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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様 『光に引きずり出されたもの』

 都内の高級料亭。田辺元道代議士と三又洋行と劉は、薄暗い個室で向かい合っていた。


 田辺は煙草の煙をゆっくり吐き出す。

「伊藤俊英か……動き出したか。いやはや、国家レベルで口出しされるとは想定外だ」


 三又は軽く笑いながら、書類を指で弾く。

「この件は、太陽熱発電計画の推進に関わる重要案件です。地方議会や企業利権の絡みもある。国家機関の動きは、あくまで“情報確認”に留めさせたいところです」


 田辺は眉をひそめ、低い声で続けた。

「情報は筒抜けだ。アルテミスが関与していると知ったら、余計に面倒になる。だが……彼らを潰すには、公安や警察に手を出させないように立ち回るしかない」


 三又は書類をまとめながら言う。

「この鎌倉案件、地元や環境問題に敏感な世論も利用できる。だが、国家権力が本気になれば我々には手が出せぬ……表向きは平和に見せかけつつ、裏で圧力をかけるしかない」


 田辺はふと目を伏せる。

「……だが、アルテミスや伊藤の情報網は想像以上だ。我々の動きはほぼ筒抜けだと覚悟すべきだ」


 三又も静かに頷く。

「表に出ぬまま、計画を続けられるか……。いや、もはや安全策は限られた選択肢しかない。私たちの権力だけでは、この作戦は止められない」


「何を甘いこと言ってるんですか?一人殺せば、相手はこれ以上危険が及ばないように、手を引くのが日本人でしょ?工作員は、移動パターンも把握してます」 

 劉は苛立って言った。


「我々は、このプロジェクトにかなりのお金をつぎ込んでます。今2人が手を引けばその怒りは二人に向かいますよ」


 二人の間に重い沈黙が落ち、背後には国家権力と若きアルテミスの存在の圧力が、確実に迫っていることを示していた。




 夜。鎌倉の山林。

 暗闇の中を、一台の黒塗りSUVがヘッドライトを点滅させながら林道を走っていく。

 後部座席の窓には、防弾ガラス越しに彩のシルエットが見える。

 だが、それは立体映像投影による囮だった。



 運転席も無人。実際には数キロ離れた作戦指令車から、梓が操縦システムを遠隔操作している。

「誘導ルート、予定通り。敵の追尾開始を確認」梓が冷静に報告する。


 林の陰から現れる数人の影。

 中国系工作員たちが無線で短く合図を交わし、車両を追う。

「ターゲット確認。伊藤彩を確保しろ」


 SUVが橋を渡り、谷を抜ける。

 その先には公安特殊部隊とSATが待ち伏せしていた。


 宗子がドローンを飛ばし、敵の位置を正確に割り出す。

「六名、全員追尾中。……来たわ!」


 次の瞬間、車両が急停止。

 強化ブレーキで土煙が舞い上がると同時に、後部から煙幕が展開。

 敵が一斉に車に群がる。


 だがドアを開けた瞬間、そこにいたのは無人のシートと投影装置。

「しまっ!」

 敵が気づいた時には遅かった。


 SATの部隊が、茂みから一斉に突入する。

「動くな!武器を捨てろ!」

 暗視ゴーグルに浮かぶ敵の影が次々と制圧されていく。


 雅の声が無線に響く。

「敵、全員捕捉。退路なし。作戦完了よ」


 指令車の中で、彩はモニターを見つめながら深く息を吐いた。

「……私を囮にしなくても、これだけ完璧に捕まえられるのね」


 伊藤官房長官が静かに頷く。

「お前の身を危険にさらす必要などない。国家として、君たちを守るのは我々の役目だ」


 アルテミスの仲間たちも同じ画面を見つめ、安堵と誇りを分かち合っていた。


 鎌倉で拘束された中国系工作員たちは、警視庁公安部の地下留置施設に移送された。

 尋問室の一角。厚いガラス越しに、伊藤官房長官と公安幹部が静かに見守る。


「お前たちを雇ったのは誰だ?」

 尋問官の声に、最初は沈黙を守っていた男が、数時間後には疲弊した顔を上げた。


「……我々に金を流していたのは、日本の政治家だ」

「名前を言え」

「田辺、そして三又。彼らの秘書を通じて、資金が渡された。見返りは法案への影響力だ」


 室内が一瞬、重苦しい沈黙に包まれる。

 伊藤官房長官の目が鋭く光った。



 ビッグデーター社の奥に、非常にセキュリティレベルの高い部屋がある。

 そこは、ビッグデーター社の社員さえ、知られていない特別な部屋である。


 梓が特殊な端末を操作し、暗号化された取引記録を解読していた。

「見つけたわ。田辺の裏口座、香港ルートで送金されてる」


 宗子はバイクをコンテナの影に停め、赤外線カメラで監視。

「港湾労組の裏契約も押さえた! 動画、しっかり録れてる」


 彩は冷静に連絡を入れる。

「お父さま、証拠は確実に確保しました」


 都心の高級ホテル。

 雅と麗子が華やかなドレス姿でレセプションに潜入。

 田辺派の資金集めパーティーに紛れ、裏帳簿と実際の献金者リストの不一致を巧みに撮影する。


 麗子がささやく。

「もう終わりね。金融の流れは完全に矛盾している」


 同時刻、あかねは祖父(警察庁長官)と父(神奈川県警本部長)の後ろ盾で、警察内部に圧力をかけていた。

「もう逃がさない。証拠はすべて司法に回す準備が整ったわ」


 画面には、次々と更新されるタグ。

「売国議員」「裏金疑惑」——

 誰かが火をつけ、誰かが煽り、もう止まらない。




 国会前ではデモが広がり、野党の追及が過熱する


 衆議院本会議場。

 ざわめきとフラッシュの中、二人の議員、田辺と三又が険しい表情で議席に座っていた。

 その顔は、かつて権勢を誇った政治家の余裕などどこにもなく、追い詰められた獲物のように硬直している。


 議長の木槌が鳴り響く。

「これより、田辺・三又両議員に関する資金疑惑の集中審議を行います」


 野党議員が立ち上がった。


 鋭い声が議場を貫く。

「劉と名乗る中国系工作員の供述によれば、あなた方の派閥を通じ、外国勢力から裏金が流れていたとある! その金は選挙資金や派閥の維持に使われたのではありませんか!」


 議場がざわめく。

 田辺は額の汗を拭い、マイクにしがみつくように言葉を発した。

「そ、それはでっち上げだ! 我々はそのような外国人など知らん!」


 すかさず与党内の一部議員からも冷たい声が飛ぶ。

「ならばなぜ、あなた方の政治資金口座から、説明のつかない数億円が出入りしているのですか?」

「なぜ、あなた方の秘書が公安の監視対象者と複数回接触していたのか!」


 三又の顔は蒼白になり、声が震える。

「誤解だ……私は、私は関与していない……!」


 傍聴席の一角、彩と雅たちアルテミスが静かに事態を見守る。

 彩は息を潜めながらつぶやく。

「これで、もう……終わり」


 再び野党議員が畳みかける。

「国民は怒っています! 外国の手先と化した売国奴に、国政を預けるわけにはいかない! 議員辞職を求めます!」


 議場全体がどよめき、拍手と怒号が入り混じる。

 田辺と三又は言葉を失い、ただ議席に座り込むしかなかった。


 官房長官・伊藤が答弁席で低く言い放つ。

「国民を裏切る者には、断固たる法の裁きを受けてもらう」


 官房長官・伊藤俊英の声がイヤーピースに響いた。

「よし、これで司法も動ける」


 《速報:国会議員・田辺、三又に外国勢力との不透明な資金取引疑惑。東京地検特捜部が家宅捜索へ》


「ついに動いたか……」

 雅が低くつぶやく。


 エマが微笑みながら紅茶を置く。

「つまり、今回の敵はただの工作員じゃなかったのね。日本の中枢にまで食い込んでいた」


 あかねは拳を握りしめる。

「祖父上や父上が、ずっと掴もうとしていた証拠……これで一気に表に出るわ」


 翌日の新聞一面には大見出し。


「田辺派壊滅 田辺・三又議員、殺人共謀罪と政治資金規正法違反で逮捕」

「鎌倉のメガソーラー計画を中国企業と画策」

「売国奴と罵声浴び、派閥解散へ」

「鎌倉のメガソーラー計画は白紙へ」

「鎌倉メガソーラー反対の一般人殺人を工作員に依頼」


 テレビに映る二人の代議士は、SPに囲まれ手錠をかけられていた。

 群衆からは容赦ない罵声が飛ぶ。

「裏切り者!」「売国奴!」「金の亡者」「汚い政治屋」

 雅が仲間たちを見渡し、静かに笑みを浮かべる。

「これで、鎌倉も、あかねちゃんの家族も守られたわ」


 伊藤官房長官は一同を見て、短く告げる。

「よくやった。だがこれからも警戒を解かずに進むぞ」


 アルテミスの面々は無言で頷いた。

 夜の鎌倉に戻る彼女たちの胸には、誇りと決意が確かに宿っていた。



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