表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

220/228

お嬢様 「流れの中で」

 次の日の朝――ジュニア育成教室が、今日から始まる。


 6人のパソコンに今日のスケジュールが送られる。


 午前中は、模擬レースの観戦。

 午後からは、体力測定だ。


 服装は、沙耶香お姉ちゃんが選んでくれた。


「動きやすいように、スポーツウェアーにウィンドブレーカーがいいな。

 今日は、外だから風邪ひかないようにな」


「お姉ちゃんは?」


「今日から、あたしもメカニック講座がある。

 午前中は、あたしのチームが走るから、応援してくれよ。

 昼飯は一緒に食おう。午後は座学で別だけどな」


 マリは少し不安になった。


「心配そうだな。だが友達を作るチャンスじゃないか?」


「うん・・・でも・・・」


「マリには、友達の作り方を教えよう。相手が、話してる時は、最後まで聞くこと。途中”おかしいな?”と思っても最後まで聞け。そして尋ねられたら正直に答えろ」


「それだけ......?」


「ああ、それだけだ」


「友達を作るには、まず相手を知ることだ。相手が何を考えてるか、まず聞け。それが一番大事な事だ」


「はい」


「じゃあ玄関前に行ってきな、仲間候補がいるからな」


 降りていくと、すでに同じ年頃の5人の子供たちがいた。


 そこに大人のおじさんがゆっくりやってきた。


「みんな揃ったみたいだな。俺は、白木と言うものだ。まあ、なんだ。

 硬くならなくていいからな。いまからサーキットのスタンドにいく」


「みんな、バイクのレース見た事は......ないよな?」


「社会見学とでも思ってくれ。結構楽しいぞ」


 緊張を解くように気楽に話している。


 サーキットまでは、歩いて15分位だった。


「ああ、これを渡しておく」


 そう言って紐のついたプラスチックカードを各自に渡される。


「それはな、身分証明書みたいなものだ。それがあれば、寮やサーキットも自由に入れる。暇な時もサーキットに来てレースをただで観れる。いいだろ?」


「ただな、もしそれを無くしたら・・・」


 子供たちの喉がゴクリとなる。


「受付のおばちゃんか、お前達のルームメイトの、兄ちゃん姉ちゃんに言いな。すぐ新しいの作ってくれるからな」


 ドッと子供達の緊張が緩む。


「なんだ、叱られるとでも思ったか?カッカッカ......」


「ここには、基本罰則なんかないぞ。

 だがな、世間で悪いとされてることは、世間で罰をうける」



「あのお~僕たち子供が、一人でサーキットとか行っても大丈夫なのですか?」


「ん?心配か?まあ普通そうだよな。だが、サーキット・付設病院・寮の敷地内なら、安全だ。お前等がどこに居ても、アテナの目があるからな。外部からの進入も無理だな」


「アテナと皆話しただろ?」


「はい。すごいAIでした」

 利発そうな男の子が感想を述べた。


「でも、もし泥棒とか入ってきたら・・・」


「ん~それも可能性すくないかな」


「お前らの寮の3階にいる大人の人知ってるか?」


「茶色のスポーツウェアー着てた人ですね?」


「あの人達な、警察官だ。白バイ隊員な」


「まあ、ここにいる間は、お前達と同じ訓練生だが――ここが白バイ隊員の訓練所だと、大人の世界では知れ渡ってるからなぁ」


「警察署に忍び込む馬鹿な泥棒いるか?」


 女の子は、安心した。男の子は、憧れの目をした。


 初めてサーキットを見た子供達は、その広さに驚く。


 広大なコースのあちらこちらから、エンジンの音が聞こえた。


 そのエンジン音が近づくと、目の前をあっという間にマシンが過ぎ去っていく。


「これが、バイク......」

 マリは、呟く。


 次に、白バイが同じ速度で近づき、目の前を通り過ぎた。

 男の子達から歓声が上がる。


「ねえ、白木さん白バイは、さっき走り去ったバイクを追ってるの?」

 男の子から、素朴な疑問があがる。


「いや、あれは、走行練習だ。

 白バイが、追ってるのは先頭の白バイだ。

 レーシングマシンと白バイじゃ、レーシングマシンの方が早いからな」


「白バイは、赤いランプもサイレンも鳴らしてないのね」

 今度は、女の子が尋ねてきた。


「ここは、サーキットだからな。速度制限もない。公道でできない練習をここでやって、腕を磨くのさ」


「それよりお前等は、レーシングマシンを見るんだ。

 あれにお前達は乗るのだからな」


 そう言われた子供達は、レーシングマシンを見た。

 速い・・・みんなそう思った。


 見ると言っても、音がしてアッと言う間に過ぎ去る。


 その時、一人の少女が呟く。

「今、バイクに乗ってる人が、ガレージにいる人に何か合図した......」

 マリである。


「ええ?そんなの見えなかった。合図なんかした?」


  白木は驚いた。この女の子が、あの一瞬を捉えた?

 長らくバイクに乗ってた白木だから、合図の瞬間、場所は分かる。


 だが、何の知識もないピットも知らない女の子が、流れの中でその一瞬を見た。

動体視力?いやそれだけじゃない。


「なあ、マリ何が見えた?」

 急に聞かれて、マリはびくっとする。


「あのぉ、バイクに乗ってる人が、ガレージにいる人に向いて、首を縦に振ったように......」


 間違いない、見えてる。普通なら見えないものが。それも流れで――。


「そうか、だがあれはガレージじゃない。ピットと言うんだ」


 美奈子が、ピットに戻る。

「リアのトラクションが少したりない」


「多分、ブレーキの反応かな。もうすこしリアのブレーキ圧を変えようか?」

 沙耶香は、即座に調整する。


 すぐに美奈子が飛び出した。


「すごい、沙耶香お姉ちゃん。アッと言う間に......あれは、修理なの?」


「修理とは、違うな。あれは調整だ。

 修理よりも大変なんだ。レースではな」


「機械でもわからない、ほんの些細な違いをレーサーから聞いて、

 それを人に合わせる。レーサーは、一人では走れない。

 沙耶香みたいな、人がいるからレーサーは走れるんだ」


「みんなも、レーサー候補だから、覚えておけ。

 お前達の走りは、仲間に支えられて走れるってことを」


「じゃあ、午後は、体力測定だ。食堂で昼食をとって、また一時に玄関集合だ」


 解散後、白木は、アテナと連絡をとった。


「アテナ、あのマリって子。さすが、お前が選んだだけのことはある。

 あの子の動体視力は異常だ。点でなく流れで見えてる」


 《ええ、私の予想値も超えてます。推測モデルを変えて再度計算しました》


 《推測ですが、彼女のフィギュアスケートの眼でしょう》


「フィギュアスケート?」


 《午後の体力測定で判明します。そこでハッキリします》


「そうか、分かった」


 白木は、胸に高まりを覚えた。宝石の原石を発見したように。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ