表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

219/233

お嬢様 「はじめて、眠れる夜」

 ――目の前に広がる、さまざまな料理。どれも美味しそうで、マリが食べたことがない料理ばかり。だから彼女は少しずつ沢山の料理を乗せた。


 そして、”鬼”の前を通っていく。


「まちなさい。そこのあなた」


 マリは一瞬緊張する。


「あなたは、種類は十分。でも量が不足よ。育ち盛りなんだから。もう少し食べなさい」そう言って、小さなボウルになみなみとビーフシチューをつぎトレイに乗せる。


 鬼なんかじゃない。優しい声だ。気遣いだと分かる。


 食事は、全て美味しかった。そして、デザート食べたあの美味しいケーキ。

 マリの舌は、覚えていた。魔女のお姉さんが持ってきた、あのクリスマスケーキの味。


 食事を終え、部屋に戻る。お姉さんといっぱい話した。楽しかった。


「さて、そろそろ風呂にはいろうか。ここでシャワーを浴びることはできるが、大きな風呂もあるんだ。そっちの方が、あったかいぞ」


「でも私・・・着替え荷物に入れたまま・・・だった」


 すこしマリは躊躇う。自分のパジャマもタオルも、みずぼらしく見せたくなかった。


 察した沙耶香が、言う。


「すまん。説明忘れてた。ほらそこの壁にあるクローゼット、あけてみて」


 マリは、教えられたクローゼットをあける。そこには、まだ開けられてない下着や、スポーツウェア、パジャマや、普段着などが沢山あった。


「これから、選んでいいの?」


「ああ、好きなの選びな。だって全部マリのだからな」


「風呂にいくのにおすすめは、スポーツウェアと下着だな。そのスポーツウェアは、フォンマキコ工房だから、デザインもいいし生地も最高だぞ」


「よくわからないけど、なんか高そう。こんなの風呂に持って行っていいの?」


「高い?う~~ん。高いだろうな。いや?そもそも売ってないから、値段とかついてないぞ?サイズなんかもないし、全部人に合わせての特注だしな」


「こんなの、普通に着て、破りでもしたら......」


「そのための予備、あと二つあるだろ?破れたら、すぐ新しいの届くからな。心配するなって」


 風呂もまた、ビックリした。広い浴槽に、泡が涌いてる浴槽 サウナ室に水風呂まである。


「ここは、朝7時から深夜12時まで開いている。好きな時に入れるぞ。だから、皆自室のシャワーは使わないんだよ。こっちのほうがいいだろ?」


 風呂からあがると備え付けの冷蔵庫から、沙耶香が何かを取り出す。


「ほら、風呂あがりは、やっぱこれっしょ。フルーツ牛乳。

 スポーツドリンクもあるが、こっちが1番人気なんだ」


 部屋に戻ってくると、就寝まではフリータイム。マリは何をすればいいのか分からなかった。


 普段なら、食事の後片付けに掃除。暖房費節約のために無理して布団に入り何も考えない。考える事が、無駄だったからだ。


 沙耶香が、ここでも教える。


「ほら、そこにパソコンがあるだろう?パソコンの使い方知ってるか?」


「少しだけ......でも使ったことない」


「色んなことが出来るんだぞ。好きな映画を見たり、アニメをみたり、ゲームもできるぞ。そしてテレビも見れる。全国のな」


「じゃあ、北海道のテレビも見れるの?」


「ああ、みれるぞ」


「でも。使い方が難しそう.....」


「ふふふ。このパソコンは、特別なのだ」


「特別?」


「ああ、そんなときは、このパソコンに秘密の呪文を言うと、何でもできる」


「その呪文教えて!」


「こう言うんだ『アテナ』」


 《はい。御用ですか?》


「アテナ、北海道のテレビ番組映してくれ」


 画面に北海道のテレビチャンエルが映し出される。


 その瞬間、マリの目が涙に滲む。


「アテナさん、お爺ちゃんの病院にいるんじゃ?」


 《私は、同時に252か所に存在できます――本体としてはですね》


 《でも演算力を使用しないなら、サブルーチンとして無制限に存在で来ます》


 《だから今は、ちょっとした用事だけしていると思ってください》


「じゃあ、お爺ちゃんの手術は?」


 《そちらは、私の本体になりますね》


「なんか、よくわからない」


 《そうですね、人に例えましょう。マリさん今あなたは、私と話してますよね》


「うん」


 《私の声は、聞こえてますよね。でも、辺りの音、外の音などは?聞こえているが、あなたの脳が、不要な情報として認識してないのです》


 《あなたが、外を歩いているとき、急にあなたの名前を呼ばれたら、あなたは、呼ばれたほうに反応しますよね》


 《それが、今の私です》


「うん。なんか分かった気がする。じゃあお爺ちゃんの手術は?」


 《料理をするとき、火を見ながら、別のことはできませんよね》


「じゃあ、北海道のテレビ番組にきりかえたのは?」


 《マリさんが、灯りをスイッチでつけたり、けしたりするのと同じです》


「そっか、すごいけど......人と同じだね」


 《はい。でもこのような事は、出来ますよ》


 画面が変わる。そこに映ったのは――。


「お爺ちゃん!」


 画面に映ったのは、夕方別れた祖父の顔だった。


 《今は、まだ話せませんが、手術後の面会時間内なら、このPCを使って話せますよ》


「ほえぇ~やっぱりアテナさん、すごい」


 《それに、家庭教師も出来ます》


「勉強......はい」


「なんだい、勉強は嫌いか?」


「うん。私4年生までは、学校は好きだったの」


「でも5年生になって、お父さんとお母さんが、天国にいっちゃって、

 みんなが、私を避けるようになって......一人になったの」


「それで6年生から、学校にいかなくなったの」


「そっか......じゃあさ、お姉ちゃんと一緒に勉強しないか?」


「一緒に?」


「お姉ちゃんも、勉強苦手なんだ。でもダチと一緒なら楽しいぞ」


 そもそもマリは、勉強嫌いじゃなかった。学校に行った時の孤独感、喪失感、そして経済的な理由が、遠ざけた。


 その時一人でも寄り添う友達がいれば、学校に行ってたかもしれない。人への接し方も変わってたかもしれない。すべては、もしも......の話ではあるが。


「なっ!競争だ。ダチでもありライバルだ」


「うん.....お姉ちゃんとなら、してみようかな」


「よし。じゃあ今日はもう寝るぞ」


「パジャマに着替えるよ。ほら、今日はどっちにする。ピンクと黄色があるぞ」


 マリは、喜々としてピンクのパジャマに腕を通す。


 そして、フカフカのベッドに滑り込んだ。枕からお日様の香りがする。


 お爺ちゃんは、一晩で変わると言った。 でも......今日一日ほど変わったことはない。 お爺ちゃんの手術。アテナさんとの出会い。沙耶香お姉ちゃんとの出会い。そして......そして......そして......。


 夜は、終わりじゃない。明日へと続く始まりでもあった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ