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堕天使に触れるだけで浄化できるスキルを授かりました〜10年ぶりに会った天使に、プロポーズされました〜

作者: まいまい
掲載日:2025/04/15

堕天使ー闇に染まって天界を追放された天使達のこと

私はこの世界で唯一、そんな堕天使を救えるスキルを持って生まれてしまった。


「ルシアン、また()()ちゃったの?」

「そうなんだよマリア。今日も実験失敗だ。」


毎年数十人の天使が闇堕ちすると言われているこの世界だけれど、1週間に一度堕ちる天使というのはこの男だけだろう。

名前はルシアン。天界で闇堕ちする原因を解明するために研究をしているらしいが、失敗するたびに自分が闇に染まって堕ちてくるのだ。

浄化されれば戻れるとはいえ、何度も何度も堕ちては戻るを繰り返してて良いのかと心配になる。


「ルシアンはやり方を変えれば良いのよ。視点を変えるのも大事なことだわ。私だっていつまでも居るわけじゃないんだし、天使と人間の寿命なんて全く違うんだから。次に堕ちてきた時に私がいるとは限らないんだから、もっと慎重になったほうがいいと思う。」


天使の寿命は永遠のように長い。でも人間なんて100年ほどの命だ。ルシアンの10日が私たちの10年位だろう。


「寂しいこと言わないでおくれ。僕にはマリアが必要だと言ってるだろう?今日はいいところまで行ったと思ったんだけど、ふときみの香りがしたんだ。そしたら集中力が切れちゃってね。」

ふふッと笑うその顔は天使の時のままに美しいが、色彩は天使というよりも魔王だ。


「そのよく分からない言い訳は良いのよ。天界のために、早く研究が進むと良いわね。」

そう言い私がルシアンの頭を撫でると、触れた箇所からパラパラと煤が落ちるように、元の金の髪と碧い瞳、白い大きな翼が蘇る

―触れたものの瘴気を祓い、浄化する

私が授かったスキルだ。

このスキルは天界にはもちろん、人間界でも役にたつ。

今このスキルを持っているのは世界でも私1人。

故に狙われやすく、特に魔族には嫌われている。


「ねぇマリア。僕の研究が終わったら、君にお願いしたいことがあるんだ。聞いてくれる?」

ドキリとした。この美しい天使が、私を望んでくれるのではないかと。

()()()ではなく、私を望んでくれるのではないかと。

そんなはずはないと思い直すのだが、この2年の間毎週のように顔を合わせ、話をし、治癒のためとはいえ触れてきたのだ。最初は可哀想だと思っていたものが、恋になるには時間はかからなかった。

種族が違う。寿命が違う。色々なことが違う私たちが結ばれるのは難しい。

それにルシアンは、私のことを何とも思っていないだろうことはわかっている。


「聞けることならね。もちろん聞くわ。それにお祝いもしなきゃね。あなたの好きなクフココのパイを焼きましょう?」


クフココはくるみのような木の実だ。

天界にも人間界にも生えていて、お互い好物ということもあり、何かあるとこのクフココのパイでお祝いするのが私たちのルールのようになっていた。


「いいね、マリアのパイは天界で食べるよりも美味しい。すぐに終わらせてみせるから、絶対約束ね?」


指切りをして飛び立って行った彼を見ながら、次の堕天使の元へ向かう。

きっと彼がやってくるのは来週あたりだろう。また失敗したと笑いながらやってくる。そうしたら、もっと慎重にしろといつもの通りの言葉をかけて彼を浄化する。短い間でも彼ールシアンに会うのが楽しみだった。

だけど、その日からルシアンは私の前に姿を現すことは無かった。

闇に堕ちてないんだから良いことなのだ。追放されずに研究を頑張ってて応援しなきゃいけない。そう思うのに、恋という感情は厄介だ。

会う幸せ、一瞬でも触れる幸せというものを知ってしまうと、その機会が無くなった途端に苦しくなってしまう。

他の天使達はそもそもそんなに何回も堕ちたりなんかしない。そう思いながらも、もしかしたらと待ち続けて10年が経った。


その間に闇堕ちする天使はだいぶ減り、どうやらルシアンが頑張っていた研究がうまく言ってるらしいことは他の天使達から聞いていた。

何やら最近は違う研究にも力を入れているようだとも。

便りがないのは良い知らせとはよく言ったもので、どうやら本当に頑張って、今日も生きていると知るだけで嬉しかった。

私はもう若いとは言えない歳になり、この間生まれたと思った友人の子供も、来年は寮に入るらしい。


「...会いたいわ、ルシアン」


ふとした瞬間に無意識で溢れる言葉に苦笑する


「俺も会いたかったよ。待たせてごめん、マリア」


懐かしい声が聞こえて振り返った先には、10年の月日を感じさせない、あの頃と同じままのルシアンがいた。


「ルシアン...?でもあなた、()()()()()の?

どこも闇に染まってない...ならどうしてここに...?」

「マリアを迎えにきたんだ。俺らは異種族だから一緒に生きて行くためには問題が多いだろう?だからとりあえずどちらかに寿命を合わせられないか、研究してみることにしたんだ。」


10年前、彼が始めた研究は私と彼が共に生きてゆくためにはどうしたら良いのかと考えた結果、天界を離れ人間界で共に暮らしたら良いと思ったらしい。

そのためには、長い寿命をどうするか、ここが解決できず、天界にいられなくなるためにはと思った時に闇堕ちすれば良いのではないかと考えたらしい。

一度闇落ちをしてしまった際に治癒した私を忘れられなくてそこまでしてしまうルシアンもルシアンだと思ったが、そんなところも彼らしくて好きだと思ってしまうほどには私はルシアンに惚れている。


「ということは、ルシアンあなた、もう天使ではないの?」

「いや、実を言うと人間になる事はできないんだ。でも人間を天使にする方法を見つけたんだ。大天使の力も借りなきゃだけど、もう話はつけてきた。マリア、10年も待たせてしまったけど、俺と共に生きて欲しい。イエスと言ったらもう人間には戻れなくなってしまうけど、永遠とも言える長い時間を、君と一緒にいたいんだ。俺についてきて欲しい。」

「急展開すぎて頭が上手く働かないわ...

ルシアン、私は親もいなくて取り柄はこのスキルしかないの。あなたを愛してるわ。でもそれでも、人間でなくなることに躊躇はするの。私が天使になってしまったらこのスキルは?どうなってしまうの?」

「君のスキルは無くならない。それは神が君に与えたギフトだから。それに君の取り柄はスキルだけなんかじゃない。温かな笑顔も優しく触れる指先も、困っている人なら誰だって助けてしまうのも全部君の魅力だよ。お願いだ、マリア。一緒に生きると言って?」


惚れた弱みだろうか。種族が違うと諦めていたものを解決するという。好いた男が、私と共に生きたいと言う。もう十分じゃないだろうか。悩んだりするのは元から得意ではないのだ。彼が解決してくれると言うなら任せよう。何より私が、ルシアンと共に生きていきたいのだ。


「ルシアン、あなたと共に生きていきたい。私を連れて行って」

「ありがとうマリア。愛してるよ。」


その後、本当に大天使の元へと連れていかれ、ルシアンと2人で愛を誓い、大天使の祝福で私は人間から天使に変わった。

ただ天使に変わっただけで、今までと変わらない生活ができている。

変わったことといえば、天使に変わってから5年後に可愛い男の子が生まれ、その8年後に女の子が生まれたことだろう。

天使に変わった元人間と、天界を闇落ちから救った英雄の話は物語として後世まで語り継がれる事となった。


ルシアンは天使なので1000歳くらい?

マリアは出会った頃は19歳、再会時は29-30歳くらいの設定です。


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