中を保つために声をかける。
いずみは全体の指揮をとり、両チームが隊列維持と個々のパフォーマンスを最大化できるようサポートした。
この夜、5チームのライダーたちは互いを意識した緊張感と戦略の確認を行い、データ・視覚・心理の三方向から、両チームの走りを静かに支えていた。
翌日のセカンドステージに向けた、静かで濃密な前夜の時間が流れていた。
三島の試練セカンドステージ・スタート直前
特設グリッドは夜景に照らされ、工場の灯りが淡く反射する。
アルテミスの8台、ルナゴスペルの7台、不如帰、ヴァルキリーズ、クロムファングのマシーンがそれぞれスタートラインに整列する。
各チームのライダーの視線は前方に鋭く集中している。
雅はKIDA-RE400Rロータリー改のハンドルを軽く握る。
「…準備は万端ね」
静かに呟き、隊列全体に視線を送る。
梓が微調整を確認し、あかねは呼吸を整える。
「ここからは、計算よりも反射よ」
彩が小さく頷く。緊張と興奮が混じり、肩がわずかに震えた。
美奈子はZX-4RR改Ⅱに跨り、後続の千秋、涼子、沙耶香らを見回す。
「今日の勝負、全部出し切るわよ」
言葉に力があり、隊列全体に自信が伝わる。
それぞれが無言でマシーンを暖め、前夜のウォームアップで得たライン取りや心理戦の駆け引きを再確認する。
不如帰の蓮は、今回は外国勢と対等なパワーのリッターバイクを手にしたことでパワーに負けない自信があった。あとは序盤に無理することもなく中盤以降の走りでトップに立つ作戦である。
ヴァルキリーズのフリーダは、あくまでチームの統率スタイルはかえず、よりコンビネーションとシンクロ性に磨きをかけてきた。
クロムファングのマイクは、前回タイヤの開発が遅れたが、今回はグッドイヤーが、自信をもってロードレース用タイヤに仕上がったとの報告を受け、安心してパワー勝負にいけると考えていた。
「青…!」
信号が点灯し、すべてのマシーンが同時に加速。
夜景と工場灯が流れる中、隊列が一斉に動き出す。
雅のKIDA-RE400Rロータリー改が前を走り、梓とあかねが正確に追随。
美奈子もZX-4RR改Ⅱをしなやかに操り、アルテミスを追いかける。
心理戦の火ぶたが切られ、三島の試練セカンドステージが幕を開けた。




