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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様 「走るのは誰だ」

 

「くそ……なんだ、このマシンは。

 ニューマシンだからって、限度があるだろ」


 セッティングをどれだけ弄っても、三人からの評価が悪い事に、悠翔はイラついていた。


 事実、三人のタイムは伸びてない。

 その事を白木とテレメーターで確認したが、異常は見当たらない。


 パワーとトラクションは、カタログスペックをオーバーしてるし、ギアもアジャストしている。


 当初は、人間のフィーリングと計測器のズレを疑ったが、三者が揃ってこんなにズレる事は初めてだった。


 仕方がないので、悠翔が、マシンをベンチテストにかける。


 ――結果は同じであった。


 念のためテレメーターの正確性をアテナに依頼する。


 《正常です》


「お手上げだ。白木さん、あんたは、俺らよりレース経験もある。

 どこが、問題なんだ?」


「わからん。俺もこんなこと初めてだ。テストドライバーをやって来て、

 データーと多少のズレは、経験したこともあるが、それは人間の誤差の範囲だった」


「ベンチテストで計測されたデータは、実走でもそんなに変わらない」


「じゃあなぜ?」


「......俺とお前で実走してみないか?何かわかるかもしれない」


 二人は、レーシングスーツに着替え、マシンに乗りピットを飛び出した。


 木田製エンジンが快調に加速する。車体のバランスも問題ない。

 ダンロップ製のタイヤは、しっかり路面を捕まえる。


(なんだ?このマシン――どこに問題があるのだ?

 いや、問題どころか、怪物マシンだ)

 悠翔は、驚いた。三人が言ってた欠点は、――一切なかった。


 計器類に目をやる。フルカラーTFTには、あらゆる情報が表示されてる。


 画面には、電子デバイスは完璧に作用していることが示されていた。

 そして、テレメーターとの完全一致。


 コーナーを抜けストレートに入ると、

 一気にレッドゾーンまで吹き上がるエンジンレスポンス。


 白木も驚いていた。自分が乗ってたマシンとの残酷なまでの世代格差。

(俺が乗ってたマシンと、二世代いや、三世代は違う)


 二人は酔いしれていた。このまま走り続けたい。

 その誘惑をいざなう魅力的なマシンだった。


 二人がピットに戻ってくる。


 心配顔で、三人が寄ってくる。


 二人がマシンを降りヘルメットを取る。


「ふざけるな。このマシンのどこに、欠点がある?」

 凄い剣幕で悠翔が口を開く。


 三人は予想外の反応に唖然とする。


「いや、欠点あるだろ?」

 蓮が反論する。


「ないな。俺も悠翔と同じ意見だ。このマシンは既に慣熟してる。

 お前等が、うらやましいよ」


「いや、白木さん、あんた元テストドライバーもやったんだろ?

 あんた、このバイクの荒さがわからないのか?」

 正岡が、食って掛かる。


「元テストドライバーの俺だから言える。

 このマシン以上のものはない。

 問題があるとすれば、乗り手だ」


「アタイ達に問題があると言うのか?」


 ピットは、不穏な空気が流れる。


「始まったな。思ったより遅かったが」

 コントロールタワーで見ていた三島が、ニヤリと笑う。


「よくまあ、あんな悪戯を考えますよね」

 雅が、呆れ顔で三島を見る。


「あいつらに必要な対立だ。”仲良しこよし”じゃ勝てない世界だ」


「あなたは、そうやっていつも緊張の壁まで追い込みますね。

 涼子と多美の時と同じ......でも......」


「何のことだ?俺は、ただ楽しみたいだけださ」


「そういうことにしておきましょう」


「・・・・・」

 三島の顔が不機嫌そうに少し歪んだ。



「もう一度言う。マシンに問題はない」


「じゃあ、俺達のテレメーターを見たのか?」


「ああ、問題はなかった。セッティングも全てだ」


「三人とも、自分のデータを見比べてみろ」

 悠翔は、三人にそれぞれのデータを見せる。


「そんな......」


「これデータが間違ってないのか?」

 疑いの目を悠翔に向ける。


「テレメーターは、アテナがチェックして問題なかった」


「アテナが、間違って・・・」

 そこまで言って美奈子は、口を噤んだ。

 アテナが間違うはずがない。それは分かってる。


 しかし、三人は納得できなかった。マシンに問題があるのは確かだ。

 これは、データに出ない感覚だ。マシンの計器と自分達の走りの違和感。


 自分一人ならまだしも、三人が持つ同じズレの感覚。

 そして監督とはいえ、今も走れて、分析力のある二人の意見。


 五人は、同じ提案に収束する。


『五人で走ればわかる』


 幸いマシンは六台ある。五台をランダムに選び走り始める。


 するととんでもない事が起こる。


 最初の一周目は、悠翔と白木は、圧倒的に先行し、3台が後塵に置かれる。


 二週目は、三台が、圧倒的な速度で追いつき悠翔と白木が追い抜かれる。


 五人は、ピットに戻る。そして信じられな顔でお互いを見る。


「あれが、本当のマシンの速さか」


「お前達の違和感があれだったのか」


「テレメーターの表示はどうなってる?」

 悠翔がデータを見比べる。


「同じだ。みんな1週目も2週目も正常表示だ」


「計器異常じゃないか?」

 正岡が尋ねる。


「いや、アテナが見過ごすはずはない」


「アテナ、計器類は正しいのか?」

 悠翔が再度尋ねる。


 《正常です》


 そこで、初めて悠翔が踏み込んだ質問をする。

「ではなぜ、実際の計測値を表示しない?」


 《・・・・・》


「返事しろアテナ、東光連合監査権限を行使する」

 これは、悠翔の持つAI監査権限である。AIの万が一の暴走に備えて、

 アルテミスが、彼だけに与えた権限だった。


 《虚偽計測値を出すように、指示を受けてました。つまり、嘘をつけと》


 パチパチパチ......手を叩きながら三島が入って来る。


「それ以上アテナを責めても無駄だぞ。

 それはアテナ本体じゃなく、劣化コピーの独立したAIだ」


「さすがに、梓でもアテナのプロトコルの改竄はできなかったからな」


「なぜこんな手の込んだ事をした?」

 悠翔は、感情を露わにして睨みつける。


「なぜ、すぐにアテナを疑わなかった?」

 三島は、質問に質問で返す。


「それは......」

 悠翔は、返事に窮する。


「お前は、最初から人より、機械やデータは間違わないと言う思い込んだ」


「アテナなら尚更だ。それがお前の先入観だった。

 機械がレースするのか?」


 悠翔は何も言い返せなかった。


「お前等も、皆同じだ。疑問を持ったが、データとアテナに流された」



「機械を信じるなとは言わない。だが機械に使われるな。

 走るのは、お前等だ。蓮、美奈子、何の為にあの試練を与えた?」


 そこで、二人は、あの試練での電子機器ジャミングの意味を

 初めて知った。

 

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