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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様 『フォン・マキコ、降臨』

挿絵(By みてみん)

エマ・ベルナール


レディース「アルテミス」が結成された翌朝。 S組の教室では、昨日の午後の授業に8人が欠席していたことが、特に話題になることもなかった。


というのも、そもそもS組の授業は、一般的な高校のカリキュラムとは一線を画している。 高校の必修科目は、中学部のうちにすでに履修済み。 高校部では、理系は各自の興味に応じた実験や実習が中心で、文系では第3・第4外国語を学び、社会系では経営学、法学、経済学、政治学などから自由に選択して学ぶスタイルだった。


そんな中、いつも通り麗子と梓が連れ立って教室に入ってきた。


「ごきげんよう~」 軽やかに挨拶して、それぞれの席へ向かう。


「……あれ?会長たちはまだ来てないのかしら?」 麗子が周囲の学友に尋ねると、気の利く子がタブレットを開いてブレンドを確認する。


「登校はされてますわ。でも……午前中の授業は不参加になってますね」


慌てて梓たちもブレンドにアクセス。 午前中は、特攻服――つまりユニフォームの採寸がある日だ。 念のため、会長にプライベートチャットを送ると、すぐに返事が返ってきた。


「私たち4人は後半に回して」


そこへエマと彩も教室に入ってきた。


「ねえ……みんなどう思う?」


「たぶん、免許の件じゃない?」


「間違いないわね」


「少しでも早く免許を取るために、裏で動いてるとか……?」


「それで、警察に強い影響力を持つあかねちゃんを……?」


「馬鹿なこと言わないで」 梓がぴしゃりと否定する。


「会長がそんな姑息な手段を使うわけないでしょ」


「そやね。ウチやったら、そんなまどろっこしいことせんと、自動車学校ごと買うわ」 麗子がさらりと言ってのける。


梓は、実際その方向で動いている可能性が高いと考えていた。 その程度の費用なら、会長の1ヶ月分のお小遣いでまかなえるだろうし、免許取得後もビジネスに活用できる。 会長はすでに、気まぐれで10社ほど買収して所有しているという噂もある。


問題は、昨日会長に呼ばれた3人――宗子、あかね、琴音の存在だ。


宗子はバイク関連の相談だろう。 あかねは、警察との関係や情報収集の役割。 そして琴音の家は、大手ゼネコン。


……まさか、会長はレディースの本部をテナントじゃなくて、ビル一棟建てるつもり? その警備は?いや、警備ならITが主流。自分に相談が来るはず。 あ……だからこそ、あかねの存在か。 警察署の近くに建てれば、自然と警備コストも下がる。 でも、レディースと警察って……相容れない存在じゃ……? うーん、理解が追いつかない。まあ、あとで聞けばいいか。


そのとき、教室内に新たな話題が飛び込んできた。


「ねえ、知ってる?今日、被服室にエマさんのお母様がチーフスタッフ全員連れて来るんですって」


「えっ、学校まで?もしかして、噂の制服デザイン一新の件かしら?」


その話題に、教室中がざわつき始める。


「エマさんのお母様、マキコ・フォン・ベルナール様がデザインしてくださるなら、何でも着ますわ!」


「“フォン・マキコ”の名前だけで、もう天にも昇る気分ですわ~」


「うちの母が言ってたけど、フォン・マキコのオートクチュールドレスって、3年先まで予約でいっぱいなんですって」


「ある国の成金が、いくらでも払うからって本店に押しかけて、順番飛ばして作れって言ったら……“今後一切取引しません”って、全店撤退したらしいわよ」


「お金で買えないブランド、それが“フォン・マキコ”なのよね~」


そんな噂話が飛び交う中、教室のドアが静かに開いた。


入ってきたのは、彼女たちと同じくらいの年齢の少女。 教室を見回すと、すぐにエマを見つけ、一直線に駆け寄って抱きついた。


「もう……何してるの、マイ・ラブリー・エマちゃん!早く採寸するわよ!」


周囲の生徒たちは、ぽかんと口を開けて見つめる。


「え……誰、この子?」


すると、エマの隣にいた彩が、にこやかに言った。


「お久しぶりです、真貴子おばさま」


「えええええええぇぇぇぇぇぇぇ!?」 教室中がどよめいた。


――この方が、マキコ・フォン・ベルナール女子爵!?


その頃、被服室の窓はすべて内側から厚いカーテンで覆われ、外からは一切見えない状態になっていた。


「それで、三条さんのお嬢さんは、なんておっしゃってたの?エマちゃん」


「会長からは、“すべてママに任せる”って。ただ、それぞれの個性を最大限に引き出すユニフォームを作ってほしいって。そして、生地はこちらです」


机の上には、柔らかな光沢を放つ反物が並べられていた。 白、黒、赤、青、紫、ピンク、緑、黄――どれも鮮やかで、ただの羅紗ではないことは一目でわかる。


真貴子がそっと手を触れると、すぐに確信した。

これは……ピクーニャ。

それも、ただのピクーニャではない。

(ありえない……この生地、この世に存在してはならないレベルよ)


心配そうに娘を見ると、エマはすっと証明書類を差し出した。

CITESの輸入許可証、登録証明書……すべて合法。

密輸でも不正取得でもない。


エマから相談を受けたとき、ゼニアのピクーニャを使うことは想定していた。

だが、通常のピクーニャ生地は茶や紺、チェックやヘリンボーン柄が主流。 染め直しは難しく、色ムラが出てしまう。


この生地は、原毛の段階で染められている。 しかも、幻の“グレーピクーニャ”腹部から少量しか取れない、極めて希少な生毛を使っている。


それを贅沢にも、原色8色に染め上げているなんて…… 生地を扱う者からすれば、まさに神への冒涜。

でも、特攻服という性質上、避けては通れない。


真貴子の中で、感性のドラムが鳴り響く。


まずはカラーイメージね。


三条さんは、気高い白。 宮部さんは、大人っぽい黒。 安田さんは、金運の黄色。 伊藤さんは、冷静な青。 山際さんは、知性の緑。 木田さんは、セクシーな紫。 京極さんは、情熱の赤。 そして、うちのラブリー・エマちゃんは、もちろんピンク!


……あら、これってまるで戦隊モノみたいじゃない? ふふふ

そして、生地はこちらです」


「みんな、今日から徹夜を覚悟なさい。生地の1片でも無駄にしないように、キッチリと採寸しなさい。」


『 イェス!マム! 』


マキコ女()()は動きだした。

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