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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様『ためらっていた音』

 立ち合い演説会は、二年Sクラス山内、一年Sクラス毛利。そして瑠衣の順となった。 当然先に話すほうが優位になる。


 同じ公約・アピールでも先に演説したほうが先権を持ち、後に話すほうは、その話題に触れられない。差別化が出来ない以上二番煎じの誹りを受けやすい。

 三番手の瑠衣は、二人が話した内容を避け、違う言葉を選ばなくては勝ち目はない。


 最初の演者山内が、檀上に立つ。自信からか堂々とした態度で話始める。


「みなさん。ご機嫌よう。2年Sクラスの山内です。私には、 分不相応と思いましたが、2年生を代表して推挙されましたのでこの場に立ちました」


「私くしは、無責任なことは言えません。生徒会長とはそのような職責を追うべきと思いますので。私は、幼児舎から数えて14年この学園で学んでいます」


 まずは自分の経歴をさらりと述べた。


「私が約束できること、それはまず私の交友関係を使って、知古の有名人を文化祭にお呼びして、より華やかにいたします」


「次に課外活動の部や、同好会活動に、今以上活性化するための活動費を上乗せをいたします。我が学園は、それなりの体裁が求められるのも、また事実ですから」


「次に――」

 そう言って原稿に目を落とす。


「地域ボランティアに積極的に参加して、我が学園の名声を今以上に上げることをお約束いたしますわ。先輩達が積み上げてきた名声の積み上げを出来るのは、私であると自負しております。以上です」


 二番手に檀上へ毛利が立つ。


「一年Sクラスの毛利です。山内先輩の演説は、感銘を受けましたわ」

 その言葉とは、裏腹に負ける気はなさそうに気丈に振舞う。


「私は、みなさん一緒にこの学園を変えていきたいと思いまして、この場に立ちました。その手始めとして、まず学食の改革を考えました。我が学園は、他校に比べて恵まれてますが.......Sクラスと一般クラスの垣根をとるため、個室の使用条件を全クラスに適用したいと思います」


「次に生徒会を身近にするために、生徒会活動状況を全員に月一度の報告会報をお出しするのはいかでしょうか?私はいいことだと思いますが」

 彼女は、淡々と述べる。


「そして、PTAを発展させ.......え~させ.........家庭会を作り、保護者の関係を密にして.....相互.....扶助の、いえ相互扶助制度をつくり家庭の事情があれば、皆で解決できる環境をつくりましょう」


「最後は、国際交流ですわ。国際化の世界では、外国の文化を知る必要があります。皆が、留学しやすい環境をつくりましょう。これで私の主張を終え

 ます。」


「どう?会長2人の公約」梓は雅に尋ねた。


「確かに耳ざわりはいいわね。ただ.......普通ね。でも自分の言葉で話してほしかったわ」


「問題は、生徒がそこに気づくかどうか・・・」


 最後の瑠衣の演説になった。


「今日は、藤崎瑠衣です。まず私は、何もできません」


 会場に静かなざわめきが上がった。


「それは、私も、私の家もそんな力がないからです。私は、困った学友がいても、たぶん手助けもできない」


 さらにざわめきが広がる。Sクラスの生徒から”場違いでしょう”と小さな声さえ聞こえる。


「瑠衣あなた....」


「待って梓――最後まで瑠衣の言葉を聞きましょう」


「でも、私はその人に寄り添う事はできます。

 ……それしか、できません。

 悲しい時も、苦しい時も、うれしい時も。

 一緒に、そこにいることだけは」



「私は、3人の親友がいます。この3人とは、生涯親友でいられる自信があります」


「その親友は、この学園で手に入れた大切な私の宝物です」


「瑠衣・・・あなた・・・私達三人も同じ気持ちだよ」

 沙百合、柚葉、朋美は手を繋ぎあって瑠衣の言葉を聞く。


「でも、私は、我が儘です。そして欲張りです。私は、もっと宝物を増やしたい。みなさんとも......友達になりたい」


「私の公約は、形もありません。だって、最初に言ったように、私には何の力もないからです」


「でも私は、諦めが悪いことだけは自信があります。だから、問題が起こったとき、途中であきらめず、みなさんと一緒に解決するまで寄り添うことだけは約束します」


 拍手は起こらない。しかし誰からの批判もなくなった。


 ペコリと頭を下げそれでも、やり遂げた顔で仲間の下に戻る。


「瑠衣、あんたはよくやったよ。みんなは、認めなかったかもしれない。でも、三票は間違いなく取れるわ」


「うん――じゃあ四票ね。私も自分に入れるから」

 四人は、抱き合って気持ちを共有した。


 聖凰華の会長選挙は、演説後、即投票、即開票である。

 これは、不正選挙防止でもあり、立候補者に無用な圧力がかからないための配慮である。


 投票が粛々と行われる。


「投票が終了しました」

 梓が高々と声を上げる。


 生徒会は、新執行部が決まるまで、選挙管理委員会を兼務する。


 アルテミスメンバーは、臨時の開票員となる。


 立候補者の推薦人が、立ち合い人として代表者3人が見守る。


 全ての開票が終了する。


 雅が、透き通るような声で発表する。


 投票総数292票 無効投票なし。


 山内遥さん   42票


 毛利由紀恵さん 38票


 藤崎瑠衣さん 212票


 よって、藤崎瑠衣さんが新会長に選出されました。


 その瞬間、ためらっていた音が、ようやく形を持った。


 とうの本人が一番驚いていた。


「私が・・・新会長?」


「え・・・なぜ?」


「藤崎新会長前へ」


「あ.....はい!」


「藤崎新会長、左手と左足が一緒にでてるわよ」

 朋美が冷やかす。


「藤崎新会長、就任の挨拶を」

 笑顔のまま雅が急かす。


「会長.......挨拶って何も考えてないよ......何を言えばいいの?」

 ひそひそと雅に助けを求める。


「あなたが、思ってる事をそのまま言いなさい」


「そんな.......」


「あのぉ~この度新会長にせ・選出されました、藤崎瑠衣です。

 私、選出されるとは、思ってなかったので何も考えてなかったので~」


 会場がドッッと沸く。


「私は、雅会長のような頭もカリスマもありません。

 演説会で言ったように、私には、何も・・本当に何もかも足りないのです」

「それで、私に足りないものは、みなさんにお願いするしかないのです」


「それで、山内さんと毛利さん。どうか副会長と書記として新執行部に入って頂けないでしょうか?」


「どうかお願いします」


 雅は満足顔で瑠衣を見た。


こうして、聖凰華女学園は次世代へと引き継がれた。


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