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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様 『正義の構造』

 木田技術の緊急会見からわずか二日後。 ワシントンD.C. 国務省の定例記者会見で、米国務長官が異例の発言を行った。


「我々アメリか合衆国政府は、今回の日本国内での勇気ある決断を強く支持する」


 会場がざわめく。 一企業の判断に、米国務長官が言及するのは極めて異例だった。


「日本は、世界にとって最も重要な技術パートナーの一つだ。 彼らが示した“国家の技術を守る姿勢”は、民主主義社会が共有すべき価値観そのものである。 我々は日本政府と産業界の行動を歓迎し、全面的な協力を惜しまない」


 記者たちが一斉に質問を投げかける。


「つまり、あの国への技術流入を阻止する日本の動きに賛同するということか?」 「米国企業のサプライチェーンへの影響は?」


 長官は頷き、明言した。


「日本の決定は、我々のサプライチェーンの安全保障にも資する。アメリカは日本と共に歩む」


 その夜、米主要ネットワークは速報を打ち出した。

  “Japan Chooses Integrity, U.S. Stands With Them”日本は誇りを選んだ。米国は共にある」


 この発言を受け、強硬姿勢を貫いていた米大統領も態度を軟化させた。 ホットラインを通じて日本の首相にこう伝えた。


「我々の強硬姿勢は、あの国に対する技術流出への怒りだった。 だが日本が毅然とした態度を取るなら、我々は対話による交渉を歓迎する」


 SNSでは「#JapanStandsTall」「#日米技術同盟」がトレンド入りし、日米の連携を称える声が広がった。


 一方、某国の女性報道官は冷ややかに反応した。


「日本の一部極右勢力が、我が国に対して無責任な発言を繰り返している。 これはグローバリズムを目指す我が国への妄言であり、我々は批判を受ける理由はない。 日本が対話を拒むなら、レアアースの輸出禁止も検討せざるを得ない」


 その“警告”からわずか一時間後。 日本記者クラブで、三条マテリアルが緊急会見を開いた。


「本日より、南鳥島沖の深海でレアアースの商業採掘を開始しました。 確認された埋蔵量は、日本国内の需要を150年分まかなえる規模です」


 続いて、別のホテルでは木田技術研究開発が記者会見を行った。


「当社は、レアアースを一切使用しない新型モーターを開発しました。 従来のネオジムやジスプロシウムを使わず、出力は10%向上しています」


 東京・アルテミス拠点。 ニュースを見守っていたメンバーたちの間に、静かな安堵が広がった。


 宗子がぽつりとつぶやく。


「これで、背後の連中は完全に孤立ね」


 梓が笑みを浮かべて頷いた。


「世界の目がこっちに向いた。もう、逃げ場はない」


「会長が最後に電話をかけた相手って……まさか?」


「ええ、トーマス・モルガンJr.ですわ」


「えっ、あのアメリカ最大財閥の次期当主?」


「彼の家の傘下、USスチールの件でほんの少しだけ、こちらから譲歩を。 でも実際は、彼らの方がずっと困っていたのですもの。喜んで協力してくれましたわ」


「……なるほど。貸しを作ったってことね」


「ええ。上手に、静かに、ね」


 雅は静かに立ち上がり、言った。

「……では、最終幕を迎えましょう。御厨を、完全に終わらせる」


 国会での追及、警察の捜索、経済界の声明、そして米国の支持。 すべてが重なり、御厨議員の立場は一気に崩壊していった。


 衆議院本会議では、野党だけでなく与党からも非難の声が上がる。


「説明責任を果たせ!」


  「なぜ外国企業との癒着を隠した!」


  「これは国家の安全保障の問題だ!」


 国民の怒りは沸点に達し、議員事務所には抗議の電話やメールが殺到。 秘書たちは対応に追われ、混乱は広がった。


 御厨は議場で顔を真っ赤にし、しどろもどろに答弁を繰り返す。 だが、すでにアルテミスが握る証拠は世間に流出しており、言い逃れは不可能だった。


 翌日、東京地検特捜部が動いた。

「政治資金規正法違反」「収賄」「背任」の容疑で、御厨の関係先を一斉に捜索。


 議員会館に踏み込む捜査員たちの姿がテレビに映し出される。 押収されるパソコン、裏帳簿、現金の束。 御厨の顔から血の気が引いていく。


 警視庁組織犯罪対策部も同時に動き、暴力団フロント企業との裏取引の証拠も次々と発見された。


 後援会の有力者たちは次々と手を引き、選挙区事務所は事実上の閉鎖に追い込まれる。 麗子の家系が動かした金融圧力で、御厨と関係の深かった地方銀行の役員たちも総退陣。 御厨の金脈は完全に断たれた。


 琴音が動かした経済界の声明は、世論をさらに後押しした。 各紙が「御厨に議員バッジをつける資格なし」と社説で一斉に批判を展開する。


 そして、決定的な日が訪れる。 東京地検特捜部が御厨本人に逮捕状を請求。 ニュース速報が全国を駆け巡った。


「現職国会議員に収賄容疑で逮捕状請求」


 御厨は“会期中の不逮捕特権”で逃げ切ろうとしたが、衆議院は逮捕許諾を可決。 法的根拠を失った彼は、ついに議員辞職に追い込まれる。


 テレビカメラの前で、蒼白な顔の御厨が震える声で言った。


「……これは陰謀だ、私は無実だ……!」


 だが、その言葉に耳を傾ける者は、もういなかった。



 アルテミス拠点。

  ニュースを見届けた雅は、静かに目を閉じて言った。


「一人の欲にまみれた男のために、日本の未来は売られるところでした。 でも……終わりましたわ」


 あかねが短く報告する。


「警察も検察も完全に動いた。これで決まりだ」


 宗子が深く息を吐きながら、静かに言葉を継いだ。

「彼のせいで傷ついた人たちが、ようやく救われる

 ……それだけでも、やった意味はあった」


 画面には、御厨が護送車に乗せられる姿が映っていた。 その様子を見ながら、梓が小さく笑う。


「正義って、案外デジタルと金融でできてるものですね」


 誰も返さなかったが、その言葉に、皆が少しだけ肩の力を抜いた。


 アルテミスビル 会議室


「……本当に、言葉にできません。 私たちはもう、生きる気力さえ失っていました。 工場も、技術も、命さえも……あの夜、あなた方に救われなければ、私たちは……」


 誠吾の声は震えていた。 彼は熟練の技術者であり、長年の努力で世界に誇れる精密マフラーを作り上げてきた。 それを奪われかけた絶望から、ようやく解放されたのだ。


 雅は柔らかく頷き、静かに答える。


「私たちがしたのは当然のことです。あなたの技術は、日本の未来に必要なものですから」


 芙美子は涙をぬぐいながら、そっとエマの手を握った。


「娘を……咲を守ってくれてありがとう。 あの子まで巻き込まれていたら、私は……」


 エマは微笑みながら、優しく応える。


「大丈夫ですわ。咲さんは強い子。これからは未来を見て歩いていけます」


 宗子も言葉を添えた。


「そして、あなた方の工場も再建できます。 私の父の会社が、正式に協力を約束しました。技術は、必ず守られます」


 咲は顔を真っ赤にしながら、アルテミスの少女たちを見つめた。


「……私、本当に憧れてます。こんなに強くて、誰かを救える人たちがいるなんて……。私も、いつか……」


 その目には涙が浮かんでいたが、奥には確かな光が宿っていた。 その視線を受けて、梓が肩をすくめながら笑う。


「憧れなんて言われると照れるけど……でも、夢を持つのはいいことだよ。 いつか君も、自分の技術で人を救えるようになるさ」


 エマも照れたように笑いながら、そっと咲の背中を押した。


 最後に、誠吾が雅に向かって深く一礼する。


「私の命も技術も、もう一度この国のために捧げます」


 雅は一瞬目を閉じ、静かに答えた。


「その心意気、必ず未来につながりますわ」


 二人はしっかりと握手を交わす。


「あなた方は……いや、ただの“レディース”でしたね」


 誠吾が冗談めかして言うと、場に小さな笑いが広がった。


 その光景を、メンバー全員と家族が静かに見守っていた。


 小さな工場から始まった精密部品の技術は、後に世界のレースシーンで重要な役割を果たすことになる。 その未来を暗示するように、会議室には確かな希望の空気が満ちていた。 


 そして、誰もが知っていた。 これは終わりではなく、新たな始まりなのだと。 


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