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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様 ――縁(えにし)――

「名前じゃなく、見ていたのは――あの場で、何が行われていたか」 視線が、正岡ではなく、その背後に並ぶクルーたちへ移る。


「走らせていた人間も、支えていた手も含めて、チームとして」


雅が、アテナに再び問うた。

「ねえ、アテナ。もしマシンやパーツを、うちが提供していたとしたら、  正岡さんの推定順位は?」


《はい。14位~15位の確率98%です》


「なっ!」正岡の顔が変わった。


「.....賞金に届いていたのか」


その変化に冬香が気付く。



「正岡さん。あなた――

 レース以外に、急を要する金銭の事情がありますね」



「この際です。お話しください」


雅も梓もここまでレースに誠実な人が、変な金銭トラブルを起こしてるとは考えられなかった。そして、それはピットクルー達とも共用されてるのは、皆の顔を見れば明らかだった。


正岡は沈黙を貫く。堪りかねて、ピットクルーの一人が言った。


「正岡のお袋さんが、大病を患って大金が必要だったんです。だから・・・」


「どこに入院してるの?病名はわかる?」

冬香が、やさしくそして冷静に尋ねる。


「病院名はこれです。病名は脳腫瘍とか・・・」

観念したように正岡は、大きな封筒を取り出し冬香に渡す。


冬香は、封筒から取り出した、CTスキャナーの写像と診断書を見る。


「どう?冬香さん」

心配そうに雅が尋ねる。


「確かに大きいわね。これは、普通の病院じゃ無理だと思う。でも・・・」


「アテナ、藤原医科大学の母のPCに接続して、ついでにこのデータも送って」


梓のタブレットに冬香の母が出る。


「お母さん、データと画像見てくれた?」


「ええ、かなり大きいわね」


「アテナと私の診断では、お母さんなら取れると思うのだけど」


しばしの時間が流れる。


「ドクターヘリでうちに搬送しましょう」


「では、可能性はあるのね?」


「ええ、三条さんとこの医療支援ロボットとアテナの手伝いがあればいけると思うわ」


「じゃあそっちに戻ります」 


「お母様の件は、冬香さんとアテナにまかせましょう。この件であなたを縛る気は、こちらには、一切ありません。大事なのは、あなた達の気持ちです」


それまで、無口だった正岡の顔が歪む。

「俺達、レース続けられるのですね。また世界に挑める選択肢があるんですね」


「ええ、その意思があれば私達は、環境を提供できます。今すぐの返答は無理でしょう。皆さんと話あって・・・」


『お願いします。俺達の背中を支えて下さい。みんな同じ気持ちです』 


「さすがね、雅。彼らは、”連れてって下さい”とは言わなかった。”支えて”と言ったわ」


「合格です。私達が求める人は、前を見つめる人です。あなた達はそれを無意識に言葉にしたわ」


「あの~、契約金はいりません。それは、全額お袋の治療費に当ててください。俺らは、”走れる”それだけで十分ですから」


「それは......ちょっと無理かな?」


「え?」


「たぶん冬香さんもアテナもお金は受け取らないでしょうし、一応聞いてみましょうか?」


「アテナ、あなたお金いる?」


《いりません。私が貰っても使えませんし、物欲は私の構造上存在しません》


「ですって。あ、この子(アテナ)ね、見かけによらず"稼ぎ"がいいのよ。回線があれば、どこにでも同時に行けることを口実に、あちらこちらで医療行為(アルバイト)してるから」

イタズラっぽく雅は、片手を口にそえて囁いた。


《雅さま、それは誤解です。私の余剰リソースを使った趣味です》

 

「あら。趣味だったの?あなたのその()()で、アルテミスの口座3か月で50億ほど増えてたわ」


《すみません》


「ふふ、冗談よ。今後スクールでお金がかかるから、ありがたく使うわ」


「そういうことですから、契約金は、あなた達の身辺整理に使ってください。借金があれば、全部整理して、余ればあなた方が、今までお世話になった会社や友人にお礼してください。あなたがたの縁を大事にしてください」


「はい、俺らあなた達との縁も絶対切りません」


「では、あなた方に紹介したい仲間がいます」


雅が促すと応接室のドアが開き、10人程の人が入ってきた。


「紹介します。あなたと同じスクールの一期生になる、チーム美奈子とチーム蓮とその監督悠翔さん、そして将来あなた達の監督になるかもしれない白木さん」


「よろしく、美奈子よ。あの時よくも蓮と組んで私を追い抜いたわね。次は負けないからね」


「蓮だ。お前いい走りしてたな。マシン差がなければ、どちらが勝ってたかわからなかったよ」


「悠翔だ。俺がいなかったらこいつお前に負けたな」


紹介を聞いた正岡は、驚いた。あの時のアマ2人。同じ環境でも勝てるとは言いけれないに2人だ。何より2人いや3人には、あきらかな伸びしろがあった。

美奈子には、最初は蓮の動きに乗って何とか1度追い抜いた。しかし、次は、蓮と美奈子のコンビに逆に追い抜かれた。そこに美奈子のポテンシャルの高さが伺えた。


蓮は、2度のオーバーテイクに絡んでる。そこに冷静さと技術の安定さを見た。

こいつらが俺のライバル。


そしてその2チームを仰している、三条雅。若いのに今まで会った誰よりもカリスマ性が高い。2人の圧が、雅の発する静かな圧に比べれば児戯にしか感じない。


その時、応接室ノドアが勢いよく開く。


飛び込んんで来た人物を見て、おもわず正岡達は立ち上がった。


「おう、ここにいたか。お嬢早くオンセンにいこうぜ」


「マルケス師匠、まだ記者会見が残ってるんです。それが終わってからです。温泉は逃げません」


「馬鹿野郎、弟子が口答えするんじゃない。レーサーの1秒は、常人の5秒だ」


「ゴン!」


マルケスの頭に拳骨が落ちた。


「お嬢達が困ってるでしょ。このバカゴリラ!いくわよ」

そう言ってマルベリア師匠は、マルケス師匠の耳を引っ張って出て行った。


おずおずと正岡が、尋ねる。

「今の人達って・・・」


「ああ、私達の師匠です」


「いや、聞いてるのは、そこじゃなく.......世界チャンプですよね?」


「あ、初対面でしたね。紹介してたほうが良かったですか?」

「どうせ、この後の宴会で顔を合わせますから、その時紹介しますね」


ごほんと1つ咳払いをして、悠翔が説明した。

「雅総長、今回は、あなたがズレてます。レーサーから見れば神に等しい存在ですよ。それを隣のおじさんを紹介するように........正岡さんや白木さんの驚きの表情が普通です」


「美奈子、あなたもです。なぜ”やれやれ”って顔してるんですか?」


「うち?ええええ?なんでうちまで、責められるのよ。じゃあ、どんな顔すればよかったのさ?あんたみたいにムッツリな鉄仮面みたいな顔はあたしはできないの」


「誰が、ムッツリですか?これが私の真顔です」


「まあまあ、2人とも落ち着けよ。な!ここは俺の顔を立ててさぁ」

蓮が、困った顔で二人をなだめる。


「あああ?そのニヒルっぽい顔で、裏では、アイドルの写真集みてニマニマしてるお前の顔を立てろってか?」

美奈子は、思わずエキサイトして蓮に突っかかった。


「なに?お前こそ部屋の中では、猫だいて『みぃーちゃんチュキチュキ♡』ててやってるんじゃないか?ひ・人の趣味に口だすな」


「こら、元は言えばお前が悪い。このニヤケメガネのナルシスト。風呂上りにでかい鏡に全身裸像写してニヤケてるくせに恰好つけるな」


「ちょっと皆さん落ち着いてください」

雅のオーラも、完全に跳ねつけていた。


その時梓が、ポツリと言った。


「........みなさんそのプライベート情報はどこから?」


ピシ!........


一瞬でその場が氷つく。


「うちの会社でも、そこまでの情報は、とれませんよ」


三人は、明後日の方向に視線を泳がす。


その瞬間雅は、全てを悟った。



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