お嬢様 大型バイクへの対応特訓と おとめ達の入浴
三島の試練セカンドステージの対策合宿で、アルテミス姉妹三チームが熱海のサーキットに集合していた。
今回の目的はただ一つ、シュミレーションとリッターバイク級の怪物達に対抗するためだ。 そこでルナヴァイオレットにその仮想チームになってもらう為にお願いした。
紫のスカジャンを羽織り、縦ロールを揺らすオネエリーダー・泉が高笑いしながら登場。
その背後には、それぞれのモンスター級マシンに跨がった仲間たちが並ぶ。
いずみ:Kawasaki Ninja ZX-10R(パワー全開仕様)
しおん:木田KBR1000RR-R(宗子の家のレーシング部門が関わるフルスペック機)
みちる:Suzuki 隼(ターボ強化)
あやめ:BMW R1250RS(電子制御を極限までチューン)
ひまり:Yamaha MT-10(アクティブサスペションを強化及び軽量化したコーナーリング機)
「さぁ〜て!元気出していくわよぉぉ〜ッ☆」
そう叫んで前に出たのは
ひまり。
チームのムードメーカーで、明るさとアクロバティックなライディングが持ち味。
マシンは Yamaha MT-10。
ウィリー、ジャックナイフ、スライドターン……派手な技を披露して、仲間も観客も沸かせるテクニシャン。
シミュレーション開始
アルテミスは新型ロータリー改+電動モーター機。
ルナゴスペルはZX-4RR改Ⅱのモンスターマシン。
ルナヴァイオレットが先行役となり、疑似的に「リッターバイクの暴力的加速と重さ」を再現する。
区間A:可動橋アプローチ
いずみのZX-10Rが湿った鉄グレーチングの上であえてスライドを誘発し、後続に「トラクション回復訓練」を強制。
梓が冷静にロータリーのパワーとモーター補正で立て直し、隊列を守る。
泉のZX-10Rがトラクション試練を作る場面で、ひまりはあえてウィリー気味に渡る。
「アタシが一番楽しく走っちゃってるじゃないのぉ〜!」
アルテミス側は思わず「練習中に遊んでる!?」とツッコミ。
でも、そのアクロバティックな走りは“恐怖心を和らげる効果”*をもたらし、全体の緊張がほどける。
区間B:二層高架スパイラル
シオンのKBR1000RR-Rがリッターバイク特有の“立ち上がり加速”で隊列を引き離す。
それを追う雅たちは、モーター駆動による瞬発トルクで食らいつく。
美奈子は4RR改Ⅱで「上層の横風シミュレーション」を体感、「これ…本番は気を抜けない…!」と呟く。
区間C:サイロ回廊(粉塵+スチーム演出)
みちる(隼役)がミスト散布装置を起動。
センサー頼りの走りをすると誤補正を食らうため、彩は「人間の目と勘でいくわよ!」と声をかけ、アルテミス全員が手動判断に切り替える。
ミストの中で、ひまりは片手運転で「おーい!みんなぁ!こっち向いて〜♡」とジェスチャー。
普通なら危険なふるまいだが、彼女は完璧にコントロールしている。
「アタシが照明代わりになってあげるわ!」とウィリーでライトを高く掲げ、アルテミスの進行を助ける。
区間D:クレーン群テクニカル
あやめのBMWが重たい車体をものともせず、美しい減速姿勢で先頭を切る。
しおんは「お花をいけるようにラインを整えて!」と声を飛ばし、チーム全員が“S字美学”を意識。
アルテミスはそこで「隊列ボーナス」を狙ったシンクロ走行を試す。
テクニカル区間では、ひまりが先頭で魅せる。
スライドターンやヒールクリップを織り交ぜ、「ライン取りの教科書じゃなく、遊び心を忘れない走り」を示す。
梓が「なるほど…リッターバイク相手にも、こういう意外性の走りは有効かもしれない」と分析。
アルテミスサーキット 夜間訓練
ピットロードで、エンジンの爆音とチームカラーの旗がはためく。
「うふふふ、三チーム合同なんて、胸が躍るわねぇ!」
ルナヴァイオレットのひまりが、MT-10を空転させて煙を巻き上げる。
「おいおい、あんま飛ばすなって!」
ルナゴスペルの千秋が叫び返す。
その横で美奈子は腕を組み、改造されたZX-4RR改Ⅱを見下ろしてニヤリ。
「アルテミスの仮想リッターバイク対策……この勝負、ウチらも手加減しないからね」
アルテミス総長・雅がヘルメットを抱え、微笑む。
「ええ、むしろ歓迎ですわ。三姉妹チーム揃い踏み、存分に走りましょう」
先陣を切ったのはルナヴァイオレットの泉。Ninja ZX-10Rの爆発的加速でホールショットを奪う。
アルテミスは雅と梓がロータリーのレスポンスで並走。ローター特有の甲高いサウンドが、リッターバイクの重低音を切り裂く。
ルナゴスペルは美奈子が2番手グループで果敢にインに突っ込み、千秋・玲奈らがサイドを固めて壁のように迫る。
「アルテミスに、下剋上ってやつ見せたげるわ!」
美奈子の叫びに、ルナヴァイオレットのシオンが挑発するようにKBR1000RR-Rで前に割り込む。
「フフ、簡単には抜かせないわよ、ガールズ♪」
3周目。
ひまりはアクロバティックにMT-10を振り回し、千鶴のZX-4RR改Ⅱとデッドヒート。
「ほらほら、付いて来れるぅ!?」
「うるさいっ! 根性で喰らいつくんだから!」
エマとみちる(隼)がストレートで並走。
エマ:「スピード勝負なら……負けませんわ!」
みちる:「直線番長の力、見せてあげるわぁ♡」
あやめ(BMW)は冷静にアウトから美奈子を狙う。
「感情だけでは勝てない……レースは計算も必要よん♡」
「ふん、計算? あたしらは本能で走るのよッ!」
最終ラップ。
いずみ(ルナヴァイオレット)・雅・美奈子が三つ巴で最終コーナーへ。
いずみ:「トップは、アタシがいただくわ!」
美奈子:「上等よ、ぶち抜いてやる!」
雅:「……それでは、本気をお見せしますわ」
ロータリー+モーターのブーストが炸裂し、雅のマシンが一気に加速。
泉のZX-10Rと美奈子の改ZX-4RR改Ⅱを同時にかわし、チェッカーフラッグを駆け抜けた。
ルナゴスペルは肩で息をしながらも笑顔。
「クソッ……速ぇ……でも最高に楽しかった!」
ルナヴァイオレットのいずみがウィンクし、
「さすが雅様。けどアタシたちもまだまだこれからよ」
アルテミスの雅は微笑み、
「三姉妹チームの絆……より強くなった気がしますわね」
夜のサーキットに、三チームの歓声と笑い声が響き渡った。
湯けむりが立ちのぼる露天風呂。煌めく夜景と月光が映えている。
「やぁ~ん!やっぱり走った後はコレよねぇ~疲れがとれるわん♡」
肩までつかりながら、スタイリストのいずみが長い髪をかき上げ、まるで雑誌のグラビアのようにポーズを決める。
「もうぅ、いずみちゃんてば。わたしは、お風呂上りにここの厨房借りて作った特製モンブラン、雅様たちに食べてもらうのよん♡」
みちるは、甘い笑みを浮かべながら湯に浸かる。
「まぁ~!温泉にモンブランなんて贅沢の極み♡」
と、華道しおんが涼やかに扇子を広げる。
「花と和菓子の調和も素敵だけれど……花と温泉もまた風流。アルテミスのお嬢様方にも、いずれお見せしたいものね」
「フフ、和の美って言ったらアタシに任せてほしいわ、今日はこの日の為に、特製浴衣皆さまの分お持ちいたしましたの」
あやめが小さく笑い、白い指先で湯面を撫でる。
「でもさ、温泉って、やっぱり小説の舞台に最高よね!“美女たちの夜の密談”……ああ、もうタイトルだけでベストセラー確定♡」
「あなたの場合、入浴だけで映画化されそうじゃない?」
「きゃは♡やだぁ~、もっと言ってぇ~!」
ひまりは、元気いっぱいに声を上げた。
「でも、今夜の晩餐会で、私達のサプライズ楽しんでもらいましょうねぇ♡」
合宿所の夜は、続く・・・・




