表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お嬢様レディース ~超お嬢様達がレディースをつくったら、最強のやりたい放題のチームになりましたわ~  作者: 猫の手


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/227

お嬢様 『照らす者たち、月の名を持つ』

次は、本日20時ころアップ予定です。

 

 ランチを終えた少女たちは、再び会議室へと戻っていた。 テーブルの上には、温かい紅茶と、まだ湯気の立つカップが並んでいる。


副総長の梓が、静かに口を開いた。

「では、これまでに合意した内容を整理しますね」

彼女は手元の端末を操作しながら、簡潔に読み上げる。


新チームはアルテミスの傘下ではなく、あくまで“友好チーム”として独立性と自由を尊重する。


友好チームには、5階の専用会議室を提供する。


友好チームは、ビル内のすべての施設を自由に利用できる。


チーム名には“ルナ”の語を含めること。


横浜狂想会は、敵対勢力として排除対象とする。


「以上です」

梓は端的にまとめ、席に戻った。


雅は紅茶のカップを指先で回しながら、静かに口を開いた。

「美奈子さん……あなたに、お願いしたいことがありますの」


「……なんだい、総長?」


その声に、どこか緊張が走る。 雅の瞳は、微笑んでいても、奥に冷たい炎を宿していた。


「“女豹疾走”のカヲルさん。その背後にいる“横浜狂想会”——  あの古い体質の暴走族が、今もこの街を支配している。女を飾りとしか見ない、時代遅れの連中ですわ」


美奈子は舌打ちした。


「あいつらか……やり口が汚ねぇんだ。女は黙って後ろにいろって、そういう連中だよ」


「だからこそ、私たちはここにいるのです」

雅の声が、静かに強く響く。

「その“常識”を、壊すために」


彼女は美奈子をまっすぐに見つめた。

「あなたと、あなたの新しいチームにお願いしたい。“女豹疾走”——そして“横浜狂想会”を、揺さぶってほしいのです」


美奈子は目を細めた。

「……本気か? あそこを敵に回すってのは、ただの抗争じゃすまねぇぞ」


「わかっているわ」

梓が静かに言葉を添える。

「でも、何もしなければ、何も変わらない。私たちは、ただの“飾り”じゃないってことを、街に見せたいの」


雅は微笑みを取り戻しながらも、その声には鋭さがあった。

「私たちの武器は、鉄パイプじゃない。情報、人脈、そして“女だからこそ見える景色”——  それで、狂想会を切り崩すのです」


「……策はあるのか?」


「もちろん」

雅は、薄く大きな封筒をテーブルに置いた。


「狂想会の資金源、フロント企業、幹部の行動パターン——

すべて、調べがついています。あなたの役割は、“元・女豹疾走の幹部”としての信頼と、今も繋がっている仲間たちへの“声”を届けること」


美奈子は封筒を手に取り、しばらく黙っていた。 やがて、低く笑った。

「……上等じゃねぇか。やってやるよ、総長」


梓が静かに拳を握りしめ、美奈子を見つめる。

「じゃあ、まずは新チームの名前を決めないとね。何か、考えてる?」


美奈子は少し考え、ぽつりと口を開いた。

「アルテミスって、月の神様の名前だろ?このビルも“月の雫”って名前だし……“ルナ”ってのも、月の意味だよな?」


「ええ、“ルナ”は“月”そのものの名ですわ」


「じゃあさ、神様から与えられる“幸せ”って、なんて言うんだ?」


「“福音”……英語なら、“ゴスペル”かしら」


「決まりだな」

美奈子はにやりと笑った。

「うちらの新チームは——ルナゴスペルだ」


「うわっ、先輩、それカッコいいっス!」

千秋が目を輝かせる。


「英語のチーム名……なんか、頭良くなった気がする」

沙耶香がぽつりとつぶやく。


「ルナゴスペル……確かにいい響きですね」

彩が微笑む。

「……あかねさんにも、そのセンスがあればよかったのに」


「ちょっと、どういう意味よそれ!」

  あかねがむくれて、彩をにらむ。


雅は立ち上がり、静かに手を差し出した。

「では、正式に。私たちアルテミスは、あなたたちを“仲間”と呼びます」


その言葉に、美奈子たちは一斉に立ち上がり、深く頭を下げた。

「……今日から、お世話になります!」


梓も立ち上がり、優しく、そして歓迎の笑みを浮かべる。

「これから一緒に、街を走れるのを楽しみにしてるわ」


会議室に漂っていた緊張が、ふっとほどけた。

「エマさん、4人を2階のフォン・マキコの工房へ。特攻服を仕立ててあげて」


「了解ですわ」 エマが立ち上がり、4人を連れてエレベーターへ向かう。


「うわ〜!フォン・マキコの特攻服、ホントに着れるんだ!」

千秋がはしゃぐ。


「世界的デザイナーの特攻服……ステキ」

普段は無口な涼子まで、目を輝かせていた。


「どんなデザインかな……サイズ、合うかな……」

沙耶香がそっとつぶやくと、エマがくすっと笑って答えた。


「大丈夫よ。既製品じゃなくて、仕立てなんだから。それに、ママのデザインですもの。きっと、あなたたちにぴったりよ」


「……ママ?」 千秋が首をかしげる。


「仕立て……って、まさか……」


「え、え、えっ!?」 三人が同時に振り返る。


「エマさんって……フォン・マキコの娘さんなの!?」


「お貴族様……!?」 沙耶香がぽつりとつぶやく。


「ママはそうだけど、私はただの一メンバーよ」

エマは肩をすくめて、さらりと答えた。


——2F、服飾室。


「まずは生地選びからね。好きなのを選んで」

エマが優しく促す。


だが、目の前に広がる色とりどりの布地に、四人は完全に圧倒されていた。 シルク、サテン、ベルベット、刺繍糸の煌めき……どれも目移りして決められない。


「うわ、どれもキラキラしてて選べないっス……」

千秋が目をぐるぐるさせる。


「じゃあ、私が提案してもいいかしら?」

エマが手に取ったのは、深い夜を思わせるミッドナイトブルーの光沢あるサテン生地。


「これなんかどう? 夜の月光みたいで、ルナゴスペルにぴったりだと思うの」


「シルク……! こんなの、外で着たら緊張しちゃうよ……」

沙耶香が目を丸くする。


「これ、フォン・マキコの生地ってことは……お高いんでしょう?」

涼子がぽつりと呟く。


「もう、そんなの気にしないで」

エマはにっこり笑ってスタッフに指示を出す。

「この生地でお願いね。デザインは私が仕上げておくから」


エマが部屋を後にすると、工房のスタッフたちが手際よく動き出す。 採寸データが読み込まれ、AIソーイングマシンが静かに唸りを上げる。


——1時間後。


完成した特攻服が、4人のもとに届けられた。

それぞれの個性が刺繍に込められた、世界に一着だけの“戦装束”。


ルナゴスペル・特攻服デザイン

美奈子(新リーダー)


刺繍糸:漆黒 × シルバー


背中:「Luna Gospel」+「月下黒豹」


左胸:「初代総長」


左腕:「烈火の誓い」


右腕:「身命必達の心」


千秋(副長)


刺繍糸:桜色 × シルバー


背中:「Luna Gospel」+「月桜一閃」


左胸:「副長」


左腕:「先駆け一番槍」


右腕:「純真拝命の心」


涼子(参謀)


刺繍糸:深緑 × シルバー


背中:「Luna Gospel」+「月影蒼龍」


左胸:「参謀」


左腕:「静かなる刃」


右腕:「冷静芯炎の心」


沙耶香(庶務)


刺繍糸:薄紫 × シルバー


背中:「Luna Gospel」+「月詠白百合」


左胸:「庶務」


左腕:「月夜の微笑」


右腕:「慈愛照星の心」


完成した特攻服に袖を通した四人は、緊張と誇らしさを胸に、再び会議室へと戻った。


「おお……」

アルテミスのメンバーたちが、思わず息を呑む。


「まあ、素敵。いい色を選ばれましたね」

雅が微笑みながら、ポケットから4枚のカードを取り出した。


「これは、あなた方のIDカードです。これがあれば、深夜でもこのビルに自由に出入りできますわ」


「……総長、そこまでアタイらを信用してくれるのかい?」


「当然ですわ。だって、あなたたちは——“仲間”ですもの」


その言葉に、美奈子は胸を押さえ、深く頭を下げた。

「ありがとうございます。この恩は……月がこの地に落ちても、忘れません」


「ふふ、そんな縁起でもないこと言わないで。私たちの月は、決して落ちませんわ。そして、あなたたちを照らす月光も、ずっと消えない」

その言葉に、誰もが静かにうなずいた。


こうして、アルテミスは初めての“仲間”を迎えた。

新たな風が、月の雫プロジェクトに吹き込んだ瞬間だった。


そして、ルナゴスペルの物語が、ここから紡がれる——。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ