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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様 『ティーカップの中の革命』

 

「レディースを作るなら、まず名前を決めないとね」


 雅がそう言うと、間を置かずに彩がタブレットを取り出し、キーボードを接続した。

 その動きに無駄がない。


「さすがですわ、彩さん。準備が早い」


「会長の思いつきは、だいたい実行段階まで早いですから」


 そう言って、彩は小さく微笑んだ。

 “秘書官”と呼ばれる理由が、そこにあった。


「まずは参考資料を並べましょう」


 画面に映し出されたのは、雑誌に掲載されていたレディースの名前だった。


 ――レディース魅酒乱(ミシュラン)

 ――レディース黒百合(くろゆり)

 ――レディース阿蘭(アラン)

 ――レディース(シャチ)

 ――レディース悪魔王(サタン)

 ――レディース横須賀

 ――レディースI999《スリーナイン》

 ――レディース道化師(ピエロ)

 ――レディース羽奮(ウッフン)

 ――レディース桃色魔(サキュバス)


「……情報量が多いですわね」

 琴音が正直な感想を漏らす。


「まず“レディース”が必須なんですね」

 宗子が頷く。「その後は自由。花、動物、地名、概念、当て字……」


「要するに、チームの“顔”やね」

 麗子が腕を組む。「意味が分かる必要も、かっこいい必要もない。ただ、“自分たちだ”って言えればええ」


羽奮ウッフンって……声?」

 彩が首を傾げる。


「桃色魔って、どういう集団なの……」

 エマが苦笑する。


 一同、くすりと笑った。

 緊張はある。でも、楽しい。


「じゃあ、時計回りで行きましょう」

 雅が言う。


「彩さんから」


「では……『レディースみやび』はいかがでしょう?」


 一瞬の沈黙。


「却下ですわ」

 雅が即答した。


「え、早くないですか?」


「自分の名前を冠するなんて、恥ずかしすぎます。

 そんな人がいたら……尊敬するより先に引きます」


「残念です」

 彩は肩をすくめて、次に進んだ。


「では、麗子さん」


「ウチは『レディース麗華』やな。“きれいな花”って意味で――」


「却下!」

 今度は全員だった。


「自分の名前と学校名から一字ずつ取るの、あまりに露骨ですわ」

 琴音が冷静に突く。


「……テンション上がってもうた」

 麗子が素直に認める。


「次、エマさん」


「『レディース・ルージュ』はどう?

 赤は女性の強さの象徴だし、フランス語で響きもいいし……」


「却下」

 今度は麗子だった。


「来年、あなたの家の会社が世界規模で口紅キャンペーン打つ予定なの、

 ウチの銀行がもう掴んでますんで」


「えへっ」

 エマが舌を出す。「バレた?」


「次、あかねさん」


「私は……『新選組』」


 誰も反対しなかった。

 代わりに、全員の視線が泳いだ。


 個人チャットが一斉に飛ぶ。

【古い】【渋すぎ】【断って】。


「……候補に入れましょう」

 雅は曖昧に微笑んだ。


 ちょうど三時。

 個室にアフタヌーンティーが運ばれてくる。


 紅茶の香りが広がり、少し張りつめていた心が、ほどけていく。


「さて」

 雅がカップを置いた。「正直に聞かせてください」


 皆の視線が集まる。


「この雑誌を見て、どう思いました?」


 沈黙のあと、ぽつぽつと声が上がる。


「夜の世界が、思ったより近かった」


「怖いけど、自由そうだった」


「服が……本気だった」


「走ってるときの目が、真剣だった」


「羨ましいって思った自分に、びっくりした」


 雅は、頷いた。


(そう……それでいい)


「私たちが目指すのは、覇道でも王道でもありません」


 静かに、言葉を選ぶ。


「自分で選んで、自分で走る“我道”です」


 誰も、笑わなかった。


「だから、名前も――背伸びせず、偽らず、

 胸を張って名乗れるものがいい」


 雅は、仲間たちを見渡す。


「さあ。私たちの名前を、決めましょう」


 もう、遊びではない。

 でも――


 全員の目は、期待に輝いていた。


 物語は、ここから“名を持つ”。

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