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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様 『第2ラウンド』

 深夜零時――

 鎌倉の小町通りを、重たいブーツの音が響き渡る。

 鷲尾が率いる十余名の残党は、黒いジャージに鉄パイプや日本刀を携え、怒号とともに市街へ突入した。


「行くぞォッ! 湘南会、最後の意地見せてやれぇ!」


 酔客や通行人は悲鳴を上げ、シャッターを閉める音が連続する。

 鷲尾の眼は血走り、もはや理性は吹き飛んでいた。

 死兵の突撃、その気迫だけは凄まじい。


 だが、それこそが 三条雅の狙いだった。

 洋館の一室で、雅と梓、そしてアルテミスの主力メンバーがモニターを見つめていた。画面には、街頭カメラやドローンが捉えた湘南会の乱入が鮮明に映し出されている。


「予定通りね」

 雅はティーカップを手に持ち、静かに微笑んだ。


「……まさか、鷲尾がここまで単純だとは」

 梓がタブレットを操作しながら冷笑する。


「今夜の突撃で、警察の動きは確実に早まります。暴対法も強化されるでしょう」


「横浜連合を使って兵をすり潰し、最後は警察に止めを刺させる。完璧な絵図ですね」


「ええ。私たちが手を下さずとも、湘南会は自壊する。これで“横浜連合の治安維持力”を世間に示せば、連合の名はさらに上がるわ」


 雅の言葉に、エマが小さく息を呑む。

「つまり……最初から狙いは“殲滅”じゃなく、“社会的抹殺”……?」


「いや、文字通り湘南会の”看板”から全て消し去ります。鷲尾が死兵を率いて暴れれば暴れるほど、湘南会は自ら墓穴を掘るわ」


「そういえばオネエ様方がいないようだけど」

 あかねがふと気づいて口に出す。


「ふふふ、いずみちゃん達は、別に動いてもらってますわ」


 一方その頃、鷲尾は叫びながら鉄パイプを振り下ろし、

 無抵抗の車を叩き割る。

「湘南会を舐めんじゃねぇぞォ!!!」


 しかし、その背後には既に包囲網が迫っていた。横浜連合の走り屋たちが路地を封鎖し、パトカーの車列が鳴りを上げて突入する。


 それは、雅の描いた脚本通りの「最終幕」だった。


 深夜の鎌倉市街。


 鷲尾率いる残党は、暴れまわりながらも次第に足を止めざるを得なくなった。路地の封鎖、横浜連合の巧妙な配置、そして遠くから迫る赤色灯。


「ちっ、警察まで来やがったか……!」

 鷲尾が咆哮する。だが背後には退路がなく、手元の兵も既に半壊。


 路地の角から、黒革ジャンの暴走族たちがバイクで飛び出し、鷲尾たちを追い詰める。さらに市街各所や近郊より応援の警察の車列が駆けつけ、鷲尾らをじりじり包囲する。


「こんなところで足なんか止めれるか……」

 鷲尾は短く歯を食いしばるも、もはや抗う力は残っていなかった。

 警察は迅速に制圧に入り、鷲尾と残存の湘南会兵たちは次々に手錠をかけられ、連行されていく。


 数時間後。

 鎌倉の中心部に残されたのは、瓦礫と破損した車、そして逃げ延びた数名の下級構成員のみ。


 さらに鷲尾に追い打ちの言葉が、刑事よりかけられる。

「ああ、こうなったお前に知らせることがある。お前のとこの逗子・鎌倉・藤沢の事務所だが、先程は入った情報でだな、更地になったらしい」


「どう言うことだ?事務所が更地だと?」


「なんでも、多数の重機が入ってな。1時間ほどで建物は壊され廃材もダンプに積まれ、どこかに持っていかれたそうだ」


「警察は、何してたんだ?見てただけか?」


「見るも何もお前等が暴れてから、上からの指示でこっちに全力出動中で手が回る訳ないだろう。第一に道具まで持ち出したヤクザの対策が最優先されるのは当たり前じゃないか」

 冷たく刑事は答えた。


「嵌められた。俺ら嵌められたんだ」鷲尾はわめき散らす。


「嵌められた?誰にだ?」


「女やガキどもにだ」


「プッ!」刑事は思わず噴き出した。


「お前なあ、嘘つくならもうちょっとマシな嘘つけよ。じゃあ何か?お前等ヤクザを壊滅させ、さらにお前等の事務所を更地にしたのが、女とガキだって?そんなんでヤクザやってけるのか?」


「本当なんだ!」


「お前の今言ったこと検事の前で証言してみろ。まず俺ならお前がシャブやってるんか疑うぞ。次に精神鑑定にまわすな。」



 窓の外、遠くでサイレンの音が鳴り響き始めた。

 鎌倉の夜を切り裂く赤色灯が、獲物を追い詰める狩人の光のように揺れる。


 組織の中枢は消え失せ、湘南会は事実上解体された。


 雅は静かにモニターを見つめ、梓とアルテミスメンバーに向かって微笑む。

「オネエ様たちは、事務所の解体をお願いしてましたの・・・・・」


 湘南会壊滅。鎌倉の夜は、再び静寂を取り戻した。


 鎌倉のあかね祖父の家の離れ

 障子越しに秋の月が差し込み、畳の上に円座したのはアルテミスの八人と、ルナゴスペル、ルナヴァイオレットの代表者たち。

 そこには、先日の抗争で見せた緊張感とはまた異なる、張り詰めた空気が漂っていた。


 梓がタブレットを広げる。

 青白いスクリーンに浮かび上がるのは、鎌倉の土地売買のデータベースと、不可解な資金の流れを示す赤いライン。


「見ての通りよ」

 梓の声は冷ややかで、だが鋭い。

「湘南会を潰したのは序章にすぎない。本丸は、この再開発を主導している外国資本。そして、その橋渡しをしている政治家たち」


 スクリーンに次々と表示される名前。与党の大物代議士田辺元道、地元の有力政治家三又洋行、そして中国系の不動産ファンドの代表者。


「……日本を切り売りする連中ですのね」

 麗子が扇子で口元を隠しながら、吐き捨てるように言った。

「資金の流れを洗えば、一目瞭然。銀行間送金の不自然なルートが、すべて彼らの結びつきを物語っているわ」


「フランスの投資家仲間からも情報が入ってるわ」

 エマが肩をすくめる。


「この中国系ファンド、表の顔は華やかだけど、裏では中国マフィアや中東資本のマネーロンダリングを請け負ってるの。……つまり、私たちの敵は単なる企業じゃない、国際的な資本網そのものよ」


「建設計画も穴だらですね」

 宗子が図面を広げる。

「地盤調査が不十分、耐震設計も怪しい。このまま進めば、鎌倉の町並みは取り返しがつかなくなるわ」


 琴音もうなずき、「ゼネコン筋も動いてるわ。裏で談合がある」と補足する。


「相手は暴力じゃなく、金と権力を使ってくる。

 私たちがやるべきは、証拠を集め、世論を動かし、正義を突きつけることね」


 美奈子が頷いた。

「ウチらルナゴスペルは、街の見張り役をやる。怪しい動きを見せた奴は叩き潰す」


 いずみが手を挙げた。

「ルナヴァイオレットは、地元議員や記者に繋ぎをつけますわ。小さいけど声を集めれば、大きな力になるのよ♡」


「ええ、それでいいわ」

 雅は全員を見回し、静かに微笑む。


「ヤクザも、政治家も、外国資本も、すべてこの鎌倉を脅かすなら、私たちアルテミスが立ちはだかる。覚悟してもらいましょう。」


 その言葉に、少女たちは一斉にうなずいた。

 ここから先は、暴力の世界ではない。


「彩さん、この情報をあなたのお父様に流してください。そしていざと言う時お力をお借りしたいと」


 彩はすぐに承諾する。

「田辺と言う政治家は、与党でも妖怪と言われている古いタイプの政治家です。政治家と言うより、私腹を肥やしてる典型的な政治屋タイプ。派閥内のパーティー券のキックバック方式を指示したくせに、”自分は全く知らない”と言ってる厚顔無恥な輩です」


 いずみが続ける。

「三又洋行は、田辺の派閥”元政会”の構成員で、田辺の腰巾着って言われてるわね」


「ここからは本丸ですわ。2度と政治の世界に戻れない位には、痛い目みせてあげましょう」

 静かに言った雅の目は、怒りに燃えていた。

 

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