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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お所様 表彰式と大発表

 華やかな表彰式が始まった。1位~3位は表彰台に上がる。

 1位マルケス師匠

 2位ジーコ師匠

 3位アントニオ師匠


 4位から8位も師匠達が独占していた。

 そして15位までの賞金配布該当チームは、国内、国外のプロチームが占めた。


 一部の心無いファンからは、出来レースだと揶揄すものもいた。だが、大半の観衆は、目の前に繰り広げられた熱き戦いの余韻を引きずっている。そして表彰式の最中に、一部のプロチームの中には、大健闘した20位と21位に接触する姿も確認された。

 コースは解放され、特設の表彰台の前にも多くのファンが詰めかけた。


 さあ、表彰式の始まりだ。


 表彰台の少し高い位置に3位までの選手が並ぶ。前には、優勝カップと特製のシャンパンが並べられる。


 表彰授与者は、3人のうら若い女性――雅・梓・宗子。賞金額の書いてある大きなボードを順に手渡してハグしていく。


「どうだ、お嬢。しっかり踊ってやったぜ」


「ええ、さすが師匠ですわ。感服しました」


「ところで、この後だが・・・」


「わかってます。しっかり温泉での大宴会準備してますわ」


 そんな会話が、行われているとは観衆の誰も想像できなかった。


 賞金ボードが高々く掲げられ拍手が捧げられる。

 そしてシャンパンファイトが始まる頃には、熱狂がピークとなった。


 セレモニーが一段落して、メディア対応の記者会見が行われた。

 出席者は、ナンバーズの八人と 主宰者側から代表して、雅・梓・宗子 そして医療財団から藤原冬香がテーブルに着く。


 ――まず、世界ランカーの皆さまにお聞ききします。なぜGPシリーズの最中、それを休んでまでこのような地方都市のサーキット開設レースに参加されたのですか? いきなり核心をつく質問が飛ぶ。


「走って見たかったからだ」マルケスは、一言で言い放った。


「俺は、呼ばれたからだ」ジーコも当然のような口ぶりで答える。


「私は、日本食が好きなのよねぇ」マルベリアは、いつものおネエ口調で。


 ――ちょっ、そんな理由でシリーズ戦を休んだのですか?大事なポイントが失われるのですが?


「1戦休んだ位で、ナンバーズに食い込める奴がいるか?

 いるなら、楽しみだがな」 絶対的な自信でアントニオが尋ねる。


 ――し、質問を変えます。 やはり今回の賞金額が影響しましたか?皮肉を 

 込めた質問が飛ぶ。


「ああ、そういえば賞金出てたないくらだっけ?」ベグナーは無関心に尋ねた。


「あんたは、1億よ。もうボケが始まったのねぇ」 毒舌のマルベリアが突っ込む。


「あ、そうか。いいワインが飲めるな」 まるで漫才のようなやり取り。


 横で聞いてた雅達が、口に手をやりクスクスと笑う。


 これ以上聞いても本音が聞けないと思い、マスコミの矛先は主催者に移った。


 ――主催者にお聞きします。このサーキットを作った目的はなんですか?


「夢を紡ぐためです」雅は真剣な眼差しで回答する。


 ――すみません。ちょっと抽象過ぎて、もう少し具体的に説明を。


「人は、自由に走りたいと言う欲求があります。それは、ある環境下では暴走という衝動に変わります。でも視点を変えれば人と違ったエネルギーの発散でもあります。それをサーキートスポーツに転換できれば、その中から、ここにいる世界ランカーに挑戦できる原石が生まれる可能性があるのです」


 ――それは、あなたが、レディースの総長をやってるからの詭弁ではないのですか? 

 悪意を持った質問が飛び出る。辺りは一瞬静寂に包まれる。皆これに対する答えを待っている。


 別室で、この会見を観ていた東光連合のメンバー達も、独眼連合のメンバー達、そしてSNS等で観ていた各地の暴走族・レディース・走り屋もこの時は、皆一言も話さずに......観ていた。


 しかし雅は、怯まなかった。

「おっしゃる通り私は、レディースの総長をしています。それを隠す気もありません。だからこそ、その中で気づかされたのです。ある環境で生まれる衝動――、それ自体は否定しない。その熱い心を環境を変えることで、世界に羽ばたける力に変えれるのでは、と。その先駆けがこのサーキットになるのです」


 その言葉を聞いた瞬間、東光連合や独眼連合達メンバー達の口が引き締まる。目頭には、光るものが浮かぶ。


 しかし、このインテリ風の記者は、水を差すように皮肉を込めて追及する。


 ――つまりあなたは、性善説を唱えていらっしゃるだけですね。環境さえ変えれば人は皆善人になれると。


 ――もういいじゃろ。一人の老獪な記者が止める。

「性善説だの性悪説など下らん事でこの会見を乱すな。これだけの人が、集まって、この主宰者を支えている。そしてこのレースであれだけの観衆を熱狂させた。あんたはそれが出来るか?」


「私でも、金さえあれば・・・・」


「ほう、金さえあれば、前に座ってるメンバーを呼べると?」


「では聞いてみよう。世界ランカーの皆さんにお聞きしたい。この男が、いくら出せば集まってくれますか?」


「愚問だな。こんなやつに呼ばれるなら、風呂に入って寝てたほうがいい」


「あん~ら、私なら来てもいいわよ。日本の国家予算だしてくれたらね」


「なっ・・・」インテリ記者は言葉を失う。


 ――三条総長、もう少しこの年寄りにも分かるように、このサーキットの”次の景色を語ってくれませんか?


「はい。まず月に一度、ここで選考レースを開催いたします。レース期間以外はフリー走行を可能とし、にわか雨の多い土地であっても、隣接する医療施設が安全性の担保になると考えています」


「選考を越えた者には、当方が整えたスクールで“プロとしての走り”を磨いてもらいます。

 この場所では、ライダーの養成だけでなく、メカニックとレースディレクターの育成も同時に行います。速さを支える側の目も、ここで育てたいのです。」


 ――失礼ですが、“スクールでプロ”という表現が気になります。スクールにいる間は訓練生で、まだプロではないのでは?


「では、プロの定義を考えてみましょう。

 ライセンスの有無だけではないはずです。アマでもサーキットライセンスは取れます。スポンサーを背負う者がプロなら、プライベーターもまたプロの一形態。ワークスと違うからといって、格が落ちる理屈にはなりません」


 ――しかし、訓練生すべてに衣食住やマシンまで提供するとなれば、膨大な費用が――。


「はい。しかしボランティアではありません。誰でもと言うのでもありません。それが選考です」


 会場がざわめく。皆自分達の思考が、話の壮大さについて行けないようであった。


「わっははは。お嬢たちの発想は、やはりぶっ飛んでるな」

 マルケスが腹の底から笑う。

「よっしゃ、師匠として弟子の手助けだ。俺たちが稼いだ今日の賞金、スクールにオールインでいいな」


 雅が、思わず一拍だけ手を前に出した。

 ――師匠、あれは皆さまの迷惑料の意味も――。


「俺たちが迷惑と思ってないなら、迷惑料なんて言葉は要らないだろ?」


「そうねぇ、次に何かするときは、余裕をもって相談なさいよ。

 そのための鎖代ってことでいいじゃない」


「マ、マルベリア師匠まで……」


「記者の皆さんよ、俺たちがこのスクールの後見だ。それでも不安か?」


 記者席の怒声が、応急室の外へまで溢れ出す。

「夕方のニュース枠を空けろ、局に連絡だ――!」


 その日の各局のスポーツ枠は、

 この地方都市から生まれた“我道の会見”で占められた。


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