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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様 「バトンの重さ」

 

「なんだ、あの野郎、言いたい事だけ言いやがって」

 美奈子は、怒りに任せて吐き捨てた。


「ああ、あいつはいつもそうだ。試練と言いながら、いつも無理難題を......」

 蓮も激しく憎悪ををもった感情を捨てずに、美奈子に同意する。


 しかし、悠翔と白木は別の考えを持っていた。


「いや、たぶんだが――あいつは、無責任な気持ちで、本当の悪意から

 今度の仕掛けはやってない」

「ああ、今の俺達、いや俺と白木さんへの監督としての試練を与えのだろう」

 白木と悠翔は、言い放った。


 蓮、美奈子、正岡は、二人の言ってることが理解できずにいた。


「俺達二人は、走れるのに機器計測の数値だけしか見てなかった。

 この程度の仕掛け、最初から俺達が走ればすぐわかることだった」


「ああ、悠翔の言うとおりだ。最初から一人に二台のマシン、計六台

 のマシンが準備されてる意味に気付けば、お前達も走ってみろという

 メッセージだった」


「それを俺達は、十分な環境を与えられてると安易に考え、機械のデータ

 のみに頼った」


 少しずつ、3人のレーサーの顔が下を向いていく。


「俺達は、甘えていたんだな」

 正岡の言葉が、全員の気持ちを代弁していた。


 自前のサーキット、最高のマシン、潤沢な資金――それを当然と甘受する

 気持ち。


 そこには、準備してくれてる人への感謝をおざなりにしていた。


 いつしか、彼らに選民思想のような感覚が芽生えたいたことを三島は(いまし)めていたのだ。


 美奈子、蓮、悠翔は、アルテミス傘下に入ったことで、

 様々な恩恵を受けた。


 しかし、彼女達の先頭で立ち向かっていたのは、いつもアルテミスだった。


 正岡、白木も同様である。

 今になって思えば、分不相応の条件で迎い入れられた。


「俺達は、牙を失いかけてた。総長達から渡されてたバトンを

 落とすとこだった」


「三島は、たぶんバトンの重さを教えてくれたのだろう」


「ああ、重いな。人の想いの重さだ」


 三人のレーサーは、それぞれ言葉をつなげた。


「どこに行ったのかと思えば、種あかしですか?」

 雅が、笑いながら少し冷やかす。


「ただ、笑いに行っただけだ。あいつら馬鹿だからな。

 それに......」


「それに?」


「さすがに、アテナな誤解されたままじゃ、俺も寝覚めが悪い」


「妙なところで、律儀なんですね」


「雅、お前の方が、俺より......いや、何でもない」



 午前中、制服姿の警官達の引き締まった表情がさらに硬い。

 五人の中の隊長格は、今日の予定を粛々と伝達する。


「今日は、本庁より視察官が来られる。日頃の成果を各自十分に発揮するように」


 朝礼が終わると敬礼後各自がバイクに跨りコースに踊り出る。


 ここに来てる白バイ隊員は、各都道府県で選抜された言わば白バイのエリート隊員達。


 隊形走行、急発進、急加速、様々の訓練が、行われる。

 コースが開いてない時は、スーパーシミュレーションでの走行訓練と言うカリキュラムである。


 そして、半時間後、県警本部長が視察官が到着する。


 簡単な、訓示の後二人は、コントロールタワーに上がってくる。

 そして、雅達に挨拶をする。


「新しく、宮城県警本部長に就任しました、山下です」


「本日の視察官を仰せつかった、本庁長官付き宮坂です」


「あら、宮坂さん、いつ神奈川県警から移動を?」

 意地悪く、雅が尋ねる。


 当然この移動は、あかねから聞いている。


「その節は、お世話になりました。三か月前からであります」


 制服は、見事に着こなしている。言動に問題もなし。

 ただ、帽子の横から、一筋の汗が流れた。


 それを見つけた雅は、満足そうにうなずいたが、

 本部長は社交辞令と受け止める。


 午前中の、実車訓練を終え、雅の案内で昼食会のため、警察官たちと視察官が食堂に集められる。


 各自が、席につくとテーブルセッティングが、一つだけ余っていた。

 五人と本部長は、この空席に少し疑問をもったが、さほど注視はしなかった。


 しかし、宮坂だけは、この意味を理解した。


 宮坂の汗が、二筋になる。慌ててハンカチで汗をぬぐう。


「山下本部長、食事会に、一人同席させてもよろしいですか?」


「もちろんですよ。こちら、招いて頂いた立場です。否応もなしですよ」


「では、あかねさん、許可がでましたので」


 あかねが、席につく。


「京極あかねです」


「あかねさんですか。綺麗で凛としたお嬢様ですね」

 何も知らない、本部長は、恰好を崩す。


 そして、白バイ隊員達も、追従する。


 食事は、楽しい会話で進む。宮坂は除いてだが。


 あまり会話に入らず、黙々と食事をする。


「あら、宮坂さん、食事が合わなかったですか?」

 また、笑顔のままに雅が尋ねる。


「いえ、とんでもない。そ・そのぉ......あまりの美味しさに、驚いて」


「宮坂君、こういう席では、会話もマナーだよ。

 綺麗なお嬢さんも同席してるんだ」

 何も知らない本部長が、苦言を呈する。


「はい、勉強になります」

(馬鹿、この能天気。前にいるあかねさんの素性もしらないのか?

 彼の出世は、ここまでだな。情弱は罪だ)


「三条さん、こちらのお嬢様も、やはり会社のご令嬢関連ですか?」

 気をよくした本部長が、禁断の言葉を出す。


「え、ええ、まあ何と言うか」

 雅も、さすがにやり過ぎた感を感じた。


 左手で、あかねをつつく。


「家は、普通の公務員です」

 凛としてあかねが答えた。


「公務員ですか、では我々と同じご家庭ですね」

 少しマウントとったように、本部長は答える


 その時、さすがに宮坂の表情が一瞬険しくなる。


「本部長、さすがにご家庭の事を尋ねられるのは、話題としては」

 宮坂が、止める。


「ああ、すまん。つい職業柄と言うか、話題にする事じゃなかったな」


 白バイ隊員達も、二人の不穏なやりとりに、少し緊張する。


 本部長は、確かに重要職だ。だが、数年でこの人は、警察を去る。

 一方宮坂は、警察庁トップの懐刀と評されるキャリアだ。

 しかもその頂点を走ってる、言わば未来の警察庁長官を狙える人物だ。


 ここでのやり取りでも、二人の人間性の違いを敏感に感じた。


 しかし、最初に会った時と宮坂のイメージが違う。

 もっとフランクに感じたが、ここでは硬すぎる。

 そこだけは、理由が分からなかった。


 食事後、雅の案内で、スーパーシミュレーターでの訓練を見て、

 視察は終わった。


 二人が、公用車で帰るのを見送ったあと雅とあかねが話す。


「総長、あれやりすぎ」


「ごめん、あかね。ちょっとイタズラがすぎたわね」


「まあ、私はいいけど、宮坂さんがちょっと可哀そうだったわ」


「ふうーん」


「なによ。その奥歯挟まった言い方」


「まあ、今頃、宮坂さんが、車の中で本部長にお説教してるわよ。

 これで、本部長は宮坂さんに頭が上がらないでしょうし、

 うちのサーキットにも、ちょっかい出さないでしょ」


「あきれた。そこまで考えて私を同席させたのね」


「さあ、どうかしらね」


 二人は、笑いながら建物に向かった。








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