お嬢様 相手レディースと顔あわせする。姑息な手は効きませんわ~
次回は、斜め上のピットトレーラーの実力の全容とレースを投稿予定です。
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8人の女神は、女豹疾走と対峙した。
「ほう、あんたらが売り出し中の”アルテミス”か。ずいぶんと派手な事やらかしたな。あたいが、このチームの総隊長のカヲルだ。 夜露死苦」女豹疾走のリーダーらしき女が、木刀を片手に雅を睨みつける。
「派手ですか?この程度で。それにわたくしは、そちらの美奈子さんが、てきり総長さんだと思ってましたわ。おっほっほほ.........」
「てめぇ~アヤつけてんのか?ゴロなら買うぞ!大体面合わせてんのにフルフェスの兜かぶりやがって、大体なんだ特攻服の下はサラシってのが正装だ。ガキが粋がりたがってシャバイ面してるんだろ?」
”半分以上の言葉がわかりませんでしたわ。梓さん訳して”
”はい、『あなた、文句つけてるのですか?喧嘩なら受けますよ。だいたい顔を合わせているのに、フルヘルフェイスのヘルメットつけて、特攻服の下さらしがマナーでしょ。子供が調子にのって、どうせ顔はたいした顔してないんでしょ?」 です。ふ~~」
「確かに、貴方から見れば子供です。貴方は、25歳位だと推察いたしますが?」
それを聞いたカヲルの怒りは頂点に達し「ウゼー、あたしゃまだ24だ舐めるな!」と言い持ってた木刀を雅相手に振りかざした。
刹那、赤い特攻服をきたあかねが飛び出し、カヲルの腕をつかみ彼女を投げ飛ばした。
「グッフ!!」見事な、投げ技にカヲルの体は地面に叩きおとされる。
周りの”女豹疾風”のメンバーたちが、一斉に殺気立つ。
「やめろ! あいつらは、うちらのゲストだ。喧嘩なんかでこの勝負を終わらせるんじゃねぇ。”女豹疾走”の看板に傷をつけてぇのか?
”走り上等”がうちらの看板だろが?」一瞬にして周りが固まった。
「すまなかったな。うちの頭は、ちぃ~とばかり血の気が多くて。」
”このチームの中心は、美奈子さんのカリスマで成ってるのですね。なぜ、美奈子さんが総長やってないのでしょう?” 雅は考えた。
そこには、レディースの特有のルールがある。腕がよくても、カリスマ性があっても、総長は代々OBによるによる指名制だ。そしてその時に優先させるのは、年齢と在籍期間である。歴史があるチームこそ、年功序列に近い制度が蔓延っている。先輩後輩のけじめがすべての根底にあるからだ。
「邪魔が入る前にコースの説明をするから、自分のバイクに乗ってついて来てくれ。」
2台のエンジンに火が入る。
二人は、美奈子のバイクを先頭にクルージング速度でコースの下見にに回る。
「お、始まったのか?」
観客が、中央巨大モニターを注視する。モニターには"practice"の文字が流れる。
「なんだ、コースの説明か」
”おい『女豹』の美奈子のマシーン”ZX-4RR”じゃないか?”
”おお、カワサキのニンジャは、注文生産で今、納期未定だろ?」
”で、アルテミスのマシンは、ス・スクーター?"
"市街地走行じゃないんだ?なぜ勝負に本格バイクで勝負しないんだ”
カワサキニンジャZX-4RRは約80馬力と650CCバイク並の馬力をひねりだすモンスターマシンである。
”あのアルテミスのスクーター木田のスクーターっぽいが、どのカタログにも載ってないんだよな? フルカスタムか?”
”スゲーあのコンテナ群もコースか。まるでヘアピンカーブを連続にしたような変則コースになってる。”
観衆がモニターをみながら今夜走るバイク談に夢中になってる時、最終コーナーの闇の中で、数人の影がうごめいていた。
”本当にやるのですか?”
”ああ、総隊長の命令は絶対だ”
”やらなきゃあたし達が後で焼きいれられる”
”しかし、下手したら、特攻隊長も一緒にふっとびますよ”
”それでもやるんだよ、早くコースに水をまけ”
こうして最終コーナーの死角部分に大量の水がまかれた。
(へえ、思った通りこの位の速度じゃ楽についてくんだね。んじゃ意趣返しじゃないが、少しばかり速度を上げてみようかね。派手な演出で観客は、あんたらに夢中だからね。ちょっとばかり観客の声援を奪ったって問題ないだろう?)
美奈子は、スロットルをあけ、最終コーナーから派手に立ち上がりを見せようとした。その瞬間バイク後輪がコーナーの外側へ流れた。必死に立て直そうとカウンターを入れるも物理の法則から逃れられずバイクは、置いてあったコンテナに派手にぶつかる。
放りだされた彼女は、幸いにもフェンスの網に救われ軽傷に留まった。
(なんで、あんなとこに水が?あのコーナーは、後輩たちに路面情報を確認させ、なんの異常もなかったはずだ。一体なにが・・・・・)
そう考えてると、こちらにやって来て手を差し出す女が見えた。
「あなた、大丈夫ですの?」梓であった。
「ああ、特に大きな怪我はしてない。 あ、それよりあたいのバイクは?」
美奈子が命よりも大事にしてる相棒である。まずその事に頭がいった。
「すまねえ、それより先にあんたのことだった。あんたは、あの水避けられたのかい?あたいと同じ位でコーナーに突っ込んできただろ」
すました声で梓は答えた。
「ええ、問題ありませんでしたわ。わたくしあのようなウェットなコンデションで何度も練習してきましたもの。それにあなたが安全マージンとって先導していらっしゃったから十分に備えられましたわ」
実は、梓は、雨の可能性も考慮しシュミレターで十分な雨天での練習も熟してきている。他レディースとの初バトルである。それこそ、”絶対に負けられない闘いがあるんです。”
「そ、そうか」
「あなたのマシーンですが、かなりの損傷を受けて、これでは、まともに走れそうではありませんわね」
そこに美奈子の後輩達が駆けつける。
”隊長おかしいすよ。あんなとこに水なんかなかったです”
”そい言えば、ここに駆けつける途中、先輩たちとすれ違ったよね”
それを聞いて梓は、ヘルメット内のインカムで何やら話してる。
「くそ!あんたと走りたかったのに..........あたいが........ミスしたばかりに........すまねぇ..........」美奈子は悔しさと申し訳なさが入り混じったように謝る。
”そんな、やだよ。隊長アタイのバイク ぼろっちけどダメかな?”
”あたいのバイク使ってよ。お下がりだけどちゃんと走るよ。”
「美奈子さん、何があっても約束は果たしていただきますわ。」
そういうと向うから一台のバイク運搬車がやってきた。
”ほうこれですかお嬢さん。ウム フレームとフロントフォークが逝っちゃってますな。普通なら部品揃えて直すまで2週間ってとこですかな、まあ部品がすぐ入る前提ですが”
「じゃあ、勝負は2週間後ってことか?」
「それでは、観衆は納得しないでしょ。40分後の9時10分に始めますよ」
「いや修理が・・・・・・」
”美奈子さんって言いましたかな、私は、『普通なら』っていったんです。
私らがもってきたピットトレーナーなら30分できっちり直しますよ。
もちろんカウルもね。綺麗なお嬢ちゃんをツギハギの顔で人前にはだせないでしょ”
「いいのか?か、金は絶対つくるからしばらく待ってくれ」
「お金なんかいりませんことよ。私はただ、あなたに約束を守ってほしいだけ。それ以外は何ももとめませんわ」
「それより、この勝負を貶した人たちは、レースが終わるまでこちらで預からせていただきますね。また何かイタズラしたら困りますから。よろしくて?」
「ああ、それはかまわない。レース終了後きっちり落とし前つけてやる」
普段から鋭い眼光を持つ目がさらに残虐的な目にかわる。
レース開始まであと40分である。
次回は、斜め上のピットトレーラーの実力の全容とレースを投稿予定です。
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