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お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


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お嬢様 敵対勢力を叩く準備が整いました。

次は、本日20時ころアップ予定です。

 

 ランチ後会議室にて


「まず今までの正式合意について整理しますわ。」


 1.新チームはアルテミスの傘下でなく、あくまで”友好チーム”として自由  を尊重する。

 2.友好チームとしてこのビルの5Fにある一室のチーム用会議室を与える。

 3.友好チームはこのビルの施設を自由に使える権利を与える。

 4.新チームには、ルナと言う文字を必ず入れる。

 5.横浜狂想会は、敵勢力として潰す。


「以上です。」 副総長の梓は簡潔にまとめて話す。


 雅は指先で紅茶カップを持ちながら、その話を聞いて静かに口を開いた。


「美奈子さん。……あなたの力を借りたい話があるの」


「……なんですか総長?」


 雅の瞳は笑っていない。

 淡い微笑みの奥に、冷たい炎のような光が宿っている。


「”女豹疾走”カヲルさん。その後ろ盾が“横浜狂想会”ですね。横浜最大の暴走族に成り上がった古い体質のチームですよね?」


 美奈子は小さく舌打ちした。


「あいつらか……やり口も汚えし、女なんざ飾りとしか思ってねえ連中だ」


「ええ。そしてアルテミスは、その“常識”を壊すためにここにいる」


 雅は言葉を区切り、真っ直ぐに美奈子を見つめた。


「美奈子さん。あなたと、あなたが率いる新しい友好チームに.........

 "女豹疾走”ひいては“横浜狂想会”を揺さぶってほしいの」


 美奈子は目を細めた。

「本気で言ってんのか? あそこを敵に回せば……ただの抗争じゃすまねぇぞ」

 梓は横から声添える。

「わかってるけど、このままじゃ何も変わらない。私たちは、ただ速いだけの“お飾りチーム”じゃないってことを、街に示したいの」


 雅は微笑を取り戻したが、その声は低く鋭い。

「私たちのやり方は、鉄パイプや殴り合いじゃない。情報と人脈と、そして“女だからこそ見える景色”で狂想会を切り崩すのよ」


「……策はあるのか?」


「あるわ」

 雅は薄いが大きな封筒をテーブルに置く。


「狂想会の資金源、フロント企業、幹部の行動パターン........全部、調べがついている。あなたの役割は、女豹疾走の元幹部としての信頼と、今も繋がっている奴らへの“声”を使うこと」


 美奈子は黙って封筒を見つめ、ゆっくりと手に取った。


「どうして、短期間でこれだけの情報を?」

 怯える眼で美奈子は、雅を見た。


「うふふ、この情報社会で跡を消すほうが難しいの。そしてあなたと競った梓さんは、世界最大の情報を握るビッグデーター社の令嬢なのですよ。跡を消す工作をした人間さえちょっと時間をかければ揃うし、ましてや情報隠蔽しない人のなんか、瞬時に集まりますわ」


 しばしの沈黙のあと、美奈子は短く笑った。


「上等じゃねぇか。やってやるよ、総長............!」


 梓も静かに拳を握りしめ、美奈子を見つめた。


「じゃあ、まず新チーム名を考えなけれないけませんね。何か思いつきましたか?」


「総長のチームは、”アルテミス”で確か月の神さんの意味ですよね。そしてこのビルは、”月の雫プロジェクト” じゃあ”ルナ”の意味もあるのかい?」


「ええ.........”月”そのものの意味ですわ」


「じゃあ、神さんから与えられた”幸せ”はなんと言うのかい?」


「福音かしら?」


「それを英語でなんて言うのかい?」


「ゴスペル”gospel"ですね」


「じゃあキマリだ。うちらの新チームは、ルナゴスペルだ。お前等も文句ないな?」


「うわ、先輩それかっこいい。うちらのチーム英語なんだ。なんか頭がよくなった気がする」


「ルナゴスペル........確かにいい響きですね。あかねさんにもこのセンスが欲しかったですわ」


「ちょっと彩さんそれどういう意味?」あかねはちょっと膨れて彩を見た。


 総長・雅はゆっくりと立ち上がり、淡い微笑みを浮かべた。


「では、正式に友好を結ぶ証として、私たちアルテミスは、皆さんを“仲間”と呼びます」


 その声は穏やかだが、芯に強い決意を感じさせた。


 一瞬の沈黙の後、美奈子が椅子から飛び上がるように立ち上がる。すると後輩3人も同じように立ち上がる。そして4人そろって深く頭を下げた。


「……今日からお世話になります」


 すると、副総長・梓がゆっくりと立ち上がり、美奈子たちを見渡した。


「これから一緒に街を走れるのを..........楽しみにしているわ」


 梓の微笑みはどこまでも優しく、そしてどこか凛としていた。


 会議室に漂っていた緊張が、すっと解ける。


「では、エマさん4人を2Fのフォン・マキコの工房に連れて行って特攻服を仕立ててもらってください」


「うわ~!フォン・マキコの特攻服、本当に着れるんだ。」

 エレベータ―の中で千秋がはしゃぐ。


「世界的デザイナーの特攻服........ステキ!」

 普段無口の涼子さえ饒舌になる。


「どんなデザインかな?サイズ合うかな?」

 ちょっと不安そうに沙耶香が呟く。


「そんなの合うに決まってますわ。だって既製品じゃなく仕立てですから。

 それにママのデザインなんですから」

 笑いながらエマが答える。


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


 《エエエエエエエエエエ》


「ママ?」


「仕立て?」


「デザイン?」


「もしかして、エマさんて、フォン・マキコのお嬢さま?」


「お貴族様............?」


「ママはそうだけど私は違うわ」


 2F服飾室にて


「まず生地選びね。好きな生地を選んでね。」


 4人は、数ある生地を見て目移りして選べないでいる。そこでエマが選んでやることにした。


「これなんかどうかしら?夜の月光のイメージにピッタリと思うのですが。」

 そう言って濃紺ミッドナイトブルーの光沢のあるシルクのサテン生地を選んだ。


「シルク・・・・うわ~外じゃ着れないよ」


「これフォン・マキコの生地と言うことは、お高いんでしょうね?」


「もう、そんなこと気にしないで。じゃこの生地で後はお願いね」


 エマはスタッフに指示すると服飾室を後にした。


 4人の特攻服

 美奈子(新リーダー)

 ・刺繍糸:漆黒にシルバー

 ・背中(Luna Gospelの下): 「月下黒豹」(ゲッカコクヒ)

 ・左胸「初代総長」

 ・左腕「烈火の誓い」

 ・右腕「身命必達の心」


 千秋

 ・刺繍糸:桜色にシルバー

 ・背中(Luna Gospelの下):「月桜一閃」(げつおういっせん)

 ・左胸:「副長」

 ・左腕:「先駆け一番槍」

 ・右腕:「純真拝命の心」


 涼子

 ・刺繍糸:深緑にシルバー

 ・背中(Luna Gospelの下):「月影蒼龍」(げつえいそうりゅう)

 ・左胸: 「参謀」

 ・左腕: 「静かなる刃」

 ・右腕:「冷静芯炎の心」


 沙耶香

 ・刺繍色: 薄紫にシルバー

 ・背中:(Luna Gospelの下) 「月詠白百合」(つくよみしらゆり)

 ・左胸: 「庶務」

 ・左腕:「月夜の微笑」

 ・右腕:「慈愛照星の心」


 全てが決まると、採寸データにあわせ速やかにソーイングマシーンが動きだす。そして1時間後それぞれに新特攻服が届けられる。

 喜々として彼女達は特攻服に袖を通しアルテミスの面々の前で披露する。


「まあ、いい色選びましたね。本当にお似合いですわ」

 雅はそう言いながら、ポケッとから4枚のカードを出した。

「これは、IDカードですわ。これがあると深夜でもこのビルに入れます。」


「総長、そこまでアタイ等を信用するんですか?」


「当然ですわ。だって”仲間”ですから」


「ありがとうございまス。この御恩は、月がこの地に落ちても忘れることはありません。」


「もう、そんな縁起の悪い事はいわないの。私達の月は、絶対落ちませんことよ。そしてあなた達を月光がいつまでも照らすことでしょう」


 こうして、アルテミスは最初の仲間のレディースを迎えたのである。


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